ブログを始めた気負いもあって、この一年は、人生のなかでいちばんコンサートに通いました。
せっかくですから、今年、2022年に通ったコンサートをふりかえって、「ベスト10」を決めてみたいと思います!
この記事を読んでくださっているみなさんの、2023年以降のコンサート選びの参考になればうれしいです。
ノミネート一覧
まずは、この1年で行ったコンサートのなかで、「行って良かった!」と素直に感じた公演を、日付順に、すべてご紹介します!
「当たり!」だった公演一覧です。
3/19(土)リッカルド・ムーティ(指揮)東京春祭オーケストラ「モーツァルト&シューベルト」(公演レビュー)
4/2(土)小林研一郎(指揮)日本フィル「シューマンとブラームスの交響曲第4番」(公演レビュー)
4/16(土)小林研一郎(指揮)東京交響楽団「ドヴォルザーク:交響曲第9番《新世界から》」(公演レビュー)
4/22(金)青木尚佳「紀尾井ホール室内管弦楽団とのベートーヴェン」(公演レビュー)
5/15(日)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「ブラームスの交響曲第3番」(公演レビュー)
5/22(日)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「ウォルトン:ベルシャザールの饗宴」(公演レビュー)
6/8(水)ミハイル・プレトニョフ(指揮)東京フィル「カルメン&白鳥の湖」(公演レビュー)
6/12(日)ロレンツォ・ギエルミ「オルガン・リサイタル」(公演レビュー)
7/9(土)高関健(指揮)東京シティ・フィル「モーツァルトのフルート協奏曲」(公演レビュー)
7/16(土)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「(納得いかなかったけれど)マーラー:5番」(公演レビュー)
7/30(土)ユナイテッド・ユーロ・ブラス・クインテット(公演レビュー)
9/11(日)井上喜惟(指揮)マーラー祝祭オーケストラ「マーラー:復活」(公演レビュー)
9/17(土)松田華音「チャイコフスキー:グランド・ソナタ」(公演レビュー)
10/2(日)吉井瑞穂「オーボエ・リサイタル」(公演レビュー)
10/9(日)ベルチャ弦楽四重奏団「ショスタコーヴィチとドビュッシー」(公演レビュー)
10/14(金)上岡敏之(指揮)新日本フィルハーモニー「ブラームスの交響曲第2番」(公演レビュー)
10/16(日)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「ショスタコーヴィチ:交響曲第4番」(公演レビュー)
10/23(日)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「ブルックナー:交響曲第2番」(公演レビュー)
11/1(火)ファビオ・ビオンディ&エウローパ・ガランテ「四季」(公演レビュー)
11/5(土)ユベール・スダーン(指揮)東京交響楽団「シューマンの交響曲第3番「ライン」」(公演レビュー)
11/17(木)マルタ・アルゲリッチ&海老彰子「ピアノ・デュオ・リサイタル」(公演レビュー)
11/20(日)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「R・シュトラウス:楽劇「サロメ」演奏会形式」※
11/29(火)マリア・ジョアン・ピリス「ピアノ・リサイタル」(公演レビュー)
12/18(日)小林研一郎(指揮)コバケンとその仲間たちオーケストラ「史上最高の第九に挑むVol.3」(公演レビュー)
12/29(木)ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団「第九演奏会」(レビュー執筆中です)
※11/20(日)の「サロメ」公演については、行って良かったものの、いろいろと疑問があってレビューを書けていません。
常に声を張り上げ気味だった声楽をふくめ、全体的にフォルテに偏りがちで、このオペラの官能的な抒情性、繊細な側面が大きく損なわれているように感じられました。
日程が合えば、次回の「エレクトラ」公演なども聴いて、ゆっくりと考えてみたいと思っています。
行って後悔したコンサートは…非公開。
上に記載したコンサート以外に、11公演のコンサートに行きました。
それらは私にとっては「ハズレ」の公演でした。
ほんとうは、「行って後悔したコンサート・ベスト8を発表!」という記事を書いたほうがアクセスは倍増するんだそうです。
でも、私の記事をよく読んでくださっている方は、そういう趣味の方が少ないように思いますし、クラシック・コンサートは「ハズレ」のほうが多いのが実情ですから、少数派の「アタリ!」をご紹介するほうが、多少なり役立つ情報になるかと思います。
年忘れ。
ハズレのコンサートのことも忘れることにします。
いよいよ、ベストコンサートの発表です
ベスト10を選んでみましたが、どうしても順位をつけられない、同率の1位があったので、順位としては第9位からの発表とさせてください。
第9位
12/18(日)小林研一郎(指揮)コバケンとその仲間たちオーケストラ「史上最高の第九に挑むVol.3」
これは、ブログ記事にも書いた通り、感動はしなかったのですが、やはり「多様性」という、このオーケストラのアイデンティティがとても印象的でした。
こういうオーケストラがあってもいいんだ、というか、「あるべきなんだ」、というインパクトがありました。
そうしたオーケストラがほかでもない、小林研一郎さんのもとに結成されているというのも魅力的で、今後も目を離せないコンビです。
第8位
7/9(土)高関健(指揮)東京シティ・フィル「モーツァルトのフルート協奏曲」
高関健さん、そして、東京シティ・フィルをはじめて実演で聴いたのがこの演奏会でした。
この日のメインプログラムは、ブラームスの交響曲第3番でしたし、この日のプログラムに素晴らしい変化をあたえていたのは、冒頭に置かれたバルトーク作品のはずですが、とにかく、真ん中のモーツァルト:フルート協奏曲が楽しかったです。
ああいうモーツァルト、今ではそうそう聴けません。
2023年は予定されていないものの、いつか、このコンビが「オール・モーツァルト・プログラム」をやるときがあったら、そのコンサートこそ、イチ押しです。
第7位
9/11(日)井上喜惟(指揮)マーラー祝祭オーケストラ「マーラー:復活」
この記事が、私がこの1年に書いたブログ記事のなかで最も多く読まれた記事になりました。
どうして、これほどの指揮者が限られた場所でしか活躍の場を与えられていないのか、今でも理由がよくわかりません。
もっと正当に評価されてしかるべき、凄い指揮者です。
第6位
4/22(金)青木尚佳「紀尾井ホール室内管弦楽団」
トレヴァー・ピノックの来日が中止になってがっかりした公演でしたが、プログラム変更で登場した、ミュンヘン・フィルのコンサート・ミストレス、青木尚佳さんのヴァイオリンに圧倒された、忘れられない一夜です。
青木尚佳さんは、2023年も来日が予定されています。
ドイツの名門オーケストラがコンサート・ミストレスに迎えずにはいられなかった、その音色の美しさと優れた音楽性に、また再会したいです。
現時点では、4月に、室内楽公演や協奏曲(小林研一郎さんの指揮でメンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲)が予定されています。
第5位
6/8(水)ミハイル・プレトニョフ指揮 東京フィル「カルメン&白鳥の湖」
ウクライナ情勢のあと、微妙な立場に置かれている多くのロシアの音楽家のひとりである、ミハイル・プレトニョフが登場したコンサート。
シチェドリン版の「カルメン組曲」とチャイコフスキーのバレエ音楽「白鳥の湖」というオール・ロシア音楽のプログラムで、充実した演奏を体験することができました。
以前は、やや風変わりな演奏をする指揮者という印象が強かったのですが、プレトニョフも指揮者として円熟期にあるのか、正々堂々たるロシア音楽に深い感銘を受けました。
2023年もチャイコフスキーやラフマニノフの作品の演奏会が予定されています。
第4位
10/2(日)吉井瑞穂「オーボエ・リサイタル」
イタリアの巨匠クラウディオ・アッバード(1933-2014)が指揮していたオーケストラで、しばしば目にしていた日本人のオーボエ奏者、吉井瑞穂さんのソロ・リサイタル。
予想をはるかに超えた演奏内容の深さに、心から脱帽したリサイタルでした。
パヴェル・ハース作品での光と陰、アンコールのシューマンでの深い感動は、いまも色あせることなく、心のなかに残っています。
リサイタル会場は空席が目立ちましたが、もっともっと評価されてしかるべき方です。
第3位
10/16(日)ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団「ショスタコーヴィチ:交響曲第4番」
ジョナサン・ノット指揮する東京交響楽団のコンサートは、そのどれもが素晴らしい挑戦に満ちていて、このコンビがいてくれるからこそ、私はこんなにコンサートホールに行く回数が増えたのだと思います。
「ショスタコーヴィチ:交響曲第10番 ジョナサン・ノット指揮東京交響楽団」Amazon
2022年も、このコンビのたくさんの実演に接しましたが、ショスタコーヴィッチ:交響曲第4番は言葉を失うほどの衝撃を受けた公演になりました。
これ以上のショスタコーヴィチの交響曲第4番の演奏を、もう今後聴くことはできないんじゃないかと思う、それくらい壮絶な演奏でした。
おそらくライヴ録音されていた様子だったので、CDの発売を今から心待ちにしています。
第2位
5/22(日)ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団「ウォルトン:ベルシャザールの饗宴」
第2位、第3位と、ジョナサン・ノット指揮する東京交響楽団のコンサートが並んでしまいましたが、実際、これらは同率と言っていいくらい、甲乙つけがたい感銘を受けた公演です。
ノットと東京交響楽団は、信じられないくらいの切れ味鋭いアンサンブルと、たいへんなダイナミクスで、この声楽をともなうスペクタクルなウォルトンの傑作を展開させました。
ご当地イギリスではしばしば上演される作品ですが、イギリスの名門オーケストラでも、これほどの演奏はそうそうできないはずです。
このコンビの凄さを、はっきりと見せつけられた、忘れられない公演になりました。
サマーミューザのような祝祭的な機会にでも、もう一度でいいから上演してほしいです。
第1位
11/17(木)マルタ・アルゲリッチ&海老彰子「ピアノ・デュオ・リサイタル」
11/29(火)マリア・ジョアン・ピリス「ピアノ・リサイタル」
マルタ・アルゲリッチ、そして、マリア・ジョアン・ピリス。
このふたりのピアノの女王のリサイタルが、2022年のわたしのベストコンサート同率1位です。
このふたりがピアノから紡ぎだす音楽は、ほんとうに、奇蹟そのものでした。
アルゲリッチもピリスも、私は以前に実演を聴いたことがありましたが、今年2022年に聴いた演奏は、以前のものより段違いに素晴らしく、筆舌に尽くしがたいものでした。
このふたりのピアニストは、19世紀や20世紀の伝説の演奏家の列にならぶ方たちだと思います。
こんな凄い音楽家が同時代にいてくれるということが、それこそ奇蹟のように感じられます。
このふたりが、次回はいつ来日してくれるのかわかりませんが、何よりも優先して聴きに行きたいと思っています。
まとめ
ということで、2022年のクラシック・コンサート・ベスト10をお届けしました。
考えてみれば、1月や2月は、コロナ禍の影響でコンサートに行くのがまだまだ容易ではない状況でした。
3月のリッカルド・ムーティ指揮の公演は、チケットをすでに購入済みだったので、とても気をつけてホールへ向かったことを思い出します。
その意味では、コロナ後へむけて大きく動き出した一年だったのかもしれません。
順位を一応つけたものの、ノミネート一覧にご紹介したコンサートはどれも「行って良かった!」ものであり、信頼できる音楽家の方たちのものです。
みなさんの2023年のコンサート選びの参考になったらうれしいです。
2023年も、これらの体験をふまえて、「コンサートに行こう!お薦め演奏会」のページで、お薦めのコンサートを随時ご紹介していきます。