エッセイ&特集、らじお

わたしのラジオ日記【2022年12月号】~NHK「らじるらじる」で出会ったクラシック音楽

 

NHKラジオのアプリ「らじるらじる」で、ついにクラシック番組の「聴き逃し」放送が開始されました

このページでは、「聴き逃し」対応番組を中心に、聴きどころや感想を「随時更新」でつづっています。

放送直後から1週間後まではいつでも聴けますので、興味のわくものがあったら実際に聴いてみてください。

※どのようなブログ形式がよいか模索中です。ゆるりとお付き合いください。

 

私のらじお日記~随時更新中~

♫このブログでは、音源をご紹介するときに、オンライン配信されているものを中心にご紹介しています。オンライン配信でのクラシック音楽の聴き方については、「クラシック音楽をオンライン(サブスク定額制)で楽しむ~音楽好きが実際に使ってみました~」という記事にまとめています。

 

12/28~クラシック・カフェのスターマイン

12/28(水)~1週間
クラシックカフェ(公式HP
★らじるらじる「聴き逃し」対応★

年内最後の放送回だった12/28のプログラムは、花火のスターマインのように、名曲名演奏のオンパレードになっています。

冒頭から、カルロス・クライバー指揮のヨハン・シュトラウスⅡ世「こうもり」序曲、オイゲン・ヨッフム指揮のR・シュトラウス「ばらの騎士」ワルツとつづいていきます。

今回の放送でいちばん印象的だったのが、3曲目のR・シュトラウス:交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」R・Strauss: Till Eulenspiegel’s Merry Pranks を、オットー・クレンペラー指揮フィルハーモニア管弦楽団が演奏したもの。

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)

これは、初めて聴きました。

予想を超えるカラフルな色彩感、意外にもキビキビとしたテンポの運びに驚かされます。

本当にクレンペラーという巨匠は、何を聴いても脱帽させられる指揮者です。

 

このあとには、名手シェリングのバッハ、カラヤン指揮ベルリン・フィルによるベートーヴェン:交響曲第7番とつづいて、最後はワーグナー:「ローエングリン」第3幕への前奏曲エフゲーニ・ムラヴィンスキー指揮レニングラード・フィルの演奏で打ち上げられました。

クラシック・カフェ、2022年もほんとうに素敵な放送の連続でした。

ありがとうございます!

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12/27~シベリウスとグリーグの名曲名演奏

12/27(火)~1週間
クラシックカフェ(公式HP
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シベリウスの交響詩「フィンランディア」のピアノ版という、珍しい演奏からスタートした放送回ですが、それ以上に耳を惹かれたのがオーマンディとヤンソンスという、ふたりの指揮者の名曲名演奏。

まずは、シベリウス:交響詩「4つの伝説曲」Sibelius: Four Legends of the Kalevala、第3曲に有名な“ トゥオネラの白鳥 ”をもつ、4つの交響詩でできた音楽です。

“ トゥオネラの白鳥 ”が単独で演奏される機会がとても多い作品ですが、ユージン・オーマンディ(1899-1985)指揮フィラデルフィア管弦楽団の演奏だと、4つの作品全曲を安心して楽しむことができます。

このコンビが通常レコーディングしていたレーベルとは別のレーベルから出ている演奏のために、少し目立たない名盤なのですが、これをしっかりチョイスされるあたり、やはりクラシック・カフェは信頼できる番組です。

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)

 

そして、次にグリーグのピアノ協奏曲イ短調Grieg:Piano Concerto

レイフ・オヴェ・アンスネスのピアノ独奏、マリス・ヤンソンス指揮ベルリン・フィルハーモニーとの共演盤です。

この録音があることは知っていましたが、今回、はじめて耳にして、こんなに素敵な演奏だったのかと驚きました。

北欧のピアニストと指揮者の、いかにも北欧らしい抒情性があって、いかにも現代的な、スマートな響きもしますが、それ以上に、だんだんと立ち上る、ほのかな明るさと温かさが魅力で、幸福感の高い演奏になっていて、心満たされます。

ベルリン・フィルも、機能的なだけでなくて、とってもあたたかい音を出しています。

こういう音を出せるだけでも、このオーケストラが世界に冠たる楽団であることを教えられます。

ほんとうに素敵な演奏です。

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12/26~名匠ノイマンのドヴォルザーク

12/26(月)~1週間
クラシックカフェ(公式HP
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ドヴォルザークの交響曲というと、どうしても第8番と第9番《新世界から》の2曲に人気が集中しますし、わたしもその2曲が大好きです。

でも、ドヴォルザークの交響曲から好きな作品をひとつだけ選べと言われたら、私はおそらく交響曲第7番ニ短調を選んでしまうと思います。

ここには、ブラームスの交響曲第3番に刺激されて、作曲家として大きく花開いた天才の飛躍が記されていて、その溢れる才気と情熱にのみこまれるそうな凄まじさを感じます。

この放送では、チェコのなつかしい名指揮者、ヴァーツラフ・ノイマン(1920-1995)チェコ・フィルと録音した名盤が流れました。

ノイマンはたまに「あれ?」と思う録音があったりしますが、これは正真正銘の素晴らしい演奏。

彼が名指揮者であったことの堂々たる証明になっています。

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12/24~N響の第九

12/24(土)~1週間
NHK交響楽団「第九」演奏会(公式HP
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2023年のNHK交響楽団の第九公演は、井上道義さんの指揮。

2024年末で引退を表明している井上道義さんにとって、最後の第九公演かもしれないという、注目の公演でした。

実際、ここに聴かれる第九は正攻法の、とても立派な出来栄えで、きっと井上さんご自身も満足しているのではないでしょうか。

ただ、聴いていて、どうも私は声楽ソリストの歌い方に違和感がありました。

フレージングがどうも作為的というか、不自然に感じられて仕方ありません。

そのなかで、メゾソプラノの藤村美穂子さんは説得力の強い歌い方をされていて、やはり現代の声楽界で抜きんでた存在なのだと、再確認することができました。

12/31大晦日の20時~は、Eテレでの放送も予定されているそうです。

 

12/22~マケラのシベリウス第2番

12/22(木)~1週間
クラシックカフェ(公式HP
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「冬のぽかぽかクラシック」シリーズ第4回の放送。

今年最大の話題だった指揮者、クラウス・マケラの指揮するオスロ・フィルの演奏で、シベリウスの交響曲第2番が流れました。

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私は今年、彼のコンサートに行けなかったので、録音で感じることで書くしかないのですが、このシベリウスを聴いても、オーソドックスな解釈、爽やかな音楽性、北欧の指揮者らしい抜けるようなハーモニーの感覚が特徴的で、知情意のバランスがとても優れた指揮者なのがわかります。

こうした、余計なことをまったくしない、バランス感覚に秀でた指揮者というのは、オランダの名門コンセルトヘボウ管弦楽団が非常に好むタイプであって、彼らがこの若き指揮者と早々に5年先からの首席指揮者の契約を交わしたというのが納得されます。

2023年はオスロ・フィルとの日本公演が予定されているようなので、何とか聴きに行きたいと思っています。

シベリウス・交響曲第2&5番(日本限定盤)」Amazon

 

12/21~冬のぽかぽかクラシック(3)

12/21(水)~1週間
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私の大好きなエルガー:弦楽セレナードが、ネヴィル・マリナー(1924-2016)指揮アカデミー・オブ・セント・マーティン・イン・ザ・フィールズの演奏で流れました。

この作品は、私がとりわけ好きな作品なので、以前に、別ページでご紹介しています。

そのあとの、エディット・ピヒト・アクセンフェルトのチェンバロによるバッハも素敵でしたが、ネルソン・フレイレの弾くドビュッシー:「子どもの領分 Children’s Corner」の素晴らしさにおどろきました。

このアルバムの存在自体は知っていましたが、こんなに素敵な演奏になっているとは知りませんでした。

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さらに驚いたのが、「のだめカンタービレ」でお馴染みのモーツァルト:2台のピアノのためのソナタニ長調K.488が、往年のジョゼフ&ロジーナ・レヴィーンのピアノ・デュオで流れたこと。

何といっても、ヒストリカル音源といっていい、1930年代の録音ですから。

音は多少聴きづらいですが、でも、音楽そのものは傾聴すべき、実に素晴らしい演奏です。

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12/20~冬のぽかぽかクラシック(2)

12/20(火)~1週間
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「冬のぽかぽかクラシック」シリーズ、第2回。

ドヴォルザークの娘婿、ヨゼフ・スークの弦楽セレナードカール・ミュンヒンガー指揮シュトゥットガルト室内管弦楽団)がとても素敵な演奏でしたが、バルトークのピアノ協奏曲第3番ゾルタン・コチシュpiano、イヴァン・フィッシャー指揮ブダペスト祝祭管弦楽団)がさらに魅力的でした。

バルトークが、妻のディッタへの誕生日プレゼントとして構想した作品。

病におかされ、もしかしたら死期を悟っていたかもしれないバルトークが、ピアニストだった奥さんがレパートリーとして演奏できるように書いた、彼にとって最後の作品のひとつ。

残り17小節のオーケストレーションを残して、この世を去ったバルトークのこの作品が、「冬のぽかぽかクラシック」という流れで出てくるのかと、番組の選曲の上手さをここにも感じました。

この流れで聴くと、いっそう、この曲があたたかく感じられて印象的でした。

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12/21~ロナルド・ブラウティハム・フォルテピアノ・リサイタル

12/21(水)~1週間
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オランダの名フォルテピアノ奏者、ロナルド・ブラウティハムの日本公演のライブ録音。

2022年11月29日のトッパンホールでの公演の模様を「らじるらじる」で聴くことができます。

私はこの前日、別の場所で、同じプログラムのリサイタルを聴きましたが、こうして録音されたもので聴くと、ずいぶん印象がちがっていて驚きました。

ここには書ききれないと思ったので、「フォルテピアノは場所を選ぶ?~ロナルド・ブラウティハムのリサイタル2022」という別の記事にまとめました。

 

12/19~冬のぽかぽかクラシック(1)

12/19(月)~1週間
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12月のクラシック・カフェは、週ごとにテーマが設けられています。

今週は、「冬のぽかぽかクラシック」というシリーズ。

第1回は、シューマン夫妻の愛をテーマにしたもの、ボロディンが奥さんに贈った弦楽四重奏曲、ドビュッシーが愛娘シュシュのために書いた作品などが紹介されました。

シューマンでは、何度聴いても心つかまれる「ピアノ五重奏曲変ホ長調op44」が流れました。

フィリップ・アントルモンのピアノ、アルバンベルク四重奏団のライヴ録音で、このカルテットらしい、研ぎ澄まされたものを感じる演奏になっていました。

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また、ドビュッシーのバレエ音楽「おもちゃ箱 La Boîte à joujoux」が最後に流れましたが、こちらは、往年のフランスの巨匠ジャン・マルティノン指揮フランス国立管弦楽団の演奏。

ひさびさにこの演奏を聴きましたが、たいへんな色彩感で、この指揮者が成し遂げていた仕事の高さをあらためて感じさせられて、脱帽の演奏でした。

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ドビュッシーの愛娘のシュシュは、ドビュッシーが他界した翌年、14歳の若さで病のため亡くなっていて、そのことを思うと、少しノスタルジックに聴いてしまう作品です。

 

12/14~河村尚子&ファビオ・ルイージ指揮NHK交響楽団

12/14(水)~1週間
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NHK交響楽団のサントリーホール定期公演のライヴです。

このコンサート、聴きに行きたかったのですが、チケットがあっという間に完売で、手に入りませんでした。

それというのも、指揮者がファビオ・ルイージで、ピアノに河村尚子さん、曲目がグリンカ:「ルスランとリュドミラ」序曲、ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番、ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界から」、さらには、会場が音響の悪いNHKホールではなくサントリーホールということで、予想通りの人気の高さでした。

というわけで、「らじるらじる」の聴き逃し放送で楽しみましたが、私は特に、ラフマニノフに心惹かれました。

映像で観ていないのでわからないのですが、オーケストラの編成は、ずいぶん控えめなように感じましたが、その分、ピアノがとってもよく聴こえてきました。

この曲を初めて聴いたころの感覚を、久々に思い出せた演奏でした。

この、あまりに演奏されすぎてしまっている名曲から、こうした新鮮な音楽をふたたび引きだしてくれたということに、とってもうれしくなりました。

 

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こちらはビエロフラーヴェク指揮チェコ・フィルとの録音。

10年近く前のこの録音でも、やはりとっても自然に、ラフマニノフ特有のほの暗い抒情性が聴かれます。

 

12/13~声に恋して(2)

12/13(火)~1週間
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「声に恋して」のシリーズ2回目。

1回目と対照的に、しっとりとした愛の歌を中心としたプログラムになっていました。

ルネ・フレミングが、巨匠ゲオルグ・ショルティ(1912-1997)指揮ロンドン交響楽団と共演した、ドヴォルザーク:歌劇「ルサルカ」~“ 月に寄せる歌 ”は、なかでも特に美しい演奏になっていました。

このアリアは、一時期からとてもよく歌われるようになって、耳にする機会もとても増えましたが、この歌唱は、そのなかでも出色の美しさだと思います。

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それから、R・シュトラウスの「最後の4つの歌」

こちらは、アーリーン・オージェのソプラノ、アンドレ・プレヴィン指揮ウィーン・フィルのものが放送されました。

いつ聴いても美しい歌ですが、冬の、肌寒いこの時期に聴くと、いっそう美しさが切々と感じられて、聴き入ってしまいました。

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番組後半では、「鳥の声」にインスピレーションを受けた音楽として、ヴィヴァルディのフルート協奏曲「ごしきひわ」ヴォーンウィリアムズ:「揚げひばり」なども紹介されて、相変わらず、プログラミングの見事さに脱帽の放送でした。

最後の最後に流れたシュトラウス:ワルツ「春の声」では、キャスリーン・バトルのソプラノ、ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートでのライブが選ばれていて、久々に聴きましたが、今聴いても、やっぱりその美しさは少しも色あせることがなくて、とても素晴らしかったです。

 

12/12~声に恋して(1)

12/12(月)~1週間
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今週のクラシックカフェは、「声に恋して」というテーマのシリーズ放送。

第1回は、冒頭から、リタ・シュトライヒの歌う「私のお父さん」パヴァロッティの歌う「誰も寝てはならぬ」マリア・カラスの歌う「ある晴れた日に」と、大歌手の歌うプッチーニの名アリアで始まります。

もう、この時点で大満足ですが、まだまだ魅力的なものがつづきます。

オペラ・アリアだけでなく、シューベルトやシューマンの歌曲、さらには、メンデルスゾーンのピアノ曲である「無言歌」に至るまで、実に素晴らしいプログラミング。

特に、やっぱり素晴らしいと思ったのが、ディートリヒ・フィッシャー・ディースカウの歌うシューマン:歌曲集「ミルテの花」

これはピアノを、名ピアニストのクリストフ・エッシェンバッハが担当している名盤で、何度聴いても素晴らしい録音です。

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このほか、ウィリー・ボスコフスキー指揮ウィーン・フィル、ウィーン国立歌劇場合唱団による、J・シュトラウス「美しき青きドナウ」の合唱版もまた、とても素晴らしかったです。

この回は、オペラや声楽曲に親しんでみたいという方には、是非とも聴いてみてほしい、お薦めの放送内容です。

シリーズ第2回以降もたのしみです。

 

12/5~クライスラー変奏曲(1)~(4)

12/5(月)~8(金)からそれぞれ1週間
クライスラー変奏曲(公式HP
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掲載がおそくなり、聴き逃し配信がすでに一部終了していて恐縮ですが、とても聴きごたえのある番組でした。

年末恒例の「○○変奏曲」シリーズで、今回は、「愛の喜び」などの作曲でも有名なフリッツ・クライスラー(1875-1962)の特集、全4回でした。

この大ヴァイオリニストの録音は、年代的にどれもSP時代のものになるわけですが、その音の瑞々しさと、品格の高さに圧倒されっぱなしでした。

 

この放送で初めて出会ったものでは、ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」からの“ 朝はばら色に輝き ”を、ピアノ三重奏で演奏しているものが、とても深く心に響きました。

クライスラーが弾くワーグナー、これを聴いただけでも、彼がたいへんな音楽家だったことがはっきりとわかる、素晴らしい録音です。

チェロを弾いているのは、クライスラーの弟、フーゴー・クライスラーとのこと。

早くして亡くなってしまったそうで、あまり共演の録音は残っていないそうです。

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それから、初日に放送されたものですが、やはり、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ホ短調は、何度聴いても、素晴らしいです。

聴きながら、ため息がでます。

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解説は、例年通り、音楽評論家の増田良介さんで、とても丁寧な、そして、エピソードをたくさん盛り込んだ内容で、本当に勉強になりました。

ちょっと言葉を飲み込む癖があるというか、肝心なところが聞き取れない話し方をされるときがあって、車のなかで聞くと多少ストレスを感じるかもしれませんので、静かな場所で聞くことをお薦めします。

この方は、今後、NHK-FMのクラシック番組では、だんだんと主軸になっていかれる方だと思います。

 

12/9~ファビオ・ルイージ&N響のリンツ&スコットランド

12/9(金)~1週間
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モーツァルトの交響曲第36番「リンツ」メンデルスゾーン:交響曲第3番「スコットランド」をならべたコンサートのライブが配信中です。

NHK交響楽団の新しい指揮者、イタリア出身のファビオ・ルイージの指揮。

予想どおり、とってもオーソドックスで、たのしく聴いていられる演奏でした。

ラジオで聴いたかぎりでは、「コンサートに行こう!お薦め演奏会」のページでご紹介してよかったように感じて、安心もしました。

こうして、スタンダードな作品を、一定の水準で、安心して聴いていられるように指揮できるというのは、ファビオ・ルイージの大きな美点のひとつだと感じます。

私はまだ、この新しいコンビの実演に接していないので、いつか、折を見て生演奏を聴いてみたいと思っています。

12/16(金)まで「らじるらじる」で配信中とのこと。

ファビオ・ルイージ指揮ウィーン交響楽団「シューマン:交響曲全集」Amazon

 

12/8~「モーツァルトが聴きたくて(4)」

12/8(木)~1週間
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モーツァルトのシリーズ放送の最終回。

まず、この日も先日その実演にふれたばかりのマリア・ジョアン・ピリス公演レビュー)のピアノに耳を奪われました。

ピリスの素晴らしさをいち早く見抜いたクラウディオ・アッバードとの共演で、モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番の1993年ライヴ。

若手の精鋭がそろったヨーロッパ室内管弦楽団の颯爽とした演奏とあいまって、溌剌としたモーツァルトを楽しむことができます。

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そのあとの名手ヘルマン・バウマンによるホルン協奏曲第1番も素晴らしかったのですが、それはいずれ別の機会にゆずって、ここに特に書いておきたいのは、チャールズ・ナイディックのバセットクラリネット、ラルキブデッリの演奏によるモーツァルト:クラリネット五重奏曲イ長調のことです。

これは、私は初めて聴いた演奏でしたが、ききほれました。

バロックチェロの名手アンナー・ビルスマ(1934-2019)を中心にしたアンサンブルであるラルキブデッリは昔から有名ですし、よくその演奏を称賛する批評を雑誌などで読んでいましたが、この演奏を聴くと実に納得です。

どうして、こんなに優れたアンサンブルを聴くのを後まわしにしていたのかと、恥ずかしくなりました。

古楽アンサンブルというのは、とくに最近ですが、「知的」な団体が多い傾向があって、音楽というよりは「考古学」に向かっていく団体が少なくないように感じています。

でも、このひと昔前の、ラルキブデッリによるモーツァルトは、バセットクラリネットの音色をいかした、とっても柔和で、優しい、音楽的なモーツァルト。

この曲を愛するひと、モーツァルトを愛するひと、音楽を愛するひとのすべてに聴いてほしい名演奏です。

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このシリーズ、わたしはとっても楽しく毎回を聴きました(クラシックカフェ関係者のみなさま、ありがとうございます)。

放送の最後はモーツァルトのオペラ・アリアでしめくくられて、来週の声楽作品特集にさりげなく橋渡しをしていて、そういうところまで、本当によく作りこまれている番組だと感心してしまいました。

 

12/6~「モーツァルトが聴きたくて(2)」

12/6(火)~1週間
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モーツァルトのシリーズの第2回。

この日も選曲が凝っていて、後半からは、モーツァルトの名前をミドルネームに持つ、エーリヒ・ヴォルフガング・コルンゴルト(1897-1957)の作品を紹介。

まずはアンネ・ゾフィー・フォン・オッターの歌った、歌劇「死の都」~マリエッタの歌「私に残されたしあわせ」

これを聴いていて、オッターがコルンゴルトに焦点をあてた素晴らしアルバムを作っていたのを思い出しました。

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そのあとには、人気作品であるヴァイオリン協奏曲ニ長調アンネ・ソフィー・ムターのヴァイオリン独奏、アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の演奏でながれました。

この曲は、年々、耳にする頻度が高まっているように感じる曲で、このクラシックカフェでもけっこう頻繁に流れているように思います。

実際、20世紀に生まれたヴァイオリン協奏曲のなかでも、独自の美しさのある音楽で、私もいつの間にか好きになってしまっています。

コルンゴルトは若き日にマーラーから「天才」と称され、十代でヨーロッパを席巻したわけですが、ユダヤ系であったために、ナチスドイツがオーストリアを併合したあとに、アメリカへ亡命、彼の地で映画音楽を書くようになるわけですが、実際、彼の音楽を聴いていると、いかにコルンゴルトが映画音楽というジャンルに大きな影響を残しているのかが、はっきりと感じられます。

耳にする映画音楽が、あれもこれもコルンゴルトの響きじゃないか、という気がしてきますし、実際、そういうことなわけです。

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おしまいには、ピアノの巨匠ミエチスラフ・ホルショフスキー(1892-1993)の演奏で、ピアノ・ソナタ へ長調 K.332の第2楽章が流れましたが、ホルショフスキーがコルンゴルトの4歳年上(!)という解説にびっくり。

 

12/5~「モーツァルトが聴きたくて(1)」

12/5(月)~1週間
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クラシックカフェは、ほんとうにお薦めの番組で、この日も脱帽でした。

12月はシリーズ放送をするそうで、今週は「モーツァルトが聴きたくて」と題して、モーツァルト特集のようです。

でも、12月になんでモーツァルトなんだろうと思ったら、放送日の12/5がちょうどモーツァルトの命日

放送曲目を見たときに、どうして初回から「レクイエム」がメインなんだろうと思っていたんですが、それも命日ということで納得の、ほんとうに練られたプログラミングで感心してしまいます。

 

11月にマルタ・アルゲリッチ公演レビュー)とマリア・ジョアン・ピリス公演レビュー)の実演に接したばかりで、ちょうど、この放送では冒頭にこのふたりによるモーツァルト:「4手のためのピアノ・ソナタ 」K.381から第3楽章がながれて、その巡り合わせも感慨深いものがありました。

いや、、、もしかしたら、それも計算のうちでこの録音が選ばれているのかもしれません。

放送では、第3楽章だけでしたので、ここでは全曲のリンクを貼っておきます。

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途中に流れた、名ピアニスト、アシュケナージが弾き振りしたピアノ協奏曲第15番も、その真珠のような音の感触が美しかったですが、やはりメインは「レクイエム」

演奏はリッカルド・ムーティ指揮ベルリン・フィルハーモニーのものが選ばれていて、意外と共演の少ない両者の、充実の演奏をたのしみました。

まだカラヤンの時代だったベルリン・フィルとの共演で、ムーティの熱血的な側面よりも、堅実な側面が表に出た演奏になっています。

ムーティは、ブルックナーの第4番「ロマンティック」や第6番といい、ベルリン・フィルとの共演では、とても端正な表情が支配的になるのが面白いです。

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12/4~チェロの巨匠アンドレ・ナヴァラの名演奏

12/4(日)~1週間
名演奏ライブラリー(公式HP
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フランスには、ピエール・フルニエ(1906-1986)を筆頭に、トルトゥリエやジャンドロンなどのちぇろの巨匠がいましたが、今回は、アンドレ・ナヴァラ(1911-1988)の特集で、12/11まで配信されています。

Prague Recordings」 Amazon

ナヴァラは、どうでしょう、フルニエやトルトゥリエに比べると、ジャンドロンと同じく、日本で話題になることがやや少ないように感じます。

こうして彼の名演奏をまとめて耳にしてみると、やっぱり、まぎれもない巨匠のなかの巨匠だったのがわかります。

 

ナヴァラは、フランスといっても、剛毅な面が前面に出ているタイプの名手であって、指揮者でいえばポール・パレーとかシャルル・ミュンシュのような路線のチェリストだとあらためて感じます。

冒頭にはチェロの名作、エルガー:チェロ協奏曲がイギリスの巨匠バルビローリの指揮で紹介されます。

バルビローリのエルガーといえば、ジャクリーヌ・デュ・プレ(1945-1987)との歴史的名録音がありますが、ナヴァラはもっと男性的(表現が古いでしょうか)で、ストレートな音楽をやっています。

心に迫ってくる、圧倒的なものがある、素晴らしい録音です。

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次に紹介されるのが、ラロ:チェロ協奏曲ニ短調

こちらはミュンシュとの共演で、伸び伸びとした、聴いていて、とっても楽しくなる名演奏。

ラロは「スペイン交響曲」しか知らないという方は、是非、第3楽章から聴いてみてください。

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放送では、協奏曲ばかりでなく、もちろん、ソロや室内楽も紹介されて、そのなかでは、70歳代に入ってからの録音という、ショパン:チェロ・ソナタがとても抒情的で心にしみるものでした。

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おしまいには、日本の抒情歌をフランスで録音したというアルバムが紹介されました。

パーソナリティの満津岡信育さんの解説によれば、これはリリース時に1万枚のセールスを記録したんだそうです。

私は初めて聴きましたが、たいていこの種のアルバムで感じる違和感がまったくないどころか、日本の抒情歌から、ここまで普遍的な表現を引きだした演奏というのは、ほかになかなか無いんじゃないでしょうか。

ナヴァラは、こんなことまで出来るのかと、思わず聴き入ってしまいました。

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify などで聴けます ※このアルバムの配信は、表記される題名と実際の曲がほとんどあっていません)

 

彼の録音はCDで探すとなかなか面倒なものもあるので、オンライン配信のものをリンクしておきました。

聴き逃し放送に間に合わなかった方は、是非、そちらを利用してナヴァラの芸術に触れてみてください。

 

11/30~オスロ・フィルの演奏会LIVE

11/30(水)~1週間
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ワシーリ・ペトレンコ指揮オスロ・フィルハーモニーが本拠地でおこなった演奏会のライヴが12/7まで配信されています。

曲目が凝っていて、冒頭がイギリスの女性作曲家スマイス(1858-1944)の「難破船略奪者」序曲

スマイスは、イギリスの女性参政権運動の立役者のひとりでもあるという、興味深い経歴の作曲家です。

2曲目がガーシュウィン:「ピアノ協奏曲へ調」(piano、ルイ・シュヴィッツゲーベル

私はガーシュウィンの作品でいちばんこれが好きです。

アメリカ本国のひとたちの演奏よりも少しリズムがおっとりしているのも面白く、軽妙でよく歌っているフィナーレに至るまで、大好きな曲を心から楽しみました。

第1楽章のあとに会場から拍手が起きているのも納得で、意外なほど素敵な演奏におどろきました。

メインがウォルトンの傑作、交響曲第1番です。

これも非常に立派なウォルトン。

こうして聴いていると、ワシリー・ペトレンコという指揮者は日本公演が比較的多い指揮者ですが、日本においてもこういう刺激のあるプログラムを展開できるように、環境を整えてあげてほしいと思います。

 

 

 

補足1:「らじるらじる」のアプリについて

アプリのダウンロードについては、公式ホームページのアプリダウンロードのページにくわしく載っていますが、ほかのアプリと同様、Apple StoreやGoogle Playからダウンロードすればいいだけです。

無料のアプリなので、通常かかる通信費など以外に特別な費用はかかりません

アプリさえダウンロードしておけば、リアルタイムでなくとも、対象の番組が本放送終了後1週間ほど、いつでも聴けるようになりました!

また、PCの場合は、こちらのメインページから直接ストリーミングで聴くことができます。

 

 

補足2:現在おすすめの聴き逃し対応クラシック番組一覧

 

各公式ホームページには、これからの放送予定と、聴き逃しについての情報が掲載されています。

★特におすすめの3つの番組

クラシック・カフェ番組公式HP)‥さまざまなクラシック音楽を丁寧な解説付きでたのしめる一押しの番組。

名演奏ライブラリー番組公式HP)‥作曲家というより、演奏家に焦点をあてた番組で、満津岡信育さんのわかりやすい解説でお薦めの番組。

ベスト・オブ・クラシック番組公式HP)‥国内外のコンサートのライブ録音を解説付きで紹介してくれる、新鮮度抜群のクラシック番組。

 

☆そのほかのお薦め番組

N響演奏会番組公式HP)‥NHK交響楽団の演奏会を生放送する特別枠の番組。

ビバ!合唱番組公式HP)‥広く合唱をあつかう番組で、他ジャンルがメインの日もありますが、クラシック音楽もおおく扱われます。

吹奏楽のひびき番組公式HP)‥日本は吹奏楽王国。吹奏楽に親しんだ経験のある方は必聴の番組。

現代の音楽番組公式HP)‥作曲家の西村朗さんの絶妙な解説がすばらしい、現代音楽をあつかう番組。

ブラボー!オーケストラ番組公式HP)‥国内のオーケストラのライブ録音を放送する番組。演奏会の予習・復習に最適の番組。

 

ここにご紹介したほかにも、NHKのラジオではクラシック番組がいろいろと放送されていて、「NHK-FMの歩き方、クラシック音楽をラジオでたのしもう♪~ラジオの聴き方とお薦め番組」という記事でもご紹介しています。

 

 

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