シリーズ《オーケストラ入門》、今回はシュトラウス・ファミリーによるワルツやポルカがテーマです。
クラシック音楽のファンにとって、毎年の元旦は「ウィーン・フィルのニューイヤーコンサート」の日です。
これは名門オーケストラ、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が元日に行うコンサートで、ヨハン・シュトラウスⅡ世の『美しき青きドナウ』やヨハン・シュトラウスⅠ世の『ラデツキー行進曲』など、親しみやすい、いわゆるシュトラウス・ファミリーの音楽が中心に演奏されます。
今回は、オンライン配信がされているものの中から、私がとくに好きなニューイヤーコンサートのライブ録音を、7つ厳選してご紹介していきます。
どれも、ウィンナ・ワルツ入門に最適なものばかりです。
Contents
- 1 ニューイヤーコンサートの特徴
- 2 アンコールはいつも3曲
- 3 ウィーンフィルからの新年のあいさつ
- 4 演奏される音楽
- 5 シュトラウス・ファミリー
- 6 シュトラウスに親しむには、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートがうってつけ
- 7 1987年のニューイヤーコンサート
- 8 私のお気に入り
- 9 1994年ニューイヤーコンサート
- 10 私のお気に入り
- 11 1989年&1992年のニューイヤーコンサート
- 12 私のお気に入り
- 13 1997年のニューイヤーコンサート
- 14 私のお気に入り
- 15 2015年のニューイヤーコンサート
- 16 私のお気に入り
- 17 1979&1974年ニューイヤーコンサート
- 18 私のお気に入り
- 19 2021年ニューイヤーコンサート
- 20 私のお気に入り
ニューイヤーコンサートの特徴
近年は、毎年ちがった指揮者が呼ばれるのがいちばんの特徴で、クラシック・ファンはその発表を楽しみにしています。
もともとはクレメンス・クラウスというオーストリアの大指揮者が始めたもので、その後、このオーケストラのコンサートマスターであり指揮もできたウィリー・ボスコフスキーが長年、ヴァイオリンを片手に指揮台に立って一時代を築きました。
そのあとは、名指揮者ロリン・マゼールが数年間振っていたんですが、1987年に当時、楽壇の“帝王”と言われていたヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮台に立ったことで大きな変化が起きます。
一躍、このニューイヤーコンサートの指揮台は、格付けが上がって、まったく特別な舞台、世界中の視線が注がれる場所となって、その時代を代表するような名指揮者たちが代わる代わる指揮台へあがる現在のスタイルへ変わりました。
指揮者をご存知の方ならわかっていただけるしょうが、1987年のカラヤンのあと、1988年はクラウディオ・アッバード、そして、1989年にはカルロス・クライバーという風に、今考えると震えるような凄い時代がありました。
アンコールはいつも3曲
コンサートは2部構成になっていて、それらの正式なプログラムのあとに、必ずアンコールが3曲演奏されます。
アンコール1曲目は、コンサートごとにバラバラで、何が演奏されるかはその時々でちがいます。
ですが、そのあとの2曲は固定していて、ヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ『美しく青きドナウ』、そして、ヨハン・シュトラウスⅠ世の『ラデツキー行進曲』が必ず演奏されます。
ですので、これからご紹介するどの音源にもこの2曲は必ず入っています。
ウィーンフィルからの新年のあいさつ
また、『美しく青きドナウ』の前奏が始まったら、聴衆がそれを拍手でさえぎって、指揮者とオーケストラに新年のあいさつを求めるのが慣例。
まず指揮者がひとりで
“ Die Wiener Philharmoniker und ich wunschen Ihnen ”
ディー ヴィナ フィルハモニカ ウント イッヒ ヴンシェン イーネン
「ウィーンフィルと私からみなさんへ祈念します、」
そして、楽団員が声をあわせて
“ Prosit Neujahr ! ”
プロズィット ノイヤ!
「新年 おめでとう!」
指揮者によっては、前後に自分の言葉で世界へメッセージを伝える人もいます。
ロリン・マゼールやダニエル・バレンボイムは、そのタイプです。
演奏される音楽
演奏されるのは、基本的にシュトラウス・ファミリーの音楽です。
シュトラウス・ファミリーというのは、ウィーンで大活躍したヨハン・シュトラウス親子を中心とした一族のこと。
舞踏会の会場で演奏される“ ワルツ ”や“ ポルカ ”といった、ダンス音楽を芸術の域まで高め、黄金時代を築いた一族です。
ですので、基本的にどの曲も短く、旋律の美しい、耳に親しみやすいものがほとんどです。
そうした、いわば“ 軽い ”音楽を名門ウィーン・フィルが大指揮者たちと取り上げるという点が、このニューイヤーコンサートの醍醐味になっています。
シュトラウス・ファミリー
まずはお父さんのヨハン・シュトラウスⅠ世(1804-1849)。
この人が、いわゆるウィンナ・ワルツ(ウィーン風のワルツ)を確立した人物で、“ワルツの父”と讃えられています。
代表作は『ラデツキー行進曲』など。
そして、その息子のヨハン・シュトラウスⅡ世(1825-1899)。
お父さんが確立したウィンナ・ワルツをさらに高みに押し上げた人物で、“ワルツ王”と讃えられています。
代表作は『美しく青きドナウ』など。
そのヨハン・シュトラウスⅡ世の弟が、ヨーゼフ・シュトラウス(1827-1870)。
もともとは技師でしたが、多忙な兄に頼まれて音楽の世界へ。
病弱だったために42歳で他界していて、音楽活動の期間はわずか17年ほど。
才能の点では、シュトラウス・ファミリー随一といわれることもある作曲家で、兄よりロマンティックな性格の曲が多いです。
代表作は『天体の音楽』など。
さらにその弟にエドゥアルト・シュトラウス(1835-1916)がいますが、この人の曲は登場頻度としては低いです。
基本的には、上の3人の曲がほとんどということになります。
エドゥアルト・シュトラウスの代表作は『テープは切られた』など。
シュトラウスに親しむには、ウィーン・フィルのニューイヤーコンサートがうってつけ
このコンサートでは、基本的にシュトラウス・ファミリーの名曲が次々と演奏されます。
シュトラウス・ファミリーの音楽は量も膨大で、一生かかっても聴ききれないほどの量です。
そのなかから、選りすぐりの曲目が並ぶこのコンサートこそ、シュトラウス入門に最適です。
1987年のニューイヤーコンサート
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
大きな転換点となった、楽壇の帝王カラヤンが登場した1987年のニューイヤーコンサート。
このときは、カラヤンがステージに姿をみせた途端に会場が総立ちになり、スタンディングオベーションでその登場が迎えられたという話を聞いたことがあります。
実際、演奏はとても素晴らしいもので、普段とはまったく違う、特別な一夜になっています。
華やかで、飛んだり跳ねたりするようなシュトラウスの世界ではなくて、ノスタルジックなウィーンの落陽を見るような、ひとつの時代の終わりを感じさせる響きが胸に残ります。
指揮者に手厳しい発言が多いウィーン・フィルの名コンサートマスター、ライナー・キュッヒル氏は、どこかのインタビューで、カラヤンが指揮したときのポルカのテンポを絶賛していました。
速くもなく遅くもない、絶妙なテンポが設定されています。
このときは、喜歌劇『ジプシー男爵』序曲、喜歌劇『こうもり』序曲などなど、有名曲がたくさん選ばれていて、どの曲も聴きどころです。
『春の声』では、ソプラノ歌手のキャスリーン・バトルが出演しています。
私のお気に入り
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私がこの年の曲目でいちばん好きなのは、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ『 天体の音楽』(“ Sphärenklänge ”)です。
繊細な音の重なり、どこか寂寥感すら漂う、ノスタルジックで陰影にとむ音楽が紡がれています。
最晩年のカラヤンの音楽づくりは、若いころとはちがった、心の奥にまでしみ込んでくる響きを持っています。
この曲を指揮しているときの、カラヤンの青く澄んだまなざしが忘れられません。
CDを買おうという方には、上の画像にリンクしてある1990年頃発売の古いものや、それ以前に出たものをお薦めします。
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現在出ているものより、音が良いです。
それから、こちらは数年前にようやく映像がBlu-ray版で出ました。
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1994年ニューイヤーコンサート
指揮:ロリン・マゼール
私がいちばん取り出して聴く頻度が高いのは、この1994年のものです。
もし、ニューイヤーコンサートのCDを試しに1枚買ってみようという場合は、中古になりますが、この1994年のアルバムをいちばんにお薦めします。
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ロリン・マゼールはもっと若いころにたくさんこのコンサートを指揮していましたが、1990年代以降も何度か登場しました。
特にお薦めなのが1994年と1996年の2回です。
ですが、この2回にかぎって、どういうわけか映像商品が出ませんでした。
私が大好きだったマゼールの、ほんとうに良い指揮ぶりが見れた回だったので、いつか映像が出ることを今もずっと楽しみにしています。
こういう演奏をびわ湖ホールのときも聴かせてほしかった。
私のお気に入り
このときは選曲がおどろくべき素晴らしさで、有名曲と聴いたことがないけれど素敵な曲のバランスがとってもよかった年です。
こうしたバランスは、このコンサートをたくさん指揮したマゼールならではの選曲眼ということになるでしょう。
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このアルバムは、聴きはじめると自然と最後まで聴かずにいられないアルバム。
なので、一曲を取り出すのがほんとうに難しいのですが、会場のいい雰囲気がいちばんはっきりと伝わるということで、ヨーゼフ・シュトラウスのポルカ『憂いもなく』(“Ohne Sorgen”)を上げておきます。
途中から鉄琴、グロッケンシュピールが鳴り響きますが、これは指揮台でマゼールが叩いています。
1989年&1992年のニューイヤーコンサート
指揮:カルロス・クライバー
カルロス・クライバーは、年に一度指揮台に立つか立たないかというほど、後年になるほど演奏会の数が激減した伝説の指揮者。
たいへんな完璧主義者で、キャンセルも多かった彼が、この華やかな舞台に登場するとあって、大きな話題となり、実際、伝説的な公演になりました。
ジャケットで客席のほうへ向かってラッパを鳴らしていますが、これはヨハン・シュトラウスⅡ世のポルカ『観光列車』を演奏したときのパフォーマンス。
リハーサルではかなり上手に吹けていたという話を聞いたことがありますが、本番ではうまく吹けなかったようです。
天才クライバーも、人並みに緊張はするということでしょうか。
私がTVで初めて目にしたニューイヤーコンサートは1992年のもので、偶然にも、貴重なカルロス・クライバー登場の回でした。
一度TVで観ただけですっかりと魅了された私は、すぐに大きなCD屋さんへ彼の録音を探しに行きました。
ですが、どんなに探しても、そこで売っていたのは『運命』のCD1枚だけ。
彼がその完璧主義ゆえに指揮する回数も少なく、録音も非常に限られた数しかない天才指揮者だなんて全く知らなかった私。
「きっとクライバーという指揮者はまだまだ有名じゃなくて、これから出世していくんだな」と、しばらく勝手に思い込んでいました。
私のお気に入り
彼は1989年と1992年の2回、ニューイヤーコンサートに登場しました。
1989年の初登場のときは選曲がとても渋いもので、そのなかでは、ヨハン・シュトラウスⅡ世の喜歌劇『こうもり』序曲(“ Die Fledermaus ” )が有名曲で親しみやすいです。
クライバーらしい、快速の、空を舞うような演奏が展開されています。
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いっぽうで1992年の2回目の登場では、『トリッチ・トラッチ・ポルカ』や『雷鳴と電光』など、人気曲がたくさん選ばれました。
『雷鳴と電光』(“ Unter Donner Und Blitz”)では、最後の音がまだ鳴っているなかで会場から拍手がわき起こっています。
そのほか、今年2022年も取り上げられたヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ『千一夜物語』(“ Tausend und eine Nacht ”)が夢見るような美しい演奏になっています。
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彼の演奏は、特に映像でみたいところです。
その華麗な指揮ぶりは、まさに“ 天才 ”と呼ぶにふさわしいもの。
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今調べていて驚いたんですが、このDVDは現在ほぼ廃盤状態のようです。
ほとんどのクラシックファンがすでに持っているせいでしょうか。
こちらの5枚組のセットにも入っているようです。
1997年のニューイヤーコンサート
リッカルド・ムーティ指揮
リッカルド・ムーティは1993年に初登場して、たいへん素晴らしい舞台を披露しました。
ですが、2022年1月現在、オンライン配信がまだないようなので、ここでは、その次の登場となった1997年のものを。
この1997年のときも出色の、勢いにあふれたコンサートでした。
ムーティのシュトラウスは、基本的にテンポがどれも速めです。
第2部の冒頭にはスッペの喜歌劇『軽騎兵』序曲( Apple Music・Amazon Music・Spotify・Line Music などで聴けます)のたいへんな名演奏が聴かれます。
当時、テレビの生中継で観ていましたが、第2部の1曲目にもかかわらず、会場はたいへんな盛り上がりを見せました。
私のお気に入り
この年のシュトラウス・ファミリーの音楽でいちばんのお薦めは、ヨーゼフ・シュトラウスのワルツ『ディナミーデン』(“ Dynamiden ”)。
このときのテレビ中継では、この『ディナミーデン』にバレエの映像がつけられていて、シンデレラをモチーフにした実に見事な物語が重ねられていました。
ニューイヤーコンサートのバレエ映像のなかで、私にとっていちばん印象的なのがこのときのものです。
( Apple Music↑・Amazon Music・Spotify・Line Music などで聴けます)
『ディナミーデン』は、あとにリヒャルト・シュトラウスが楽劇『ばらの騎士』で引用したことでも名高いワルツ。
私は、ムーティはヨーゼフ・シュトラウスの大家だと思っています。
とても詩的で繊細な、抒情的音楽が引きだされます。
彼は1993年のヨーゼフ・シュトラウス:『トランスアクツィオン』でも、心に迫る、美しい名演奏を披露していました。
2015年のニューイヤーコンサート
指揮:ズービン・メータ
インド出身のメータは、アジア人として初めてこのコンサートの指揮台に立った人で、1990年の登場以降、常連の指揮者のひとりです。
ウィーンで若いころに勉強をしていたということもあってか、とっても良いシュトラウスを聴かせてくれる指揮者のひとりです。
いちばん最近の登場はこの2015年のもの。
2000年代に行われたニューイヤー・コンサートのなかでは、2021年のリッカルド・ムーティの回と並んで、特に出色のコンサートでした。
私のお気に入り
( Apple Music↑・Amazon Music・Spotify・Line Music などで聴けます)
ヨハン・シュトラウスⅡ世の人気作のひとつにワルツ『酒、女、歌』(“ Wein, Weib und Gesang ”)というのがあります。
同時代の大作曲家で親友だったブラームスが好きだった一曲でもあるこのワルツ、実はとっても長い前奏がついています。
あまりに前奏が長いので、これだけの有名曲にもかかわらず、たいていカットされるんですが、この2015年のときに、メータはカットなしで演奏しました。
普段は聴けない序奏部をまるまる聴ける、とても貴重で、とても素敵な演奏。
1979&1974年ニューイヤーコンサート
ウィリー・ボスコフスキー指揮
ウィーン・フィルの名コンサートマスターでもあったボスコフスキーが指揮していた時代、1974年の貴重な映像がDVDで出ています。現在は中古で手に入れるしかないようですが、まだこのコンサートがそこまで国際化していない時期のものです。
今となっては、ニューイヤーコンサートの原点のひとつといえる時代の記録です。
それだけに、聴衆もオーケストラも、どこか普段着の良さがあります。
和気あいあいとした会場の雰囲気が素敵な時代。
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私のお気に入り
ボスコフスキーが指揮した最後の回、1979年のニューイヤーコンサートは、オンライン配信でも聴くことができます。
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このころの雰囲気を感じられる曲目として、ヨハン・シュトラウスⅡ世のポルカ『狩り』を挙げておきます。
アンコールとして2回演奏されますが、鉄砲が響くたびに、会場から普段着の笑い声がもれてきて、とても素敵な雰囲気を味わえます。
演奏も今よりもぐっとローカルな色の、土地のワインのような素朴な香りがします。
2021年ニューイヤーコンサート
リッカルド・ムーティ指揮
ニューイヤーコンサート史上初の無観客のなかで行われた、昨年2021年のニューイヤーコンサートです。
コロナ禍によるロックダウン下のウィーンで行われた公演。
このコンビの演奏は2021年の11月に行われた日本公演で実演で体験しましたが、今、いちばんウィーン・フィルがその本領を発揮できるのは、このリッカルド・ムーティ指揮のときだと確信しています。
1990年代にはその颯爽とした、速めのテンポで駆け抜けるようなシュトラウスを演奏していたムーティ。
そのあまりの速さに、ウィーン・フィルの名コンサートマスター、ライナー・キュッヒル氏が「自分は二度とイタリア人の指揮でシュトラウスを演奏したくない」とインタビューで話していたほどです。
キュッヒル氏とちがって、私はあのころの若々しいシュトラウス演奏が大好きですが、こうして老成したムーティが聴かせる、落ち着いたシュトラウスもまた、たいへんに素晴らしいものになっています。
私のお気に入り
( Apple Music↓・Amazon Music・Spotify・Line Music などで聴けます)
ここでは、このコンサートの定番であるヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ『美しく青きドナウ』(“ An der schönen blauen Donau ”)をあげておきます。
このアルバムには、スッペの『詩人と農夫』序曲やコムザークの『バーデン娘』など、ほかにも聴きどころがたくさんありますが、ムーティが行った英語のスピーチ(トラック17)もしっかりと収録されています。
今までのニューイヤーコンサートでは、あまりスピーチをしなかったイメージのムーティが、とても長いメッセージを世界へ向けて送っています。
「音楽は娯楽ではありません。私たちがここにいるのは職業だからではないのです、使命だからです」という真摯な訴えかけには、素直に感動させられました。
この年は、前述のとおり、ロックダウン中のウィーンで行われたために、無観客での開催ということで、そこへの違和感を感じた人もたくさんいらしたようです。
わたしはむしろそうした中でも演奏会を止めなかったこと、そして、そこから響いてきた音楽、それから、リッカルド・ムーティの言葉に、大きく勇気づけられた一夜でした。
こちらは2022年1月現在、まだまだ簡単にBlu-rayが入手できます。
同じ内容のCDも入手可能です。