コンサートに行こう!お薦め演奏会

2023年10月のおすすめコンサート【 クラシック初心者向け 】~随時更新~

 

クラシック音楽のコンサートはもともと発売時期もいろいろですし、昨今はコロナ禍とウクライナ情勢で、情報公開がとてもゆっくりになっています。

なので、このページは随時更新をしています。

どうぞ、ときおりご覧になってください。

 

 

初心者に体験していただきたい、本格的なクラシック・コンサートを選んでご紹介しています。

こちらでは2023年の10月をご紹介。

そのほかの月はそれぞれ別ページに記載していますので、『コンサートに行こう!お薦めの演奏会』のページから移動をおねがいします。

 

Contents

曲目ではなく、演奏者で選ぶのがクラシック・コンサート

 

初めてコンサートに行くとなると『モルダウ』や『運命』といった聴いたことがある曲目で選びたくなりますが、そうではなくて、まずは誰が演奏するのかで選びましょう

わかりやすく例えると、美味しいものが食べたければ、メニューより前に、美味しいお店を探すことが大切なのと同じです。

 

とはいっても、初心者であればあるほど、演奏者や指揮者の名前なんて知らないと思います。

そこで、このブログでは、クラシック音楽が大好きな私が、あくまで主観的に、自分でもチケットを買いたいと思う、お薦めのコンサート情報を厳選して掲載しています。

 

場所もクラシック・コンサートが集中する東京、関東、首都圏にこだわらず、北海道、東北、中部、近畿、関西、四国、中国、九州、沖縄まで、自分がそこに住んでいたら「行ってみたい!」という、とにかく気になるものを素直にピックアップしています。

 

主観で選んでいます

 

判断基準は、あくまでも、自分がこれまで実際に聴いたときの体験などの「主観」にもとづいています。

その分、しがらみや忖度はありません。

クラシックをふだん聴かない方は名前も知らないような演奏家がずらっと並んでいるかもしれませんが、「クラシック音楽と向き合ってみたい!」という方に、多少なり参考になればうれしいです。

 

初心者の方へのアドバイス

 

とくに重要なことは、

  1. いきなり高いチケットを買わない
  2. 当日券ではなく、前売りで買う

の2点です。

 

クラシック・コンサート初心者がいきなり高い席を買うのはお薦めしません。

理由は簡単で、クラシックのコンサートはハズレも多いからです。

 

私は結構コンサートに通っている方だと思いますが、いまだに予想を裏切られて、「つまらなかった…」とがっかりして帰ってくることがあります。

クラシック初心者の方が、そうした「つまらない」コンサートに当たってしまい、「クラシックって、こんなもんか」と思われてしまうのが嫌で、少しでも当たりをひく確率が上がればと、このページを作っています。

 

また、「前売り」については、一般的には、だいたい3~6か月前くらいにチケットの発売が開始されます。

半年先というとずいぶん先に思えるかもしれませんが、人気の公演はそれでも完売してしまいますし、最後に残るのはたいてい高い席です。

 

「高いお金を出したのにハズレだった」としたら、二度と行きたくならないのが人情です。

ですので、初めのうちほど、まずは手ごろな価格で、なるべく早めに前売り券を手に入れておきましょう。

 

こうした話を、「コンサートの選び方&チケットの買い方【初めてのクラシック・コンサート】」というページにまとめています。

さらには、チケットを手に入れたあと初心者の方が気になるであろう、「クラシックコンサートに行くときの服装」のことなどは、「コンサート当日の不安を解消!服は何を着る?持ち物は?【初めてのクラシック・コンサート】」というページにまとめています。

 

どのコンサートに行くか迷ったらノット&東京交響楽団へ

 

関東圏と新潟に限られてしまうのですが、このブログでは、どのコンサートに行くか迷ったら、まずはジョナサン・ノット指揮する東京交響楽団のコンサートへ行ってみることをお薦めしています。

日本には、世界の名門オーケストラがたくさんやってきますが、当然、どれもチケット代は高額に設定されます。

このブログでは、初心者の方に、1万円を超えるようなチケットをいきなり買うことはお薦めしていません。

理由は簡単で、世界最高峰の名門と言えども「ハズレ」の公演があるからです。

 

国内のオーケストラにも、世界の名門に肉薄するような演奏を展開する瞬間がありますので、まずは、それを体験してほしいので、その代表格であるジョナサン・ノット&東京交響楽団のコンビをお薦めしています。

 

ジョナサン・ノットは1962年イギリス生まれの指揮者で、現在、東京交響楽団の音楽監督をつとめています。

このノット&東京交響楽団のコンビが日本のクラシック界に与えている刺激は、たいへんなものがあります。

彼らのコンサートがすべて素晴らしいとまでは私も言い切りませんが、でも、「当たる」確率は非常に高いです。

ショスタコーヴィチ:交響曲第10番(ノット&東京交響楽団の2016年ライヴ録音)」Amazon

一点、初心者にとってハードルがあるとすれば、彼らのコンサートは演目がかなり本格的で、「運命&新世界」みたいなプログラミングの真逆を行くことです。

そこは、聴く側にも覚悟が求められています

10シーズン目を迎えるこのコンビのコンサートは、5月7月、10月、11月12月に予定されています。

 

お願い

 

コロナ禍とウクライナ情勢の影響で、公演の有無をふくめ、コンサートの日時、チケット発売日、曲目の変更、出演者の変更などなど、急な変更が日々いろいろ発生しているのが現状で、個人ではとても追い切れないものがあります。

ですので、こちらのページはあくまで大まかな地図としてお役立ていただいて、詳細は各公式サイト・各プレイガイドで必ず確認をお願いします

 

個人で集めている情報ですので、記載ミスなどもあるかもしれません。

その際にはどうぞご容赦ください。

 

10月のおすすめコンサート

コンサートはだいたいの日付順で掲載しています。

🔰=「曲目もスタンダードで入門に最適」マーク

=「今月、とくにコレに期待」マーク

演奏家の写真=関連のあるAmazon商品ページにリンク、著作権上問題のないものを使用しています。

 

また、このブログではオンライン配信のものも多くご紹介しています。

オンライン配信の聴き方については、「クラシック音楽をオンライン(サブスク定額制)で楽しむ~音楽好きが実際に使ってみました~」のページにまとめています。

 

🔰ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団
モーツァルト・マチネ(神奈川)

10/1(日)11:00@ミューザ川崎
公演詳細ページ
《オール・モーツァルト・プログラム》
ディヴェルティメント ニ長調 K. 136(125a)
交響曲 第31番 ニ長調 K. 297(300a)「パリ」( 鑑賞ガイド )
交響曲 第35番 ニ長調 K. 385「ハフナー」( 鑑賞ガイド )

お薦めPOINT♪

このブログでは、ジョナサン・ノット指揮する東京交響楽団を推していますが、同じくらい、オランダの名匠ユベール・スダーンが指揮する東京交響楽団の演奏会もお薦めです。

スダーンは、ノットの一代前の音楽監督で、現在の東京交響楽団の礎をきづいた名指揮者です。

現在は年に1、2回の登場回数になっていて、2023年は、この10月のモーツァルトと12月の定期演奏会に出演予定です。

「モーツァルト・マチネ」のシリーズは、ミューザ川崎で行われている、休日の午前11時スタートの70分ショート・コンサート。

今回は、モーツァルトの作品のなかでも、特に人気の名曲が3曲演奏されます。

万人にお薦めできるコンサートです。

ブルックナー:交響曲第7番、2009年ライヴ録音(ユベール・スダーン&東京交響楽団)」Amazon

 

 

鈴木秀美 指揮
佐藤俊介(vn)
パシフィックフィルハーモニア東京(東京)

10/1(日)14:00@東京オペラシティ
公演詳細ページ
メンデルスゾーン:交響曲第4番イ長調《イタリア》( 鑑賞ガイド )
シューマン/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調
(Vn)佐藤俊介
シューマン:交響曲第4番ニ短調 (1841年原典版)

お薦めPOINT♪

東京ニューシティ管弦楽団から名称変更して、あたらしいスタートを切ったパシフィックフィルハーモニア東京

2023年は注目公演が目白押しで、目が離せません。

この公演では、古楽のパイオニアである鈴木秀美さんを指揮に迎えて、メンデルスゾーンとシューマンの交響曲第4番を並べるという、面白いプログラミングになっています。

2曲目には、オランダ・バッハ協会の音楽監督を務め、古楽奏法でも活躍しているヴァイオリニスト、佐藤俊介さんをソリストに、シューマンの秘曲、ヴァイオリン協奏曲が演奏されます。

鈴木秀美さんと佐藤俊介さんという、いずれも古楽の分野を中心に活躍しているふたりが、ロマン派の作品を演奏するという、興味深いコンサートです。

 

🔰飯森範親 指揮
松田華音(piano)
パシフィックフィルハーモニア東京(東京)

10月4日(水)19:00@サントリーホール
公演詳細ページ
越天楽 (近衛秀麿による管弦楽版)
ショパン/ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 作品11 (近衛秀麿編曲)
ムソルグスキー/組曲「展覧会の絵」 (近衛秀麿編曲)

お薦めPOINT♪

こちらも、新しいスタートを切ったオーケストラ、パシフィックフィルハーモニア東京の注目公演。

プログラミングが非常に凝っていて、数年前に『戦火のマエストロ・近衛秀麿 〜ユダヤ人の命を救った音楽家〜』というNHKのドキュメンタリーでも話題になった、日本のオーケストラ活動のパイオニア、近衛秀麿(1898-1973)の編曲作品で構成されています。

しかも、それを音楽監督である飯森範親さんの指揮、ソリストにはロシアで頭角を現した松田華音さん(松田華音さんの2022年リサイタル・レビュー)という、万全の布陣でやろうというところに、価値があります。

こちらも全曲、聴きどころの注目公演です。

『戦火のマエストロ 近衛秀麿』菅野冬樹 著 NHK出版(Amazon)

 

 

鈴木秀美 指揮
愛知室内オーケストラ(愛知)

10/6(金)18:45@三井住友海上しらかわホール
公演詳細ページ
ハイドン:交響曲第26番「ラメンタチオーネ」
ハイドン:交響曲第60番「うかつ者」
シューベルト:交響曲第1番

お薦めPOINT♪

古楽のパイオニアである鈴木秀美さんと、進境著しい愛知室内オーケストラの共演という、顔合わせの妙が期待を抱かずにいられない公演です。

しかも、プログラム前半には、鈴木秀美さんが得意とするハイドンの交響曲が置かれて、プログラミングも言うことなしです。

シューベルトの交響曲第1番は、あまり演奏されない作品ですが、古楽系の指揮者たちが楽しい演奏を聴かせてくれることが多い作品。

こちらも期待されます。

 

 

ジェイムズ・バーンズ作曲&指揮
オオサカ・シオン・ウィンドオーケストラ
バーンズ交響曲全曲演奏会(大阪)※指揮者変更

9/16(土)14:00@ザ・シンフォニーホール
公演詳細ページ
J・バーンズ:交響曲第6番・第1番(改訂版 世界初演)・第2番

9/24(日)14:00@ザ・シンフォニーホール
公演詳細ページ
J・バーンズ:交響曲第4番「イエローストーン・ポートレート」
〃:交響曲第5番「フェニックス」

10/2(月)19:00@ザ・シンフォニーホール
公演詳細ページ
J・バーンズ:交響曲第8番・交響的葬送曲(交響曲第7番)

10/8(日)14:00@ザ・シンフォニーホール
公演詳細ページ
J・バーンズ:交響曲第9番・第3番

お薦めPOINT♪

ジェイムズ・バーンズはアメリカ出身、「アルヴァマー序曲」など、吹奏楽の世界で著名な作曲家です。

当初、バーンズ氏がこれまでに作曲した交響曲(全9曲)をオオサカ・シオン(旧 大阪市音楽団、公式HP)と自作自演するという驚きの企画でしたが、バーンズ氏の健康問題で指揮者変更となってしまいました。

バーンズ氏の健康が回復しますように。

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)

 

 

沖澤のどか指揮
東京交響楽団(神奈川)

10/7(土)14:00@ミューザ川崎
公演詳細ページ
【オール・ストラヴィンスキー・プログラム】
「プルチネッラ」 組曲( ♫鑑賞ガイド  )
詩篇交響曲
ペトルーシュカ (1947年版)

お薦めPOINT♪

ジョナサン・ノットのもとで黄金時代をむかえている東京交響楽団と、日本の女性指揮者のなかで特に活躍の場をひろげている沖澤のどかさんの共演。

まさに、顔合わせの妙。

京都市交響楽団のあたらしい常任指揮者にも選ばれて、躍進著しい沖沢のどかさんが、東京交響楽団を指揮して、どんなストラヴィンスキーを奏でるのか。

指揮者、オーケストラ、曲目の組み合わせが興味深い、注目の公演です。

 

 

オーストラリア室内管弦楽団
&リチャード・トネッティ(東京)

10/10(火)19:00@紀尾井ホール
公演詳細ページ
ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第1番ホ短調《クロイツェル・ソナタ》
ハース:弦楽四重奏曲第2番op.7
ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第9番イ長調 op.47《クロイツェル》
※すべてトネッティ編曲による弦楽オーケストラ版

お薦めPOINT♪

世界的に有名な室内管弦楽団のひとつ、オーストラリア室内管弦団が来日します。

オーストラリアの「国立」の楽団で、スタイルとしては、いかにも現代の室内オーケストラらしい、尖った方向性の音楽を奏でる団体です。

曲目もしっかりと彼らのスタイルを感じさせるもので、すべて、リーダーであるリチャード・トネッティが室内楽曲をオーケストラ用に編曲したものになっています。

それも、最初と最後がヤナーチェクとベートーヴェンの《クロイツェル》

そのふたつの《クロイツェル》で、強制収容所で命を落としたユダヤ系チェコ人の作曲家パヴェル・ハース(1899-1944)の作品を挟むという、非常に凝ったプログラミングになっています。

室内オーケストラの最前線を体験できる公演になるでしょう。

※楽団が公式に配信しているYouTube動画で、ベートーヴェンの《クロイツェル・ソナタ》の終楽章を観ることができます。

 

 

カーチュン・ウォン指揮
日本フィルハーモニー交響楽団(東京)

10/13(金)19:00@サントリーホール
10/14(土)14:00@サントリーホール
公演詳細ページ
マーラー:交響曲第3番ニ短調( ♫ 鑑賞ガイド
(メゾ・ソプラノ:山下牧子)

(女声合唱:harmonia ensemble)
(児童合唱:東京少年少女合唱隊)

10/21(土)17:00@横浜みなとみらいホール
公演詳細ページ
10/22(日)14:00@サントリーホール
公演詳細ページ
ショパン:ピアノ協奏曲第1番ホ短調
(piano, 亀井聖矢)
ブラームス:交響曲第1番 ハ短調 

お薦めPOINT♪

■シンガポール出身、9月から日本フィルハーモニー交響楽団の新しい首席指揮者であるカーチュン・ウォンの登場です。

■首席指揮者への就任披露公演では、かつては史上最も長い交響曲としてギネスにも載っていた、マーラーの交響曲第3番ニ短調という大曲がプログラムされています。

長大な作品ですが、決して聴きにくい音楽ではなくて、フィナーレでは当初「愛が私に語ること」という表題がつけられていた、とても美しい、雄大な音楽に到達します。

カーチュン・ウォンは、マーラーを得意にしているので、期待の大きな公演になります。

■もうひとつのプログラムは、ショパンのピアノ協奏曲第1番に、ブラームスの交響曲第1番をならべた、クラシックの王道プログラム

「第1番」をならべたのも、首席指揮者としての“ スタート ”という意味合いがあるのかもしれません。

完成までに20年もの歳月を要したとされるブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)の交響曲第1番は、「暗から明へ」のプロットを体現した、クラシック音楽の傑作中の傑作。

これを就任してすぐにプログラムするあたりにも、カーチュン・ウォンの気概を感じます。

■このコンビによる1月の公演を聴きましたが、カーチュン・ウォンの指揮のもと、オーケストラがまったく新鮮に、とても立体的に、美しく響くことに驚きました♪ 公演レビュー)。

日本フィルハーモニー交響楽団は、いま、新時代を迎えつつあります。

とてもクリアな音を引きだす、色彩感覚に秀でた指揮者との船出に期待です。

 

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)

 

 

ジョナサン・ノット指揮
東京交響楽団(東京・神奈川)

10/14(土)14:00@ミューザ川崎
公演詳細ページ
10/15(日)14:00@サントリーホール
公演詳細ページ
ドビュッシー(ノット編):交響的組曲 「ペレアスとメリザンド」
ヤナーチェク:グラゴル・ミサ
(S)カテジナ・クネジコヴァ
(MS)ステファニー・イラーニ
(T)マッテオ・リッピ
(B)ヤン・マルティニーク
東響コーラス

10/21(土)14:00@東京オペラシティ
公演詳細ページ
リゲティ:ハンガリアン・ロック
(org)大木麻理
ベリオ:声 [フォーク・ソングⅡ] ~ヴィオラと2つの楽器グループのための
(Va)ディミトリ・ムラト
ブルックナー:交響曲 第1番 ハ短調

お薦めPOINT♪

■このブログでは、「本格的なクラシック・コンサートを体験してみたい」という方には、まずジョナサン・ノット&東京交響楽団のコンサートに行ってみることをお薦めしています。

ただ、曲目はちょっと重いので、完全初心者向けというわけではありません。

この絶好調コンビによる、今年度のひとつのハイライトになると予想しているのが、このヤナーチェク:グラゴル・ミサのコンサートです。

■前半はドビュッシー唯一のオペラ作品「ペレアスとメリザンド」からのエッセンスをノット自らが編纂した、交響的組曲 「ペレアスとメリザンド」が演奏されます。

オーケストラだけで、抒情性豊かな、静かなる官能の世界が描かれていきます。

この作品は、ノットがやはり音楽監督をつとめる名門スイス・ロマンド管弦楽団との録音がすでにリリースされていて、どのような作品なのかを聴くことができます。

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)
※どういうわけか、珍しくAmazonMusicだけ見つかりません…

 

■コンサート後半は、モラヴィアの作曲家レオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)が世を去る前年に書きあげたグラゴル・ミサ

この大作曲家の独創性がはっきりと刻まれた傑作で、パイプオルガンの独奏まで導入されるその強烈な音楽は、まさにジョナサン・ノットにうってつけのもの。

■どちらの作品も、クラシック・ファンでないかぎり、1フレーズも耳にしたことがないであろう作品ですので、その点では、ハードルがあると思います。

ただ、「本格的なオーケストラ体験」をもとめるなら、やはり、お薦めの公演です。

 

■いっぽうで、昨シーズン、第2番の交響曲ですばらしい演奏(公演レビュー)を体験したブルックナー・シリーズのコンサートですが、今回もまた、たいへん渋い「第1番」が選ばれています。

ただ、会場が東京オペラシティというのが、ちょっと残念に思っています。

このホールは、NHKホールとは反対に、フル・オーケストラを聴くには狭すぎて、音がすぐに飽和してしまうホールです。

ブラームス作品ですら飽和してしまうので、ブルックナーのように金管楽器が鳴り響く作品になれば余計です。

これがミューザ川崎での公演なら「お薦め!」と言い切れるのですが‥会場と作品との相性という点で、残念です。

どちらかひとつのプログラムを聴くのであれば、ヤナーチェクがメインのほうをお薦めします。

 

 

ヘルベルト・ブロムシュテット指揮
NHK交響楽団(東京・神奈川・埼玉)

10/14(土)18:00@NHKホール
公演詳細ページ
10/15(日)14:00@NHKホール
公演詳細ページ
ブルックナー:交響曲第5番変ロ長調

10/20(金)19:30@NHKホール
公演詳細ページ
10/21(土)14:00@NHKホール
公演詳細ページ
ニルセン:アラジン組曲 作品34
-「祝祭行進曲」「ヒンドゥーの踊り」「イスファハンの市場」「黒人の踊り」
シベリウス:交響曲 第2番 ニ長調 作品43

10/25(水)19:00@サントリーホール
公演詳細ページ
10/26(木)19:00@サントリーホール
公演詳細ページ
10/28(土)15:30@横浜みなとみらいホール
(公演詳細ページ)
10/29(日)14:00@所沢ミューズ
公演詳細ページ
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 作品73 「皇帝」
(piano)レイフ・オヴェ・アンスネス

ブラームス:交響曲 第3番 ヘ長調 作品90

お薦めPOINT♪

■来日時96歳(!!)という、アメリカ生まれのスウェーデン人の名指揮者、ブロムシュテットが指揮台にあがります。

昨年にひきつづき、今年もNHK交響楽団と共演予定です。

■プログラムは3種類。

ブルックナーの5番は、演奏に80分前後がかかる大作で、フィナーレに奇跡のようなコーダを持つ傑作です。

ただ、その曲の長さゆえに、初心者向けとは言いにくいので、その意味では、初心者ほどシベリウスの交響曲第2番、ブラームスの交響曲第3番がそれぞれメインになっている日のほうが楽しみやすいと思います。

シベリウスがメインの日は、ショート・プログラム(休憩なし、60~80分)のシリーズなので、チケット代もすこし抑えられています。

 

■ただ、NHK交響楽団のコンサートは「会場」に注意が必要です。

サントリーホールや東京芸術劇場などのクラシックコンサート向けの会場はだいたい2000席の規模ですが、NHKホールは3500席以上。

あまりに広すぎて響きがわるく、オーケストラの音が遠くなるのでクラシックには向かない会場です。

なので、この会場で聴くなら、チケット代は高くなりますが、とにかく前の席を買うしかありません。

■サントリーホール公演は、そうした不満を解消するために始まったシリーズですが、こちらはそれゆえに会員席でほとんど売り切れてしまい、特に、最長老指揮者であるブロムシュテットの登場となると即完売してしまうでしょう。

となると、やはり「地方公演」がいちばんのお薦めということになります。

NHK交響楽団は、聴きに行きたくても、とにかく諸条件がむずかしいオーケストラです。。

『ヘルベルト・ブロムシュテット自伝 音楽こそわが天命』 Amazon

 

 

クラウス・マケラ指揮
オスロ・フィルハーモニー
辻井伸行(ピアノ)(東京・愛知)

10/18(水)@東京芸術劇場
シベリウス:交響曲第2番
シベリウス:交響曲第5番

10/21(土)14:00@愛知県芸術劇場
公演詳細ページ
ショスタコーヴィチ:祝典序曲
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番
(piano、辻井伸行)
R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》

10/23(月)@サントリーホール
ショスタコーヴィチ:祝典序曲
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番
(piano、辻井伸行)
R.シュトラウス:交響詩《英雄の生涯》

10/24(火)@サントリーホール
シベリウス:交響曲第2番
シベリウス:交響曲第5番

公演詳細ページ

お薦めPOINT♪

■昨年2022年に日本でも大きな話題となった、フィンランド出身の若手指揮者クラウス・マケラが2023年も来日します。

来日時、まだ27歳という若さですが、「ヨーロッパを席巻している」といって間違いのない活躍ぶりで、すでにパリ管弦楽団の音楽監督とオスロ・フィルハーモニーの首席指揮者を兼任していて、さらに、2027年からは名門アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任することが発表されて、注目度は増すばかりです。

今回は、ノルウェーの名門オスロ・フィルハーモニーとの来日です。

 

■プログラムは2種類。

北欧の大作曲家シベリウス・プログラムの日は、壮大なロマン派交響曲である「第2番」を前半において、後半には、作曲者の生誕50周年記念演奏会のために書かれた、祝祭的な性格の「第5番」という、人気作品が並んだものになっています。

もういっぽうの日は、吹奏楽で人気のショスタコーヴィチ:祝典序曲、さらにはディズニー映画「ファンタジア2000」でも引用されたショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第2番が前半に置かれていて、ソリストとして、人気ピアニストの辻井伸行さんが出演します。

後半には、R・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」という、R・シュトラウスが自身のことを描いたのではないかと推測されている、大編成オーケストラのための作品が置かれています。

 

■マケラのチケットは、昨年のパリ管弦楽団との公演が驚くほど高額な価格設定でしたので心配していましたが、こちらはさすがにパリ菅ほど高額にはならなかったようです。

とは言え、海外メジャーオーケストラ公演なので1万円スタートというチケット価格で、初心者に簡単にはおすすめしづらいチケット価格ですが、ヨーロッパのクラシック音楽界の最前線を体験したい方、昨年の公演などですでにマケラに魅了されている方、ちょっと奮発してもいいよ、という方にお薦めの公演です。

 

( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)

 

シベリウス・交響曲第2&5番(日本限定盤)」Amazon

 

 

尾高忠明 指揮
大阪フィルハーモニー(大阪)

10/20(金)19:00@フェスティバルホール
公演詳細ページ
10/21(土)14:00@フェスティバルホール
公演詳細ページ
モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216
(Vn)岡本誠司
ウォルトン:交響曲第1番変ロ短調

お薦めPOINT♪

好調の尾高忠明さん&大阪フィルハーモニーのコンビが、イギリスの大作曲家ウィリアム・ウォルトン(1902-1983)の傑作、交響曲第1番を取りあげます。

尾高忠明さんは、イギリスのBBCウェールズ交響楽団で活躍された経歴のある方で、日本人にはめずらしくイギリス音楽を得意にされています。

日本では必ずしも聴ける機会が多いわけではないウォルトンの傑作を、尾高忠明さんの指揮で体験できる、それだけで十分にお薦めのコンサートになります。

 

 

山下一史 指揮
仙台フィル(宮城)

10/20(金)19:00@日立システムズホール仙台・コンサートホール
10/21(土)15:00@日立システムズホール仙台・コンサートホール
(公演詳細ページ)
外山雄三:管弦楽のためのラプソディ
ハチャトゥリアン:組曲「ヴァレンシアの寡婦」
シベリウス:交響曲第5番 変ホ長調

お薦めPOINT♪

近年、とくに活躍の目立つ山下一史さんの登場。

そして、これはプログラミングの魅力がとても大きいコンサートです。

日本のオーケストラが海外公演でアンコール演奏することの多い、ソーラン節などが登場する外山雄三:管弦楽のためのラプソディ、オーケストラよりも吹奏楽でよく演奏されるハチャトゥリアン:「ヴァレンシアの寡婦」、そして、フィンランドの大作曲家シベリウスの祝祭的な交響曲第5番

最初から最後まで、いろいろな聴きどころが満載のコンサートです。

 

 

🔰セミョン・ビシュコフ指揮
チェコ・フィルハーモニー管弦楽団(愛知・大阪・神奈川)

10/28(土)17:00@愛知県芸術劇場コンサートホール
公演詳細ページ
10/29(日)14:00@サントリーホール
公演詳細ページ
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調
(Vc, パブロ・フェランデス)
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調

10/31(火)19:00@サントリーホール
公演詳細ページ
ドヴォルザーク:ピアノ協奏曲ト短調
(piano、藤田真央)
ドヴォルザーク:交響曲第7番ニ短調

11/1(水)19:00@サントリーホール
公演詳細ページ
ドヴォルザーク:ヴァイオリン協奏曲イ短調
(Vn、ギル・シャハム)
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界より」

11/3(金・祝)15:00@ザ・シンフォニーホール
公演詳細ページ
ドヴォルザーク:「オテロ」序曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲ロ短調
(Vc, パブロ・フェランデス)
ドヴォルザーク:交響曲 第8番ト長調

11/4(土)14:00@横浜みなとみらいホール
公演詳細ページ
ドヴォルザーク:交響曲第8番ト長調
ドヴォルザーク:交響曲第9番ホ短調「新世界より」

お薦めPOINT♪

■東欧の名門、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団が、2018年から音楽監督をつとめるセミョン・ビシュコフと来日します。

ビシュコフはロシア出身、アメリカへ亡命した名指揮者で、若くして名をはせた彼ももう70歳です。

 

■今回は、オーケストラゆかりのチェコの大作曲家ドヴォルザーク一色のプログラミングのようです。

このコンビはチャイコフスキーの交響曲全集を録音したり、最近も一連のマーラーのリリースが続いているので、そうした演目も期待していたのですが、今回の来日プログラムは日本側のリクエストでしょうか。

コアな音楽ファンはがっかりかもしれませんが、ただ、その分、クラシック初心者には親しみやすい演目が並びました

 

■古今のチェロ協奏曲のなかで最高峰の傑作とされる人気作「チェロ協奏曲 ロ短調」がプログラミングされているのは当然として、ほとんど取り上げられる機会のない「ピアノ協奏曲」は人気沸騰中の藤田真央さんのピアノ・ソロで、こちらもそれほど取り上げられない「ヴァイオリン協奏曲」は名手ギル・シャハムのヴァイオリン・ソロでと、“ 協奏曲 ”に特色のあるプログラムになっています。

 

■ビシュコフは、たいへんエネルギーに満ちた音楽を展開する指揮者で、まったく奇をてらわない、音楽への真摯な姿勢が特徴。

もうあまりに演奏されすぎてしまったドヴォルザークの名曲たちに、新しい息吹を吹き込むことを期待したい公演です。

チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」(ビシュコフ&チェコ・フィル)Amazon

 

 

井上道義 指揮
群馬交響楽団(群馬・東京)

10/28(土)16:00@高崎芸術劇場
(公演詳細ページ)
10/29(日)15:00@すみだトリフォニー
(公演詳細ページ)
モーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K488
(piano)仲道郁代
ショスタコーヴィチ:交響曲第4番ハ短調

お薦めPOINT♪

2024年末での引退を発表している井上道義さんの指揮。

メインは得意のショスタコーヴィチの交響曲で、しかも、とくに規模の大きい交響曲第4番が選ばれています。

2022年には東京交響楽団がジョナサン・ノットと記念碑的な演奏を成し遂げたばかりですので(公演レビュー)、それに続くような、一期一会の演奏になることを期待したいです。

井上道義さんのショスタコーヴィチ:交響曲第4番は、大阪フィルとの録音がオンラインでも配信されていますが、2023年1月時点では、どういうわけかAmazonMusicのみで聴けるようです。

 

 

 

オスモ・ヴァンスカ指揮
東京都交響楽団(東京)

10/30(月)19:00@東京文化会館
公演詳細ページ
シベリウス:交響曲第5番、第6番&第7番

お薦めPOINT♪

フィンランドのラハティ交響楽団とのコンビで一世を風靡した、フィンランドの指揮者オスモ・ヴァンスカが登場して、シベリウスの交響曲を一晩で3曲も指揮します。

来日時にヴァンスカは70歳、指揮者としては円熟期にあたるような年齢ですので、いっそう奥行きのある演奏が聴けるかもしれません。

シベリウスの交響曲をまとめて3曲も、しかも、シベリウスのスペシャリストとして名高い指揮者で聴く機会というのは、とっても貴重です。

北欧の音楽、さらにはシベリウス作品に魅力を感じている方に、お薦めの公演です。

 

 

 

♫ほかの月については、「コンサートに行こう!お薦め演奏会」ページからおねがいします。

 

 

 

♫クラシック音楽にまつわるTシャツ・トートバッグなどをリリースしています。

 

 

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