クラシック音楽のコンサートはもともと発売時期もいろいろですし、昨今はコロナ禍とウクライナ情勢で、情報公開がとてもゆっくりになっています。
ですので、このページは随時更新をしていきます。
どうぞ、ときおりご覧になってください。
初心者に体験していただきたい、本格的なクラシック・コンサートを選んでご紹介しています。
こちらでは2023年の12月をご紹介。
そのほかの月はそれぞれ別ページに記載していますので、『コンサートに行こう!お薦めの演奏会』のページから移動をおねがいします。
Contents
- 1 曲目ではなく、演奏者で選ぶのがクラシック・コンサート
- 2 主観で選んでいます
- 3 初心者の方へのアドバイス
- 4 お願い
- 5 12月のおすすめコンサート
- 6 🔰★山下一史 指揮 ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ) 愛知室内オーケストラ(愛知)
- 7 ★クリスチャン・ツィメルマン ピアノ・リサイタル(新潟・鹿児島・広島・愛知・神奈川・東京・茨城・兵庫)
- 8 🔰★ポール・メイエ(指揮&クラリネット) 東京交響楽団 モーツァルト・マチネ
- 9 ファビオ・ルイージ指揮 NHK交響楽団(東京・千葉)
- 10 ウラディーミル・フェドセーエフ指揮 ニコライ・ルガンスキーpiano 広島交響楽団(広島)
- 11 カーチュン・ウォン指揮 日本フィルハーモニー交響楽団(東京)
- 12 上岡敏之×東京二期会プロジェクト 読売日本交響楽団(東京)
- 13 🔰★ユベール・スダーン指揮 東京交響楽団(東京)
- 14 山下一史 指揮 愛知室内オーケストラ 特別演奏会2023(東京)
- 15 ★吉井瑞穂 オーボエ・リサイタル(東京)
- 16 ★クァルテット・インテグラ(京都)
- 17 井上喜惟 指揮 マーラー祝祭オーケストラ(神奈川)
- 18 2023年の「第九」特集
- 19 飯森範親 指揮 パシフィック・フィルハーモニア東京 特別演奏会「第九」(東京)
- 20 尾高忠明 指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 (滋賀)
- 21 ★コバケンとその仲間たちオーケストラ 史上最高の第九に挑むvol.4(東京)
- 22 広上淳一 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 (埼玉・横浜・東京)
- 23 小林研一郎 指揮 日本フィルハーモニー交響楽団 第九演奏会(神奈川・東京)
- 24 高関健 指揮 富士山静岡交響楽団 県民参加による「歓喜の歌」第九コンサート(静岡)
- 25 高関健 指揮 仙台フィルハーモニー交響楽団 第九特別公演(宮城)
- 26 広上淳一 指揮 九州交響楽団 第九公演(福岡)
- 27 ジョナサン・ノット指揮 東京交響楽団 第九演奏会
- 28 高関健 指揮 東京シティ・フィルハーモニック 第九特別演奏会(東京)
曲目ではなく、演奏者で選ぶのがクラシック・コンサート
初めてコンサートに行くとなると『モルダウ』や『運命』といった聴いたことがある曲目で選びたくなりますが、そうではなくて、まずは誰が演奏するのかで選びましょう。
わかりやすく例えると、美味しいものが食べたければ、メニューより前に、美味しいお店を探すことが大切なのと同じです。
とはいっても、初心者であればあるほど、演奏者や指揮者の名前なんて知らないと思います。
そこで、このブログでは、クラシック音楽が大好きな私が、あくまで主観的に、自分でもチケットを買いたいと思う、お薦めのコンサート情報を厳選して掲載しています。
場所もクラシック・コンサートが集中する東京、関東、首都圏にこだわらず、北海道、東北、中部、近畿、関西、四国、中国、九州、沖縄まで、自分がそこに住んでいたら「行ってみたい!」という、とにかく気になるものを素直にピックアップしています。
主観で選んでいます
判断基準は、あくまでも、自分がこれまで実際に聴いたときの体験などの「主観」にもとづいています。
その分、しがらみや忖度はありません。
クラシックをふだん聴かない方は名前も知らないような演奏家がずらっと並んでいるかもしれませんが、「クラシック音楽と向き合ってみたい!」という方に、多少なり参考になればうれしいです。
初心者の方へのアドバイス
とくに重要なことは、
- いきなり高いチケットを買わない
- 当日券ではなく、前売りで買う
の2点です。
クラシック・コンサート初心者がいきなり高い席を買うのはお薦めしません。
理由は簡単で、クラシックのコンサートはハズレも多いからです。
私は結構コンサートに通っている方だと思いますが、いまだに予想を裏切られて、「つまらなかった…」とがっかりして帰ってくることがあります。
クラシック初心者の方が、そうした「つまらない」コンサートに当たってしまい、「クラシックって、こんなもんか」と思われてしまうのが嫌で、少しでも当たりをひく確率が上がればと、このページを作っています。
また、「前売り」については、一般的には、だいたい3~6か月前くらいにチケットの発売が開始されます。
半年先というとずいぶん先に思えるかもしれませんが、人気の公演はそれでも完売してしまいますし、最後に残るのはたいてい高い席です。
「高いお金を出したのにハズレだった」としたら、二度と行きたくならないのが人情です。
ですので、初めのうちほど、まずは手ごろな価格で、なるべく早めに前売り券を手に入れておきましょう。
こうした話を、「コンサートの選び方&チケットの買い方【初めてのクラシック・コンサート】」というページにまとめています。
さらには、チケットを手に入れたあと初心者の方が気になるであろう、「クラシックコンサートに行くときの服装」のことなどは、「コンサート当日の不安を解消!服は何を着る?持ち物は?【初めてのクラシック・コンサート】」というページにまとめています。
お願い
コロナ禍とウクライナ情勢の影響で、公演の有無をふくめ、コンサートの日時、チケット発売日、曲目の変更、出演者の変更などなど、急な変更が日々いろいろ発生しているのが現状で、個人ではとても追い切れないものがあります。
ですので、こちらのページはあくまで大まかな地図としてお役立ていただいて、詳細は各公式サイト・各プレイガイドで必ず確認をお願いします。
個人で集めている情報ですので、記載ミスなどもあるかもしれません。
その際にはどうぞご容赦ください。
12月のおすすめコンサート
コンサートはだいたいの日付順で掲載しています。
🔰=「曲目もスタンダードで入門に最適」マーク
★=「今月、とくにコレに期待」マーク
🔰★山下一史 指揮
ルートヴィヒ・クヴァント(チェロ)
愛知室内オーケストラ(愛知)
12/1(金)18:45@三井住友海上しらかわホール
(公演詳細ページ)
バルトーク:弦楽のためのディヴェルティメント
ルトスワフスキ:小組曲
ドヴォルザーク:チェロ協奏曲 ロ短調
お薦めPOINT♪
■メインはドヴォルザーク:チェロ協奏曲で、ドヴォルザーク(1841-1904)の代表作です。
このチェロ協奏曲では、数か所、ドヴォルザーク自身の若き日の歌曲「一人にして! Lasst mich allein!」が引用されています。
ドヴォルザークが50代になったころの作品ですが、実は、この曲を作曲中、ドヴォルザークの奥さんのお姉さんが重い病に倒れたという知らせが届きます。
実はその女性こそ、ドヴォルザークが若き日に恋心をいだいていた女性で、けれど、この恋は実らず、後年、妹さんと再会を果たし結婚に至りました。
その失恋相手でもあるお姉さんが、昔、「この歌が好き」と言ってくれた歌曲こそが、この曲で引用されている歌曲です。
全曲の最後、突然に静かな場面がはじまりますが、これはそのお姉さんが他界したあとに加筆された部分で、ここでもその歌曲が引用されて、ドヴォルザークの心の内が吐露された音楽となっています。
最後まで威勢よく終わったほうがいいとして、この部分をカットすることを提案する人もいたそうですが、ドヴォルザークが激しく拒絶したというエピソードが残っています。
■今回、このチェロの名曲でソロを弾くのは、アッバード時代から長くベルリン・フィルの首席チェリストでもあるルートヴィヒ・クヴァント。
好調の山下一史さん&愛知室内オーケストラのコンビとの共演で、とてもお薦めです。
★クリスチャン・ツィメルマン
ピアノ・リサイタル(新潟・鹿児島・広島・愛知・神奈川・東京・茨城・兵庫)
11/4(土)@柏崎市文化会館アルフォーレ
(公演詳細ページ)
11/22(水)19:00@川商ホール第1(鹿児島市民文化ホール)
(公演詳細ページ)
11/25(土)17:00@ふくやま芸術文化ホール
(公演詳細ページ)
11/30(木)18:45@愛知県芸術劇場
(公演詳細ページ)
12/2@横浜みなとみらいホール
(公演詳細ページ)
12/4(月)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12/6(水)@水戸芸術館
(公演詳細ページ)
12/9(土)17:00@兵庫県立芸術文化センター
(公演詳細ページ)
12/13(水)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12/16(土)17:00@所沢ミューズ
(公演詳細ページ)
曲目未発表
お薦めPOINT♪
■クリスチャン・ツィメルマン(ツィマーマン)は、ショパンの生まれた国ポーランド出身の名ピアニスト。来日中に67歳の誕生日を迎えます。
■18歳でショパンコンクールを制覇して以降、ずっと世界の第一線で活躍している現代を代表するピアニストです。
■完璧主義者であり、コンサートの数も自ら制限されているそうですが、日本に家をもっているくらいの親日家で、幸い、日本では一定数のコンサートが開催され、その類まれな音楽に触れる機会にめぐまれています。
■ピアノのリサイタルを聴いてみたい方に、まず第一にお薦めしたいピアニストのひとりです。
🔰★ポール・メイエ(指揮&クラリネット)
東京交響楽団
モーツァルト・マチネ
12月2日(土) 11:00@ミューザ川崎
(公演詳細ページ)
《オール・モーツァルト・プログラム》
歌劇「コジ・ファン・トゥッテ」序曲K.588
クラリネット協奏曲 イ長調 K. 622
交響曲 第41番 ハ長調 K. 551「ジュピター」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■モーツァルト(1756-1791)が亡くなる少し前に完成させた作品のひとつが、クラリネット協奏曲イ長調です。
モーツァルトの晩年の作品は、どれも不思議なほどの透明度を持っていて、この孤高の天才の晩年の境地を感じさせます。
ほの暗い音色をもつクラリネットという楽器は、晩年の大作曲家に強く訴えかけるものがあるようで、ブラームス(1833-1897)もまた、晩年にクラリネットのための傑作を書き残しています。
■このコンサートでクラリネットを吹くのは、フランスの名手ポール・メイエ。
近年は指揮者としての活動も活発ですが、この公演では、彼のクラリネットと指揮、両方を体験することができます。
■オーケストラは、ジョナサン・ノットとのコンビで絶好調の東京交響楽団なので、その顔合わせも魅力です。
■土曜日の午前11時にはじまる、休憩なし、70分の短いコンサートですので、より気軽に楽しめるコンサートになっています。
( Apple Music↑ ・ Amazon Music ・ Spotify ・ Line Music などで聴けます)
ファビオ・ルイージ指揮
NHK交響楽団(東京・千葉)
12/1(金)19:30@NHKホール
(公演詳細ページ)
12/2(土)14:00@NHKホール
(公演詳細ページ)
フンパーディンク:「ヘンゼルとグレーテル」前奏曲
ベルリオーズ:幻想交響曲( ♫ 鑑賞ガイド )
12/6(水)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12/7(木)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12/9(土)15:00@森のホール21(千葉県松戸市文化会館)
(公演詳細ページ)
ハイドン:交響曲第100番ト長調「軍隊」( ♫ 鑑賞ガイド )
リスト:ピアノ協奏曲第1番変ホ長調
(piano, アリス=紗良・オット)
レーガー:モーツァルトの主題による変奏曲とフーガ
12/16(土)18:00@NHKホール
(公演詳細ページ)
12/17(日)14:00@NHKホール
(公演詳細ページ)
マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
お薦めPOINT♪
■2022年9月からNHK交響楽団のあたらしい首席指揮者をつとめているファビオ・ルイージの登場。
オーソドックスな名曲を核に、どの演奏会も上手にプログラミングがなされていて、幸先の良い船出となっているようです。
■12月のいちばんの注目は、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」。第2000回定期演奏会の記念公演として、ファン投票で選曲されたプログラムです。
「千人の交響曲」のニックネーム通り、大編成のオーケストラに、独唱、児童合唱、混声合唱まで導入されて、全2部構成の80分におよぶ大作です。記念公演にふさわしい、祝祭的な作品が選ばれました。
■ベルリオーズ:幻想交響曲がメインの日は、休憩なし、60-80分のショートコンサートのシリーズ。
12月ということで、クリスマスシーズンの定番曲「ヘンゼルとグレーテル」がそえられ、また、どちらの曲も「魔女」という共通項を持っていて、実に素敵なプログラムです。
■ハイドンの「軍隊」にはじまる公演は、まず、この「軍隊」が注目です。古典派の作品にも手堅いルイージの美点を味わうことができるはずです。
2曲目には、人気ピアニストのアリス=紗良・オットが登場、リストのピアノ協奏曲第1番を演奏します。
大ピアニストにして大作曲家のリストがのこした名曲を、ファビオ・ルイージとアリス=紗良・オットがどのように演奏するのか、注目の顔合わせです。
43歳の若さで亡くなったレーガー(Maximilian Reger, 1873-1916)の作品は、すこしマニアックかもしれませんが、彼の作品のなかでは、比較的わかりやすい作品。ドイツ古典派の流れと、リスト・ワーグナーらのあたらしいドイツ音楽の流れの両方が流れこんだような作風で、このプログラムのメインディッシュにふさわしい選曲になっています。
■毎回書いていますが、NHK交響楽団のコンサートは演奏会場がいちばんの問題です。
本拠地のNHKホールは、クラシックを聴くには広すぎて、まったくお薦めできない会場です。
その不満解消にサントリーホール定期がはじまりましたが、こちらは人気集中で、一般発売のころにはほとんど席が残っていません。
サントリーホール公演のチケットを頑張って入手するか、あるいは、今回のように地方公演がある場合は、そちらを優先して考えてみることをおすすめします。
NHKホールで聴く場合には、安い席をあきらめて、なるべく最前列に近い、前の席を手に入れるしかありません。
ウラディーミル・フェドセーエフ指揮
ニコライ・ルガンスキーpiano
広島交響楽団(広島)
12月2日(土) 15:00@広島文化学園HBGホール
(公演詳細ページ)
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番ハ短調
(piano)ニコライ・ルガンスキー
ラフマニノフ:交響曲第2番ホ短調
お薦めPOINT♪
■生誕150年の記念年であるラフマニノフ(Sergei Rachmaninov, 1873-1943)の代表作が2つならべられたコンサート。
■「創立60周年記念プレミアム定期」ということで、ロシアの名指揮者フェドセーエフが登場するようです。
今年91歳の彼は、近年、テンポが非常に(異様に)遅くなっているので、このコンサートでも非常に独特なラフマニノフが展開されるのではないかと思います。
それを楽しめるひとには、とってもお薦めの公演です。
■ピアノ独奏には、こちらもロシアから名ピアニストのニコライ・ルガンスキーが登場ということで、指揮者・ソリスト・曲目の三拍子そろった公演です。
カーチュン・ウォン指揮
日本フィルハーモニー交響楽団(東京)
12月8日(金)19:00@サントリーホール
12月9日(土)14:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
外山雄三:交響詩《まつら》
伊福部昭:オーケストラとマリンバのための《ラウダ・コンチェルタータ》
(マリンバ)池上英樹
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調
お薦めPOINT♪
■もともとは楽団の桂冠指揮者アレクサンドル・ラザレフが登場予定でしたが、代役で、あたらしい首席指揮者カーチュン・ウォンの登場となりました。
■プログラムが意欲的。
冒頭には今年7月に他界された外山雄三(1931-2023)さんの作品、そのあとには、伊福部昭(1914-2006)のマリンバ協奏曲、メインにはロシアの大作曲家ショスタコーヴィチの代表作、交響曲第5番ニ短調がおかれています。
■日本フィルは、新首席指揮者カーチュン・ウォンと、まちがいなく新時代をむかえていて、この日もこのコンビの上昇気流を感じられるコンサートになるのではないでしょうか。
上岡敏之×東京二期会プロジェクト
読売日本交響楽団(東京)
12/9(土)18:00@東京芸術劇場
12/10(日)14:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
ストラヴィンスキー:詩篇交響曲
モーツァルト:レクイエム ニ短調 K. 626
(S)盛田麻央
(Ms)富岡明子
(T)松原 友
(B)ジョン ハオ
二期会合唱団(合唱指揮:根本卓也)
お薦めPOINT♪
■このブログで、日本人指揮者でもっとも個性的なかたとして推している上岡敏之さんの特別公演。
■「上岡敏之×東京二期会プロジェクトⅠ」と銘打たれているので、今後もシリーズとして展開されるのかもしれません。
■モーツァルト最後の作品である「レクイエム」という超有名曲の前に、ストラヴィンスキーの詩編交響曲がおかれた、とても意欲的なプログラムになっています。
■年末で合唱というと「第九」が恒例ですが、こうして、モーツァルトの宗教曲に耳を澄ますのも素敵な時間になるかもしれません。
🔰★ユベール・スダーン指揮
東京交響楽団(東京)
12月16日(土)18:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12月17日(日)14:00@ミューザ川崎
(公演詳細ページ)
シューマン(マーラー編曲):交響曲第1番「春」変ロ長調( ♫ 鑑賞ガイド )
ブラームス(シェーンベルク編曲):ピアノ四重奏曲第1番ト短調
お薦めPOINT♪
★★★2023年、いちばん期待しているオーケストラ公演がこちらのコンサートです★★★
■メインはブラームス(シェーンベルク編曲):ピアノ四重奏曲第1番。
ブラームス(1833-1897)が室内楽作品として書いた原曲を、シェーンベルク(1874-1951)が1937年に、オーケストラ用にアレンジした作品です。
シンバル、木琴、鉄琴、タンバリンなど、多種多様な楽器まで投入して、ブラームスの若き日の情熱あふれる作品を、最大限に拡大して見せた、編曲作品の傑作です。
■前半には、シューマンが愛する妻クララとの新婚生活のなかで書きあげた交響曲第1番「春」が、大作曲家マーラーによる編曲版で演奏され、前半も後半も聴きどころ満載です。
■指揮は、オランダ出身のユベール・スダーン、東京交響楽団を現在の位置づけまで押し上げた名匠です。
■このプログラム、実は昨年、スダーンが大阪で指揮したものとまったく同じ。
あれを聴くために、大阪へ泊りがけで聴きに行こうかと本気で悩んだくらいでしたが、東京交響楽団と関東でもやってほしいと願っていたら、まさかのまさかで夢が叶いました。
■スダーンは、堅実なイメージの指揮者ですが、デモーニッシュな作品でこそ、その最大限の魅力を感じることができます。
そんなスダーンにとって、シェーンベルク編曲によるブラームス作品は、まさにうってつけの音楽です。
スダーンのそうした魅力が録音で記録されたものはまったく見当たらないので、是非、会場で体験してください。
■ジョナサン・ノット人気の高さに隠れてしまっている公演かもしれませんが、2023年の一押しの公演です。
「ブルックナー:交響曲第7番 スダーン&東京交響楽団2009年Live録音盤」Amazon
山下一史 指揮
愛知室内オーケストラ
特別演奏会2023(東京)
12月22日(金)19:00@紀尾井ホール
(公演詳細ページ)
シューマン:《マンフレッド》序曲
シューマン:ピアノ協奏曲
(piano)ゲオハルト・オピッツ
ベートーヴェン:交響曲 第7番
お薦めPOINT♪
■注目の愛知室内オーケストラによる、東京公演です。
■ピアノ独奏に御年70歳のドイツの名ピアニスト、ゲオハルト・オピッツをむかえた特別公演とのこと。
■地元公演では非常に示唆に富んだプログラミングが魅力の楽団ですが、ここでは、なぜかスタンダートなプログラムが組まれました。そこは、ちょっと残念に思います。
★吉井瑞穂
オーボエ・リサイタル(東京)
12月22日(金)13:30@王子ホール
(公演詳細ページ)
R. シューマン:
献呈(「ミルテの花」 Op.25より)
C. シューマン:
3つのロマンス Op.22
R. シューマン:
「子供の情景」 Op.15より [フォルテピアノ独奏]
R. シューマン:
アダージョとアレグロ Op.70
C. シューマン:
ノットゥルノ(「音楽の夜会」 Op.6より) [フォルテピアノ独奏]
R. シューマン:
幻想小曲集 Op.73
小倉貴久子(フォルテピアノ)
お薦めPOINT♪
■知る人ぞ知る存在なのかもしれませんが、吉井瑞穂さんはあのマーラー室内管弦楽団の首席奏者をずっと務めていらしたオーボエ奏者。
私は昨年そのソロリサイタルを初めて聴いて、心から感動しました。
■今回は「クララ&ロベルト・シューマンの世界」と題され、シューマン夫妻の作品が並べられています。
■管楽器に興味のある方、シューマンの音楽が好きな方にお薦めの公演。
■平日昼間の公演です。
★クァルテット・インテグラ(京都)
12/23(土)14:00@青山音楽記念館バロックザール
(公演詳細ページ)
【オール・ベートーヴェン・プログラム】
弦楽四重奏曲 第14番 嬰ハ短調 作品131
弦楽四重奏曲 第15番 イ短調 作品132
弦楽四重奏曲 第16番 ヘ長調 作品135
お薦めPOINT♪
■昨年のミュンヘン国際音楽コンクールで弦楽四重奏部門2位と聴衆賞を受賞した、注目の若手弦楽四重奏団クァルテット・インテグラがベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲を演奏するコンサート。
■ベートーヴェンの後期弦楽四重奏曲は、彼の数ある作品のなかでも、最も崇高で、最も深淵な世界です。
ですので、初心者向けというよりも、ある程度クラシックを聴き込んだ方向けかもしれません。
初心者の場合は、ベートーヴェンの弦楽四重奏でも「中期」の作品群のほうが親しみやすいです。
■年末の冬の時期というのは、こうした作品にじっと耳を傾けるにはうってつけの季節。
「音楽を超えた音楽」とまで形容される、これらの作品群に向き合ってみたい方にお薦めのコンサートです。
井上喜惟 指揮
マーラー祝祭オーケストラ(神奈川)
12/24(日)13:30@ミューザ川崎
(公演詳細ページ)
ヤナーチェク:シンフォニエッタ
マーラー:「嘆きの歌」
お薦めPOINT♪
■こちらは、プロではなく、アマチュア・オーケストラの公演です。
■以前、「なぜこんな凄い指揮者がアマチュア・オケで仕事を…?~マーラー祝祭オーケストラを聴いて」という記事でご紹介したことのある、非常に興味深い指揮者でいらっしゃる井上喜惟(いのうえ・ひさよし)さんの主催されているオーケストラの公演です。
■万人向けというより、クラシックに造詣の深い方にお薦めしたい公演です。アマチュア・オーケストラですから、技術的なところでいろいろと不安定なところも散見されますが、それを超えたところで凄いことをやっています。特に、マーラーをとりあげるときにその美点が強く発揮されているように感じているので、今回の公演はその点でもお薦めです。
2023年の「第九」特集
日本の年末を彩る風物詩、ベートーヴェンの「第九」公演からお薦めのものを、独自にピックアップしてみました。
飯森範親 指揮
パシフィック・フィルハーモニア東京
特別演奏会「第九」(東京)
12月2日(土)14:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
モーツァルト:交響曲第7番aト長調「旧ランバッハ」K.Anh221
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■名称変更して新しく船出したオーケストラによる、新鮮な音楽づくりを期待したい「第九」公演。
■今年2023年は、登場する指揮者やプログラミングの選定が非常に挑戦的で、公演を聴くたびに、もっともっと注目をあつめていい楽団だと思わされます。
■集客に非常に苦労しているようですが、来年度以降も果敢なスタンスを保てるように応援していきたいコンビです。
尾高忠明 指揮
大阪フィルハーモニー交響楽団
(滋賀)
12月9日(土)17:00@びわ湖ホール
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■大阪フィルの2023年第九公演は、本拠地での公演は客演指揮者に任されるようですが、こちらの滋賀県の公演では、音楽監督の尾高忠明さんが登場して第九を振るようです。
■大阪フィルと新時代を築いている尾高忠明さんの第九が聴ける、貴重な公演。
★コバケンとその仲間たちオーケストラ
史上最高の第九に挑むvol.4(東京)
12月10日(日) 19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱付き」( ♫ 鑑賞ガイド )
指揮:小林研一郎
ソプラノ:市原愛 メゾソプラノ:山下牧子
テノール:笛田博昭 バリトン:寺田功治
司会:朝岡聡
合唱:史上最高の第九に挑む合唱団
コバケンとその仲間たちオーケストラ
お薦めPOINT♪
■日本の年末を彩る恒例の第九公演のなかで、ちょっと毛色の違う公演としておすすめです。
「面白さ」という点では、日本随一の第九だと思います。
■「コバケンとその仲間たちオーケストラ」は、今年83歳の指揮者の小林研一郎さんのもとにあつまった音楽家たちによる、特別なオーケストラ。
プロ、アマチュアの垣根をとりはらっているだけでなく、視覚障害者の方なども参加していて、通常のプロオーケストラとは全くちがうパワーに満ちた楽団です。
■わたしは昨年このコンサートをはじめて体験して、とにかくびっくりの連続でした。前回は映画の上映から始まりましたが、今回はまた、何かちがった趣向かもしれません。前回のコンサートについては公演レビューを書いてありますので、下記をご覧ください。
広上淳一 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
(埼玉・横浜・東京)
12月15日 (金)19:00@ソニックシティ
(公演詳細ページ)
12月16日 (土)17:00@横浜みなとみらいホール
(公演詳細ページ)
12月17日 (日)14:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ケルビーニ:歌劇《アナクレオン》序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番《合唱》二短調( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■日本フィルハーモニー交響楽団の12月は、今年も「第九」商戦全開。
前半は広上淳一さん、後半は小林研一郎さんという、日本フィルゆかりの指揮者がリレーする形になっています。
■広上淳一さんが指揮する回では、冒頭に、ベートーヴェンが非常に高く評価していた作曲家ケルビーニ(Luigi Cherubini, 1760-1842)の10分ほどの序曲が置かれています。
■日本フィルと1990年代に一時代を築いた広上さんならではの、躍動的なベートーヴェンを期待したい公演。
広上淳一さんも特異なアプローチをする方ではないので、スタンダートな、王道のベートーヴェンを聴くことができるはずです。
小林研一郎 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
第九演奏会(神奈川・東京)
12月21日 (木)19:00@横浜みなとみらいホール
(公演詳細ページ)
12月22日 (金)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12月25日 (月)19:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
12月26日 (火)19:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
12月27日 (水)19:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
J.S.バッハ:
高き天よりわれは来たれり BWV738
主よ、人の望みの喜びよ
トッカータとフーガ ニ短調 BWV565
(以上3曲オルガン独奏)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱つき」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■コバケンこと、小林研一郎さんは、上でご紹介した「史上最高の第九に挑む」以外に、こちらの日本フィルハーモニー交響楽団との一連の第九公演も指揮されます。
■コバケンさんのベートーヴェン像はとてもストレートなものなので、スタンダードな第九を聴きたいという方にはこちらもお薦めです。
■日本フィルの第九公演は、最初にパイプオルガン独奏でバッハの曲が演奏されるのが特色で、生でパイプオルガンを聴いてみたいという方にもお薦めできる公演です。
高関健 指揮
富士山静岡交響楽団
県民参加による「歓喜の歌」第九コンサート(静岡)
12月16日(土)14:00@静岡市清水文化会館マリナート
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:
「レオノーレ」序曲第3番
交響曲第9番 ニ短調「合唱つき」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■注目のオーケストラ、富士山静岡交響楽団の第九には、首席指揮者の高関健さんが登場。
■「県民参加」ということで、イベント色もある公演ですが、何といっても指揮が高関健さんですから、すべてをまとめあげて、真摯なベートーヴェン像を描き出してくださるはずです。
高関健 指揮
仙台フィルハーモニー交響楽団
第九特別公演(宮城)
12月23日(土)@東京エレクトロンホール宮城
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番 ニ短調「合唱つき」( ♫ 鑑賞ガイド )
ほか
お薦めPOINT♪
■創立50周年の記念年だった仙台フィル。
■その年末を彩る「第九」公演には、常任指揮者の高関健さんが登場です。
■正攻法の、正面突破の第九を期待したい公演です。
広上淳一 指揮
九州交響楽団
第九公演(福岡)
12月23日(土)15:00@アクロス福岡シンフォニーホール
(公演詳細ページ)
12月24日(日)15:00@ 北九州ソレイユホール
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱つき」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■九州交響楽団の第九には、広上淳一さんが登場。
広上淳一さんらしい、躍動感あふれる第九に期待したい公演です。
ジョナサン・ノット指揮
東京交響楽団
第九演奏会
12/28(木)18:30@サントリーホール
(公演詳細ページ)
12/29(金)14:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調「合唱つき」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■ジョナサン・ノット指揮する東京交響楽団の第九公演については、これまでに3回聴きに行っています。
2019年、コロナ前の公演では、オーケストラの人数も合唱の人数もしぼり、ステージ上に密集する形態で配置して、ノットらしい凝縮された第九を実現させていました。
↑2019年ライヴ録音のオンライン配信は、Amazon Music Unlimited などで聴くことができます)
■それが、コロナ禍に入り「密」の形態をとれなくなったことで、2021年に聴いたときには、合唱団をステージ後方に配置していましたが、響きが拡散してしまい、課題を感じさせました。
■昨年2022年は、その課題への対処であるかのように、合唱の人数を大幅に拡大していましたが、ノット本来の第九との乖離に、苦難を強いられている印象でした。
■私にとっては、2019年に聴いた「第九」がこのコンビのものとしては最上のものでした。
それ以来、迷走をつづける「現在進行形の第九」。
はたして2023年、理想の第九に近づけるのか。
高関健 指揮
東京シティ・フィルハーモニック
第九特別演奏会(東京)
12/28(木)19:00@東京文化会館
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:交響曲第9番二短調「合唱付き」( ♫ 鑑賞ガイド )
お薦めPOINT♪
■誠実な演奏が聴ける、高関健&東京シティ・フィルのコンビによる「第九」公演。
■奇をてらわない、正攻法の、スタンダートな「第九」を聴きたいという方には、こちらもお薦めです。
職業臭のしない、新鮮なベートーヴェンが聴かれるはずです。
♪第九の予習に【初心者向け】初めてのベートーヴェン「第九」コンサート~準備や予習・解説
♪シリーズ「交響曲100」でも【交響曲100の物語】ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調Op125《合唱つき》~小さな試聴室で第九をご紹介しています。
♪ほかの月については、「コンサートに行こう!お薦め演奏会」ページから移動をおねがいします。
♪実際に聴きに行ったコンサートのなかから、特に印象深かったものについては、「コンサートレビュー♫私の音楽日記」でレビューをつづっています。コンサート選びの参考になればうれしいです。
♫クラシック音楽にまつわるTシャツをつくる企画を実行中♫
♪このブログでは、オンライン配信の音源を中心にご紹介しています。
オンライン配信のクラシック音楽の聴き方については、AppleMusic と Amazon Musicをくらべてみたり、特集「クラシック音楽をオンライン(サブスク定額制)で楽しむ~音楽好きが実際に使ってみました~」にまとめています。