コンサートに行こう!お薦め演奏会

【初心者向け】初めてのベートーヴェン「第九」コンサート~準備や予習・解説

 

年末になると、日本では、ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770-1827)の交響曲第9番ニ短調《合唱つき》、いわゆる、「第九」のコンサートが急増します。

年末の特別な時期に、初めてのコンサートに「第九」コンサートを選ぶ方、音楽好きのひとに誘われて初めて「第九」コンサートに行く方、いろいろいらっしゃると思います。

今回は、そうした「第九コンサートに初めて行く」というような方向けの特集です。

 

コンサート会場で、生演奏だからこそ観察してみてほしいことを2つご紹介して、そのあとに、この70分ほどの大曲を聴くうえでのヒントになるよう、曲のおおよその構成を解説してみたいと思います。

「何をどう聴いたらいいのか、さっぱりわからない」という方の、参考になったらうれしいです。

 

「第九」にかぎらず「クラシック・コンサートが初めて」という方向けの記事は、
コンサート当日の不安を解消!服は何を着る?持ち物は?【初めてのクラシック・コンサート】」、
コンサートの選び方&チケットの買い方【初めてのクラシック・コンサート】」という別の記事でご紹介しています。

 

予備知識:有名な合唱が入ってくるタイミング

 

ベートーヴェンの交響曲第9番「合唱つき」は、ぜんぶで4楽章からできている音楽です。

 

「第九」と聞いて、みんなが思い浮かべる、あの有名な旋律、「歓喜の歌」の部分は第4楽章の途中から登場します。

それまでの、第1~3楽章、そして、第4楽章の前半は、オーケストラのみの演奏がつづきます。

すぐに、あの有名な合唱が始まるわけではないのでご注意ください。

 

会場観察①合唱団と声楽ソリストの入場のタイミング

 

コンサート会場に行ったら注目したいのが、合唱団や歌のソリストたちの入場のタイミングです。

 

何しろ、第4楽章の途中までは出番がまったくありませんので、どのタイミングで声楽のひとたちが入場するかは、コンサートによって違います。

というか、たいていの場合は、指揮者の方の考え方によって決まります。

 

「第4楽章まで出番がないなら、第4楽章の前に入場すればいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、この曲は、第3楽章が静かに終わったあと、あまり間を空けずに、第4楽章へなだれ込むような書き方がされています。

ですので、第4楽章の前で声楽の人たちが入場してくるというのは、無いわけではないですが、かなり珍しいパターンで、あまり見たことがありません。

 

となると、「曲がはじまる前から、全員、入場しておけば問題ない」ということになりますが、そうすると今度は、実際に声を出すまで、数十分のあいだ、じっと黙って座り続けていることになり、これが声楽のひとたちには、発声のコンディションを整えるうえで、ひとつのハードルになってしまいます。

日常生活でも、ずっと黙っていたあとにしゃべろうとしたら、うまく声が出ないという経験はありませんでしょうか。

 

そういうわけで、どのタイミングで入場するかというのは、なかなか奥深い問題をはらんでいます。

 

現在のところ、おそらく、いちばん多いパターンは、「合唱団」はオーケストラが入場する前、いちばん先に入場、「声楽のソリスト」は第3楽章の前に入場というものです。

合唱団は、たいていの場合、人数が多いので、入場にもそれなりに時間がかかります。

ベートーヴェンの音楽の流れが途切れることがないように、合唱団だけは事前に入場してしまい、声楽のソリストたちは発声のコンディションを考えて、かつ、音楽の流れをとめないために、第2楽章のあと、第3楽章の前に入場していくるというのが多いパターンです。

 

私が以前ブログにレビューを載せた、ジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団による2021年「第九」公演では、合唱団も声楽ソリストも、どちらもまとめて、第2楽章のあと、第3楽章の前に入場していました。

これは、おそらく、合唱団の人数をある程度しぼっているノットの演奏スタイル、そして、自身がボーイソプラノで声楽をやっていたという経験からの配慮が絡んでの、ノットらしいタイミングなんだと思います。

 

いっぽうで、イタリアの巨匠クラウディオ・アッバード(1933-2014)が名門ベルリン・フィルと「第九」を演奏したときには、合唱団も声楽ソリストも、全員、第1楽章の前から入場させていました。

これは、アッバードが音楽の流れをとにかく重視していて、楽章のあいだで緊張がとぎれることを嫌ったせいだと思われます。

 

みなさんが今度聴きに行く公演では、どういうタイミングで合唱と声楽ソリストの入場がおこなわれるか。

よく観察して、その指揮者の考え方などを想像してみてください。

 

会場観察②合唱団と、声楽ソリストの立ち位置

 

同じような問題として、合唱団と声楽をどこに配置するのか、というのも指揮者の考え方がしめされるポイントです。

「合唱団」は、もちろん、オーケストラのうしろに配置されるのですが、サントリーホールのようにオーケストラの後ろにも客席(P席)があるホールでは、そこに合唱団を配置するのか、あるいは、舞台に合唱団ものせてしまうのか、という選択肢があります。

ただ、コロナ禍ということもあって、ソーシャルディスタンスの観点から、後者を選択できなくなっている現実も、最近はあります。

 

また、声楽のソリストたちは、オーケストラの前に立つパターンと、オーケストラの後ろ(合唱団の前)に立つパターンの2つが見られます。

これは指揮者の意向と声楽ソリストの意向と、稀にトラブルが起きる問題でもあります。

 

イタリアの大バリトン歌手であるレナート・ブルゾンは、あるときの第九公演で、オーケストラの前で歌うことを主張したものの、指揮者はオーケストラの後ろ(合唱団の前)で歌うことを主張。

結局、双方の折り合いがつかずに、ブルゾンが出演を拒否、降板してしまったという記事をむかし読んだことがあります。

 

声楽のソリストたちがどこに座るかも、是非、注目してみてください。

 

 

どこを、どう聴いたらいいの?

 

さて、ここからが本題です。

音楽そのもののお話しに移ります。

 

何といっても70分前後の長大な交響曲なので、まったく初心者だと「どこを、どう聴いたらいいの??」となるかもしれません。

もちろん、ただただベートーヴェンの響きに身を任せればいいといえば、その通りなのですが、でも、「せっかくだから予習をしたい!」という方もいらっしゃるかもしれません。

 

ここからは、この長大な作品が、おおよそどのような構造でできているのか、全体像をご紹介してみたいと思います。

言葉だけではむずかしいので、アメリカの名門シカゴ交響楽団が正式に公開している、2015年の5月7日(第九の初演日は1824年の5月7日)、音楽監督のリッカルド・ムーティの指揮でおこなったコンサートの動画をつかって、解説していきます。

音楽の節目となるところには、この動画の該当箇所のリンクを貼っていきますので、音楽の展開する箇所を確かめながら、全曲の構成をおおまかにつかんでみてください。

 

第1楽章が始まる

 

第1楽章は、弦楽器の弱音でのトレモロで始まります(YouTube動画)。

この幻想的な開始方法は、それまでにない画期的な発想で、あとの大作曲家たちにたくさんの影響をあたえています。

特に、オーストリアの大作曲家ブルックナー(1824-1896)は、自身のほとんどの交響曲で、この開始方法を応用しています。

 

やがて音量が増していって、オーケストラ全体で打ち出す旋律が「第1主題」です(YouTube動画)。

このインパクトのある主題は、第1楽章で何度も出てくる、とても大切な旋律になります。

この旋律も後世の作曲家たちに強い影響を与えていて、例えば、ドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)の交響曲第5番の第1楽章では、冒頭から、この旋律をあべこべにした形の主題が登場します。

 

この楽章は「ソナタ形式」という形で書かれていて、この“ 動的 ”な第1主題と、そのあとにあらわれる“ 静的な ”第2主題YouTube動画)を対比することで、音楽のドラマが形成されていきます。

この2つの主題がしめされるところが「①提示部」と呼ばれています。

 

提示部が終わると、示された主題をもとに、音のドラマが発展されます。

それが「②展開部」(YouTube動画)です。

 

この展開部では、主題のさまざまな展開がおこなわれます。

ベートーヴェンは、この展開部を発展させながら、その展開の頂点として、ffフォルティシモで「③再現部」になだれ込むという独創性を発揮しています(YouTube動画)。

ただ再現するのではなくて、展開しつつ再現をしているということになります。

 

そして、このドラマをしめくくるのが「④終結部」(YouTube動画)です。

この終結部には、非常に見事なコーダYouTube動画)がついていて、これは、例えばブラームスの交響曲第1番の第1楽章終結部に強く影響を与えていると感じるところです。

また、おしまいのところで、第1主題がはっきりと奏されて終わるあたりは、やはりブルックナーの交響曲に強く影響を与えていると感じます。

 

以上のように、①提示部②展開部③再現部④終結部という、4つの部分から出来ている、ソナタ形式という形で楽曲が構成されています。

「交響曲」というジャンルでは、このソナタ形式を組み込むことが定型になっていて、ベートーヴェンはその大家でした。

 

こうした音楽の区切りが、実際にコンサート会場ではっきりと感じられたときには、是非、その指揮者の名前をおぼえておいてください。

その指揮者は、紛れもなく、すばらしい指揮者です。

 

第2主題の直前に耳をすませて

 

さて、この楽章で、第2主題が提示される直前に、とっても印象的なフレーズが、さりげなくあらわれます。

一瞬、これが第2主題ではないかと思うくらい、とても耳にのこる旋律です。

 

これは第2主題と関連があって、その登場をみちびく役割があるのですが、実は、この旋律にはそれ以上の大きなヒントが秘められています

すぐに過ぎ去ってしまう旋律ですが、とても大切なところです。

該当箇所から動画をリンクしておきますので、聴いてみてください。

 

 

実は、ここの ミ♭ーーファソ|ソーファミ♭ミ♭ーレド|ドシ という音の流れは、“ 歓喜の歌 ”の ファ♯ファ♯ソラ|ラソファミ|レレミファ♯|ファ♯ーミミ (YouTube動画)とよく似た順次進行(ドレミファソラシドの音階どおりにすすんでいく進行)で構成されていて、まさに変形、ないしは派生となっています。

つまり、この旋律は、第4楽章の、あの“ 歓喜の歌 ”の旋律の予告になっています。

 

さらに、そのことに気づくと、実は、第1主題の後半も レミ|ファ|ソラ|シ♭ーラ|ソファミレ|ド♯(YouTube動画)という順次進行になっていて、ここにも、すでに、いちばん最初の“ 歓喜の歌 ”の原形が含まれていたことに気づかされ、驚かされます。

 

こうした“ 歓喜の歌 ”の予感は、第1楽章のみならず、全曲にわたって張り巡らされています。

そうすることで、全4楽章がバラバラの音楽をつなげたものではなく、「4楽章で1つの音楽」であることを可能にしています。

しかも、聴き手がそれと気づかないうちにも、自然と“ 歓喜の歌 ”に導かれるように構成されていて、驚嘆すべき綿密さで作曲がなされていることがわかります。

 

「終わりに、始まりがある」とは、まさにこのことで、実は、私たちはこの長大な時間のなかで、たったひとつの音楽に触れているというわけです。

畏るべし、ベートーヴェン大先生です。

 

 

第2楽章は「ティンパニ!」

 

第2楽章(YouTube動画)は、①スケルツォ→②トリオ③→スケルツォという、3部構成になっています。

トリオに入るとテンポが変わります(YouTube動画)ので、トリオの場所はわかりやすいと思います。

 

第2楽章で、まず印象的なのは、冒頭です。

ティンパニが旋律の一部を担当して、いかにもベートーヴェンらしい勇壮な音楽が始まります。

 

ティンパニが大活躍する楽章で、その叩いているリズムが、まさに「ティンパニ!」YouTube動画)と言っているようだという人もいます。

まず、わかりやすい楽しみ方として、このティンパニの活躍に目をむけてみるとおもしろいです。

 

実は第2楽章も…

 

荘厳なたたずまいを持った第1楽章と、まったく違う趣きをもった、このスケルツォ楽章。

 

でも、いざ楽譜を見てみると、第2楽章の冒頭で使われている音はレ・ラ・ファ・レの4つの音YouTube動画)。

第1楽章の第1主題は レ|ラーファ|レーラファーラファ|レー なので、あちらもレ・ラ・ファ・レの4つの音YouTube動画)。

 

そう、実は、ベートーヴェンはまったく同じ音(この交響曲の調性であるニ短調の主和音レ・ファ・ラ)を使って、まったく違って聴こえる音楽を創造しているわけです。

そして、この第1主題の後半も、やはり順次進行になっていて、“ 歓喜の歌 ”を予感させるように出来ていることになります。

 

さらには、第2主題(YouTube動画)と、まんなかのトリオの主題(YouTube動画)も、やはり順次進行を含んでいて、“ 歓喜の歌 ”への予兆となっています。

 

 

第3楽章はベートーヴェンの最も神聖な音楽のひとつ

 

第3楽章(YouTube動画)の形式は、かなり独自のものであって、○○形式とはっきりさせることは難しいのですが、主題は2つです。

2小節の序奏部のあとに、すぐ現れるのが第1主題

しばらくして、速度がちょっと速まって登場するのが第2主題YouTube動画)です。

 

そして、この楽章の第2主題もまた、上昇する順次進行を多分にふくんでいて、“ 歓喜の歌 ”への萌芽になっています。

これら2つの主題を多彩に変奏することで、音楽が崇高に進められていきます。

 

第3楽章は、ベートーヴェンが生み出した、最も美しく、最も神聖な音楽のひとつです。

 

ベートーヴェンは、この第九を完成させたあと、人生の残りの時間を「弦楽四重奏曲」の作曲に集中するのですが、その後期ベートーヴェンの世界にもっとも近い、孤高の美しさが、ここにはあるように感じられます。

 

 

いよいよ第4楽章の前半です

 

さて、いよいよ第4楽章フィナーレ(YouTube動画)です。

冒頭は、いかにもベートーヴェンらしい、壮絶な響きで開始されます。

すぐにコントラバスとチェロという低弦楽器による旋律が登場しますが、これは、あとになってバリトン歌手が歌う旋律(YouTube動画)と同じものです。

そのバリトンが歌う歌詞は、シラー作詞「歓喜に寄す」には含まれていない歌詞で、ベートーヴェン本人が追加したオリジナルの歌詞になっていて、「おぉ友よ、このような音ではない!もっと快い、喜びに満ちた歌を歌おう」というものです。

 

つまり、ここで低弦楽器によって示される旋律(YouTube動画)は、「このような音ではない!」という、“ 否定 ”の意味を帯びた旋律ということになります。

 

まず、第1楽章が回想され、そして“ 否定 ”されます(YouTube動画)。

それから、第2楽章スケルツォも回想され、やはり“ 否定 ”されます(YouTube動画)。

さらには、さきほどの神々しい美しさを持つ第3楽章も回想されますが、やはり“ 否定 ”されます(YouTube動画)。

 

そうです、何を否定しているのかというと、これまでの第1楽章から第3楽章を“ 否定 ”しているわけです。

 

そのあと、“ 歓喜の歌 ”の断片がついに姿をあらわして(YouTube動画)、否定を繰り返した低弦楽器が「それだ!」と言わんばかりに絡みあい、高まり、調和していきます。

そして、ついに“ 歓喜の歌 ”が低弦楽器によって、はっきりと示され、ようやく獲得された“ 歓喜の歌 ”は、だんだんと翼をひろげ、やがては、オーケストラ全体へと広がっていきます。

 

バリトンが歌い始めたら、歓喜の歌が始まります

 

やがて、この楽章の冒頭の荒々しい序奏が回帰。

ついに声楽が導入され、バリトンのソロが「おぉ友よ、このような音ではない!」という、例の歌詞を歌い上げます。

まさにここが、「交響曲」という純器楽曲のジャンルに、「声楽」が導入された歴史的な瞬間です。

 

そして、バリトン独唱に導かれて、「喜びよ、美しい神々の火花よ」という、有名な、シラー作詞「歓喜に寄す」の歌へと流れ込んでいきます。

 

行進曲

 

“ 歓喜の歌 ”が絶頂まで高まると、やがて、ffフォルティシモのフェルマータ(伸ばし)に到達します。

そのffフォルティシモのフェルマータの箇所の歌詞は、Gott「神」です。

ベートーヴェンは、もちろん、意識して、この「神」という言葉にクライマックスを持ってきています。

この曲が、いかに崇高で、神聖な理念のもとに書かれているかが、わかります。

 

音楽はそのあと、急に静まり、やがて、遠くから「行進曲」が聴こえてきます。

ここからは、Alla Marcia(行進曲風に)と指定されている箇所で、「天の星たちが天空をとぶように、兄弟たちよ、喜ばしく勝利へとむかう英雄のように、自らの道を進め」というシラーの詩の内容どおり、勇壮で壮大な音楽が展開されていきます(YouTube動画)。

 

ひざまずいているか、諸人よ

 

行進曲のあとには、“ 歓喜の歌 ”が再現されます(YouTube動画)が、そのあとに、音楽はまったく新しい展開を見せます。

 

抱き合え、諸人(もろびと)よ!この口づけを世界に!兄弟よ、この星空の上に、ひとりの父なる神が住んでおられるに違いない

諸人よ、ひざまずているか?世界よ、創造主を予感しているか?星空の彼方に神を求めよ。星々の上に、神は必ずや住みたもう

という歌詞に相応しい、神聖な音楽が奏でられます。

 

ここは、この第4楽章のなかでも、特に神々しい高みが感じられるところです。

また、さきほどの「行進曲」がffフォルティシモのフェルマータ(伸ばし)に到達して終わったのとは対照的に、こちらの最後は、神秘的なppピアニッシモのフェルマータに到達して終わります。

 

劇的な歓喜の回帰

 

ppピアニッシモで閉じた音楽のあと、一転して、ffフォルティシモで次の展開が始まります。

“ 歓喜の歌 ”の旋律と、さきほど登場した神聖な旋律の2つが、同時に響きあって、壮麗なフーガ(追いかけっこ)を開始します(YouTube動画)。

この楽章で登場した主要な2つの旋律が、絡まりあい、高まって、1つの音楽へと昇華されていきます。

 

クライマックスへ

 

そして、ここからは、いよいよ音楽が、だんだんと、そのクライマックスに向かって動きを見せるところです。

やがて、“ 歓喜の歌 ”の変形された、速いテンポの旋律があらわれると、次の部分の始まりです(YouTube動画)。

ここでは、声楽のソリストたちによる美しい四重唱が展開され、彼らのいちばんの聴かせどころになります。

 

四重唱が終わると、いよいよ終結部です(YouTube動画)。

音楽が加速して、合唱がシラーの歌詞を歌い上げます。

冒頭の歌詞「喜びよ、美しい神々の火花よ」に到達すると、最後はオーケストラのみの、まさに“ 火花 ”のようなコーダでもって、全曲が閉じられます。

 

まとめ

 

この曲は、いわゆるフィナーレ・シンフォニーで、最終楽章に、音楽の頂点が置かれています

ベートーヴェンは、そこに声楽、合唱を導入するという革命的な作曲をしただけでなく、「諸人よ、抱き合え」という歌詞の精神のとおり、誰もがくちずさめるような、非常に歌いやすい、単純な旋律をつけました。

 

いっぽうで、そのシンプルな旋律に到達するまでには、その旋律を予感させる様々な旋律が、複雑にからみあい、壮麗で、深淵な音楽を創造するに至っています。

 

もちろん、有名な「合唱」部分だけを聴きたいというひとがいるのもわからないではないのですが、この曲は、やはり全4楽章で1つの音楽になっているというのが、このページの説明で、少しでも伝わったらうれしいです。

 

とは言え、まずは第4楽章をしっかりと聴き込んでみてください。

第4楽章に親しんだ後は、上記の解説をもとに、“ 歓喜の歌 ”の予兆をひとつの道しるべにして、ほかの楽章にも耳をかたむけてみてください。

 

第九のコンサート

 

幸い、日本では、毎年末に第九がたくさん演奏され、たくさん触れる機会が訪れます。

今年理解できなかったとしても、来年もまた第九に触れる機会はあります。

 

2022年末時点では、「コンサートに行こう!お薦め演奏会」のページでもお伝えしているように、ジョナサン・ノット(指揮)東京交響楽団の第九コンサートが、わたしのいちばんのお薦めです。

録音でのお薦めは、「【交響曲100の物語】ベートーヴェン:交響曲第9番ニ短調《合唱つき》」のページでご紹介しています。

 

末筆ながら、どうか、皆さんの行く第九演奏会が素晴らしいものでありますように。

幸運を祈ります!

 

 

 

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