シリーズ〈小澤征爾さんで音楽史〉

小澤征爾さんで出会う大作曲家50人(第6回)ムソルグスキーからドヴォルザーク

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日本のクラシック音楽をけん引した「世界のオザワ」こと、指揮者の小澤征爾(おざわ・せいじ、1935-2024)さん。

このシリーズでは、小澤征爾さんの録音で50人の作曲家にふれながら、クラシック音楽の歴史を旅します。

この機会に「クラシック音楽を聴いてみよう」という方向け、クラシック入門シリーズです。

シリーズ一覧はこちらのページで確認できます。

26:モデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky, 1839-1881)

 

 

破天荒な個性

 

前回までフランスの作曲家たちをしばらく見たので、ここで、少し場所を変えて、ロシアへ目を向けてみます。

 

まずは、前回ラヴェルでも名前が登場したモデスト・ムソルグスキー(Modest Mussorgsky, 1839-1881)をご紹介します。

年代的には、ドイツのブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)の6歳下、フランスのビゼー(Georges Bizet、1838-1875)の1歳下という作曲家です。

 

ムソルグスキーは、バラキレフ、キュイ、ボロディン、リムスキー=コルサコフらと「ロシア5人組」という作曲家集団を結成していたひとりです。

この5人組は、バラキレフをのぞいて、みんな本業を別に持っていて、ムソルグスキーは事務方の公務員でした。

ただ、たいへんな酒豪で、やがてアルコール依存症となり、それが原因で42歳の若さでこの世を去ってしまいます。

 

その作品の原色的色彩、斬新で、まったく誰にも似ていない個性は、強く耳を惹きつけるものがあり、20世紀後半から、その存在感がさらに高まった作曲家のひとりです。

 

小澤征爾さんで聴くムソルグスキー

 

組曲「展覧会の絵」

 

ここはやはり、ムソルグスキーのいちばんの人気作である組曲「展覧会の絵」をご紹介したいと思います。

実はもともとはピアノ曲で、20世紀に入ってから、フランスの作曲家ラヴェルがオーケストラ編曲したことで、より広く聴かれるようになりました。

ここでは、終曲の「キーウ(キエフ)の大きな門」をお届けします。

 

1967年、小澤征爾さんが32歳になる年に、シカゴ交響楽団を指揮した、若き日の録音。

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27:アレクサンドル・ボロディン(Alexander Borodin, 1833-1887)

 

 

科学者としても一流の功績

 

こちらも「ロシア五人組」のひとり、アレクサンドル・ボロディン(Alexander Borodin, 1833-1887)をご紹介します。

彼もまた、本業は作曲家ではなく、有機化学の研究でたいへんな功績を残した「科学者」でした。

年代でいうと、ドイツのブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)と同年の生まれです。

 

音楽を本格的に勉強し始めたのは、なんと30歳になってから。

それでも、「中央アジアの草原にて」、「弦楽四重奏曲」、交響曲第2番、歌劇「イーゴリ公」などの少なくない名作を生み出しました。

 

悲しいことに、53歳の年、謝肉祭のダンスパーティー中に動脈瘤の破裂で急死してしまいます。

そのため、未完成で残された作品は、リムスキー=コルサコフなどの友人たちが補筆し、完成させています。

 

小澤征爾さんで聴くボロディン

 

ポロヴェツ人(ダッタン人)の踊り

 

おそらく、ボロディンの作品のなかでいちばん有名な作品と思われる、「ポロヴェツ人(ダッタン人)の踊り」をお届けします。

まだ30代の小澤征爾さんがシカゴ交響楽団を指揮したレコーディング。

ジャケット写真がとても印象的。

 

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始まって3分ほどのところでオーボエが奏でる旋律がたいへん有名で、ジャズに編曲されたり、ジャンルを超えて愛される名曲になっています。

 

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小澤征爾さんは、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団とのヴァルトビューネ・コンサートでもこの作品を指揮していて、その映像が残っています。

しばらく再発売されていませんが、とってもお薦めの映像です。

 

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ベルリン・フィル・ヴァルトビューネ・コンサート5選~森の中のピクニック・コンサート

 

 

28:リムスキー=コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov, 1844-1908)

 

 

海軍士官からオーケストラの達人へ

 

「ロシア五人組」からもうひとり、リムスキー=コルサコフ(Nikolai Rimsky-Korsakov, 1844-1908)もご紹介します。

アメリカのコメディアンが「素晴らしい2人のロシアの作曲家、リムスキーとコルサコフ…」というジョークをとばすのを聞いたことがありますが、「リムスキー=コルサコフ」でひとりの作曲家です。

 

このひとは、本業が「海軍士官」で、あとに、ペテルブルク音楽院の教授に就任しました。

 

音楽院の教授になりたての頃には、音楽の知識がまだあまりなく、教授になってから猛勉強したという、ちょっと変わった経歴をもつ大作曲家です。

最終的には、オーケストラの扱いについては音楽史に残るほどの達人となり、その色彩的なオーケストレーションは後世の作曲家に多大な影響をおよぼすほどになります。

 

彼の作品のなかでいちばん知られているのは、細かな音符が飛び交う「くまばちは飛ぶ」かもしれません。

 

でも、実際のコンサートで多く聴かれるのは、交響組曲「シェエラザード」でしょう。

海軍での経験がいかされたのか、海が登場するこの作品は、彼の代表作となりました。

 

小澤征爾さんで聴くリムスキー=コルサコフ

 

交響組曲「シェヘラザード」

 

リムスキー=コルサコフの代表作である「シェエラザード」をご紹介します。

これは小澤征爾さんの得意曲のようで、シカゴ交響楽団、ボストン交響楽団、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と、3種類も正式なスタジオ録音が残っています。

 

まずは、最後のウィーン・フィルとの録音(ヴァイオリン・ソロはライナー・ホーネック)から、ロマンティックな音楽が展開する第3楽章「若い王子と王女」をどうぞ。

 

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29:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)

 

 

文豪トルストイも涙した音楽

 

「ロシア五人組」が活躍した当時のロシアには、あのピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(Pyotr Ilyich Tchaikovsky, 1840-1893)もいました。

ただ、チャイコフスキーは、ロシア五人組とは一定の距離をおいて、独自の道を歩みました。

 

旧ソ連の大チェリスト、ロストロポーヴィチ(Mstislav Rostropovich,1927-2007)は、「チャイコフスキーを弾いていると、彼が“ 世界はなんて美しいのだろう… ”と、悲しいまなざしで世界を見つめている姿が目に浮かぶ」と語っています。

チャイコフスキーの音楽は、そうした、はかなく、壊れてしまいそうな繊細さ、メランコリックな美しさに強い魅力があると言えるかもしれません。

 

それを象徴するようなエピソードをひとつ。

 

チャイコフスキーが36歳の年、ロシアを代表する文豪トルストイ(Lev Tolstoy, 1828-1910)がモスクワを訪問します。

その歓迎演奏会の折、チャイコフスキーの弦楽四重奏曲が演奏されました。

 

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その第2楽章アンダンテ・カンタービレの演奏中のこと、チャイコフスキーのすぐ隣にすわっていたトルストイが、感動のあまり涙を流します。

後年、「あのときほど作曲家としての誇りと喜びを感じたことはない」と、チャイコフスキーは日記につづっています。

 

♪チャイコフスキー:弦楽四重奏第1番~第2楽章アンダンテカンタービレ

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小澤征爾さんで聴くチャイコフスキー

 

弦楽セレナード

 

小澤征爾さんのチャイコフスキーといえば、どうしても忘れがたいのが「弦楽セレナードハ長調」(➡オーケストラ入門:チャイコフスキーの弦楽セレナード)。

 

折にふれて、小澤征爾さんはこの曲を取りあげていた印象があります。

病気療養から復帰して第1楽章だけを指揮した2010年の演奏は「復活のセレナード」としてCDにもなっています。

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ここでは、2011年にスイスで行われた小澤征爾インターナショナルアカデミー公演で行われたアンコール演奏を。

第1楽章だけが演奏され、時おり、小澤征爾さんの掛け声も聞こえてきます。

 

 

 

バレエ音楽集

 

小澤征爾さんのチャイコフスキーでは、交響曲や協奏曲のほかに、バレエ音楽の録音も複数のこされています。

ボストン交響楽団との「白鳥の湖」全曲版などもありますが、ここでは、1974年にパリ管弦楽団を指揮した「くるみ割り人形」と「眠れる森の美女」のアルバムを。

 

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30:アントニーン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák、1841-1904)

 

 

天性の旋律美

 

前にご紹介した「ロシア五人組」など、その国の風土に根差した音楽を志向した作曲家たちを「国民楽派」と呼ぶことがあります。

東欧の国チェコにも、「モルダウ」で有名なスメタナ(Bedřich Smetana、1824-1884)をはじめとした「国民楽派」とよばれる大作曲家たちが登場してきます。

 

その中のひとり、アントニーン・ドヴォルザーク(Antonín Dvořák、1841-1904)をご紹介します。

 

日本では「遠き山に日は落ちて」の歌詞でひろまっている“ 家路 ”。

これは、ドヴォルザークが作曲した交響曲第9番「新世界から」の第2楽章のメロディーです。

日本のいろいろな街で、夕方、このメロディーが防災無線から響く光景に出会うたび、ドヴォルザークが聴いたらどんなに驚くだろうと思います。

 

この魅力的なメロディーを創造する力は、ドヴォルザークの天才について、もっとも特徴的なところのひとつです。

「ドヴォルザークがくずかごに捨てたメロディーで、わたしなら交響曲がひとつ書けてしまうだろう」というのは、ドヴォルザークを援助した先輩作曲家ブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)の言葉。

 

プライベートな面では、クラシック界を代表する「鉄道ファン」として有名で、時刻表を暗記していてだけでなく、運転士の名前まで暗記していたほどの鉄道ファンでした。

 

小澤征爾さんで聴くドヴォルザーク

 

弦楽セレナード

 

小澤征爾さんはドヴォルザークを得意のレパートリーにしていて、複数の録音があります。

ただ、2024年5月現在、サブスクでは「交響曲」の録音が、どれもこまぎれにオムニバス盤に収録されているばかりで、オリジナルの配信が見つかりません。

何か事情があるのでしょうか?

 

そんななか、サイトウ・キネン・オーケストラの弦楽セクションと録音した「弦楽セレナードホ長調」は、しっかりと配信されていましたので、こちらをご紹介します。

これもまた、ドヴォルザークの旋律線の美しさがはっきりと打ち出された名曲です。

 

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オンライン配信の聴き方

 

♪このブログではオンライン配信の音源も積極的にご紹介しています。

現状、Apple Music アップル・ミュージックがいちばんおすすめのサブスクです。

【2024年】クラシック音楽サブスクはApple Music Classicalがいちばんお薦め

 

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お薦めのクラシックコンサート
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♪実際に聴きに行ったコンサートの感想・レビュー
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