シリーズ〈交響曲100の物語〉

ブルックナー:交響曲へ短調(第00番)“ 習作 ” 解説&お気に入り名盤【交響曲100の物語】

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今年2024はアントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)の生誕200年。

シリーズ【交響曲100の物語】第44回は、ついに“ 交響曲 ”の大物のひとり、ブルックナーが登場です。

 

フランスで学生ビゼー(Georges Bizet、1838-1875)が愛らしい「交響曲ハ長調」を課題として書きあげてから5年後、オーストリアでは、晩学だった39歳のブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)が、やはり実習として「交響曲へ短調(第00番)“ 習作 ”」を書きあげました。

➡【交響曲100】ビゼー:交響曲ハ長調 の解説&お気に入り名盤

ブルックナー:交響曲へ短調(第00番)「習作」WAB99

 

断捨離をまぬがれた作品

 

晩年、病を得ていたアントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)は、皇帝フランツ・ヨーゼフ一世から宮殿内に部屋をあたえられました。

 

ブルックナーは、亡くなるまでそこに住むことになりますが、その引っ越しの際、部屋にあった楽譜類の整理がおこなわれ、数多くの草稿が焼却、破棄されました。

そんななか、今回テーマとしている「交響曲へ短調」は、さいわい、破棄をまぬがれ、後世に残されることとなりました。

その際、楽譜に” Schularbeit “(課題)と書かれ、分類されました。

 

39歳の習作

 

この作品が書かれたのは1863年、ブルックナーが39歳だったころ。

彼は、クラシックの音楽史でもめずらしいくらいの晩学、大器晩成の作曲家でした。

 

当時ブルックナーを教えていたのは、10歳年下の指揮者オットー・キッツラー(Otto Kitzler, 1834-1915)。

約3年におよんだ学習の集大成的「課題」として、この「交響曲へ短調」が作曲されたようです。

 

ただ、キッツラーは「あまり霊感が感じられない」という厳しい評価をくだしたと伝えられています。

 

 

破棄されなかったということ

 

全曲の初演は、1925年。

ブルックナーは1896年にこの世を去っているので、つまり、生前には一度も演奏されていません。

 

本人も「課題」と記したくらいなので、習作という想いも強かったのでしょう。

それでも、晩年のブルックナーが、これを破棄しなかったというのは興味深い事実です。

 

自分の出発点、「思い出」としての価値が大きかったのか。

それとも、音楽的な価値を見出だしていたのか。

あるいは、その両方?

 

現在も稀にしか演奏されないこの作品。

でも、近年の、例えばクリスティアン・ティーレマンの優れた演奏などを聴くと、ブルックナーは音楽的な価値を信じていたのではないかと思えてきます。

そうした演奏であらためてこの作品に接すると、「ブルックナーはいまだ初演されていない」という、チェリビダッケの厳しい言葉が真実味をもって響いてきます。

 

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🔰はじめての「00番」

 

第3楽章から聴いてみてください

 

ブルックナー入門としては、第4番「ロマンティック」以降の作品がおすすめなので、この作品は、もうブルックナーの森に通いなれているブルックネリアン(ブルックナー信者)のための作品と言っていいと思います。

 

全4楽章、45分ほどの作品。

総じて、意外なくらいメンデルスゾーンやシューマンの影響もそこかしこに聴こえます。

 

ブルックナーらしさが、いちばん顔を出しているとされるのが第3楽章スケルツォ。

まずはその少しゴツゴツした手触りの楽章で、ブルックナーの「萌芽」に触れてみてください。

 

私のお気に入り名盤

 

クリスティアン・ティーレマン(指揮)ウィーン・フィル

 

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おそらく、ウィーン・フィル史上、最初の00番の録音なのではないでしょうか。

指揮は、ブルックナーを得意にしているクリスティアン・ティーレマン

彼の指揮で聴くと、「まだブルックナーらしくない」と言われてきた00番が、「紛れもないブルックナー」として聴こえてくることに驚きました。

おそらく、この録音のおかげで、この作品の聴衆は増えるでしょうし、演奏頻度も高まると思います。

それくらい、この作品における、エポックメイキングな録音だと思います。

 

 

 

エリアフ・インバル(指揮)フランクフルト放送交響楽団

 

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若き日のエリアフ・インバルが、フランクフルト放送交響楽団と作った「ブルックナー:交響曲全集」に含まれる録音。

颯爽として、切れ味の鋭さもある、それでいて、実に堂々としたブルックナーが展開されていきます。

インバルがいちばん輝いていた時代のすばらしい記録。

 

スタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(指揮)ザールブリュッケン放送交響楽団

 

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近年を代表するブルックナー指揮者のひとり、ポーランド出身のスタニスラフ・スクロヴァチェフスキ(Stanisław Skrowaczewski, 1923-2017)。

彼もまた、素晴らしい「ブルックナー:交響曲全集」を残していて、第00番もふくまれています。

このひとらしい、精緻で、やや厳しい表情をもった演奏が展開されています。

信頼のおける演奏という趣き。

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判断基準はあくまで主観。これまでに実際に聴いた体験などを参考に選んでいます。

 

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