シリーズ〈小澤征爾さんで音楽史〉

小澤征爾さんで出会う大作曲家50人(第4回)ブルックナーからビゼー

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日本のクラシック音楽をけん引した「世界のオザワ」こと、指揮者の小澤征爾(おざわ・せいじ、1935-2024)さん。

このシリーズでは、小澤征爾さんの録音で50人の作曲家にふれながら、クラシック音楽の歴史を旅します。

この機会に「クラシック音楽を聴いてみよう」という方向け、クラシック入門シリーズです。

シリーズ一覧はこちらのページで確認できます。

16:アントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)

 

晩学の巨人

 

今年2024年が生誕200年の記念年にあたるのが、オーストリアの大作曲家アントン・ブルックナー(Anton Bruckner, 1824-1896)

敬虔なカトリック教徒であり、超一流のオルガニストでもあった彼の音楽は、どの作品も深い信仰心に根差したものです。

 

特に「交響曲」の分野に傑作をのこし、同時代のブラームス(Johannes Brahms、1833-1897)とはちがった方法で、ベートーヴェンの9つの交響曲につづく作品を生みだしました。

 

オルガンの名手として早くから活躍したものの、作曲については晩学だったブルックナー。

代表作となる一連の交響曲が書き始められたのは、40歳前後からという遅さでした。

 

マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)と並んで、長大な作品が多く、本場ヨーロッパでさえ、その評価が定まるのに時間がかかりました。

彼の作品をあじわうには、時間をわすれて音楽に身をゆだねることが必要かもしれません。

 

彼の作品には、彼独特の「パターン」がはっきりとあるのも特徴です。

第1楽章が弦楽器のトレモロではじまる「ブルックナー開始」、2+3の構成による「ブルックナー・リズム」、楽想が変化するときにオーケストラが完全に演奏を休止する「ブルックナー休止」などなど。

 

そうしたブルックナー独特の表現語法をいかせる指揮者たちは、特に「ブルックナー指揮者」と呼ばれます。

日本では、朝比奈隆(1908-2001)さんが、まさに「ブルックナー指揮者」でした。

 

 

小澤征爾さんで聴くブルックナー

 

交響曲第7番

 

小澤征爾さんはブルックナー指揮者というわけではなく、レコーディングの面でも、2003年になってようやくブルックナーの初録音、サイトウ・キネン・オーケストラとのブルックナー:「交響曲第7番ホ長調」がリリースされています。

 

長大な作品なので、まったく初めての場合は、第3楽章から聴いてみてください。

ブルックナー作品のなかでは比較的みじかい楽章ですが、ブルックナー独特の宇宙的な広がり、壮大な躍動感を感じられる音楽です。

中間部には、とっても優しい音楽があらわれます。

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17:グスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)

 

 

やがて私の時代が来る

 

最近の多くの指揮者がその仕事のメインにすえている作曲家、それがグスタフ・マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)です。

学校の教科書にもそこまで大きくは出てこないこの名前が、現在のオーケストラ・コンサートでは中心的存在です。

クラシック音楽初心者ほど「マーラー?」となるはずです。

 

19世紀末から20世紀初頭に活躍したマーラーの作品は、やはり長大な「交響曲」が主軸。

9つの番号付きの交響曲と番号のない「大地の歌」、さらに未完成のものが1曲残されています。

このうち、第2番「復活」~第4番、第8番「千人の交響曲」、「大地の歌」では、声楽まで導入されます。

 

規模が大きいだけでなく、内容も相応の複雑さをもつために、その評価はなかなか上がり切りませんでした。

 

けれども、マーラー自身の「やがて私の時代が来る」という言葉どおり、20世紀後半にマーラーの作品はブームとなります。

現在でも、オーケストラ・コンサートのチラシを見れば、モーツァルトより、マーラーの名前のほうが目につくくらいです。

 

その理由について、マーラーを得意としていた指揮者サー・ゲオルグ・ショルティ(Sir George Solti, 1912-1997)は、「現代の聴衆をこれほど惹きつけるのは、その音楽に不安、愛、苦悩、恐れ、混沌といった現代社会の特徴が現れているからだろう」と述べています。

 

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小澤征爾さんで聴くマーラー

 

交響曲第5番嬰ハ短調

 

小澤征爾さんにとっても、マーラーは重要な位置を占めていたであろう作曲家。

ボストン交響楽団とマーラーの交響曲全集をつくっているほか、サイトウ・キネン・オーケストラとも数曲をレコーディングしています。

 

まずは、マーラーの書いた音楽のなかでも特に美しい楽章として有名な、「交響曲第5番嬰ハ短調」の第4楽章アダージェットをどうぞ。

これは、映画「ベニスに死す」で使用されたことでも有名な音楽。

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交響曲第1番「巨人」ニ長調

 

次に、マーラーの劇的な性格が出た楽章として、交響曲第1番ニ長調「巨人」の第4(5)楽章をお届けします。

この楽章は、当初、“ 地獄から天国へ ”というタイトルがつけられていました。

 

小澤征爾さんはボストン交響楽団と2回、サイトウ・キネン・オーケストラと1回、合計3回も録音しています。

ここでは、わたしがいちばん好きな、小澤さんの若々しい抒情性がきわだつ1977年、1回目の録音をご紹介します。

 

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18:リヒャルト・シュトラウス(Richard Georg Strauss、1864 – 1949)

 

 

オーケストラで描けないものはない

 

ドイツに生まれたリヒャルト・シュトラウス(Richard Georg Strauss、1864 – 1949)は、マーラー(Gustav Mahler, 1860-1911)とほぼ同時代の作曲家です。

 

生前は「指揮者」として大活躍した点も共通しています。

マーラーより長生きだったR・シュトラウスには、指揮者としてのレコーディングも残っています。

♪R・シュトラウスが指揮したモーツァルト:交響曲第40&41番

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活動の初期には、「ドン・ファン」「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」などの交響詩の名作を連発。

それ以降は、「サロメ」や「ばらの騎士」といったオペラの傑作を生み出しました。

20代の若き日から80代の晩年にいたるまで、非常に長い期間にわたって傑作をかきつづけた大作曲家でした。

 

“ シュトラウス ”というと、ワルツで有名なシュトラウス・ファミリーが連想されますが、特に血縁関係はありません。

 

オーケストラの扱いの名人で、本人は「オーケストラで描けないものはない」と豪語していました。

その言葉のとおり、アルプス登山を描いた「アルプス交響曲」、さらには、自身の家族を描いた「家庭交響曲」という傑作まで残しています。

 

また、歌曲の傑作も数多く、そのなかの「あした」という曲については別稿で記事を書いていますので、よろしければご一読ください。

ずっと出会いたかった美しい歌~リヒャルト・シュトラウス『あした』

小澤征爾さんで聴くR・シュトラウス

 

「ツァラトゥストラはこう語った」

 

まずは、おそらくR・シュトラウスの作品のなかで、もっとも広く知られているであろう、交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」の冒頭、導入部(日の出)をお届けします。

「そんなむずかしい題名の曲知らないよ」と思う人もいるかもしれませんが、だまされたつもりで聴いてみてください。

聴いたことがあるひとの方が多いと思います。

 

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「アルプス交響曲」

 

もうひとつ、「アルプス交響曲」をご紹介します。

これは、小澤征爾さんの数ある録音のなかでも特に傑作として有名なレコーディング。

 

アルプス登山の一日を描いた音楽で、演奏に約50分かかりますので、まずは“ 日の出 ”の場面、90秒ほどの音楽をどうぞ。

アルプスが目の前に姿をあらわす場面で、この旋律は、やがて“ 頂上にて ”の場面でも感動的に姿を見せます。

 

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19:シャルル・グノー(Charles François Gounod、1818-1893)

 

 

 

グノー

 

これまでドイツやオーストリアの作曲家を中心にクラシック音楽史を見てきましたが、ここからは、しばらくフランスに目をむけてみます。

 

フランス人では、以前、ベルリオーズ(Hector Berlioz、1803-1869)をご紹介しました。

それ以降も、数多くの作曲家が出て、ドイツ・オーストリアとはちがった音楽世界を形成していきます。

 

まず一人目は、シャルル・グノー(Charles François Gounod、1818-1893)をご紹介。

彼の作品では、バッハの「平均律」にメロディーを付加した「アヴェ・マリア」がいちばん有名かもしれません。

 

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グノーの作品は、旋律線が非常に美しく、歌劇「ファウスト」を筆頭に、オペラや歌曲、合唱曲に傑作を多く残しました。

 

音楽家になるか神父になるか迷い続けたほど信仰心にあつく、宗教音楽でも傑作をのこしています。

彼が作曲した「賛歌と教皇の行進曲」は、現在、ヴァチカンにおいて国歌に準ずる扱いを受けています。

 

グノーはさらに「教師」としても優れていました。

「カルメン」を作曲したビゼー(Georges Bizet、1838-1875)も教え子のひとり。

めずらしいところでは、画家のルノワール(!)が少年だったころ、聖歌隊で声楽を教えたのもグノーでした。

 

小澤征爾さんで聴くグノー

 

歌劇「ファウスト」のバレエ音楽

 

シャルル・グノーの代表作である歌劇「ファウスト」の第5幕には、美しいバレエの場面があります。

このバレエ音楽から第5曲「トロイの娘の踊り」をお届けします。

グノーのメロディーの天才が発揮された名品です。

 

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このアルバムは、実はシリアスな作品のレコーディングがほとんどだった小澤征爾さんのディスコグラフィのなかで、親しみやすい作品ばかりが集められた珍しい一枚。

演奏も生気に満ちていて、出色のレコーディングだと思っています。

 

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20:ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet、1838-1875)

 

 

早熟の天才

 

前にご紹介したグノー(Charles François Gounod、1818-1893)の教え子のひとりが、ジョルジュ・ビゼー(Georges Bizet、1838-1875)です。

 

早熟の天才で、17歳のときには、学校からの課題だったと推測されている「交響曲ハ長調」という傑作を既にかきあげています。

ビゼー:交響曲ハ長調 の解説&お気に入り名盤【交響曲100の物語】

 

代表作は、歌劇「カルメン」や劇付随音楽「アルルの女」など。

➡【オーケストラ入門】ビゼー:劇付随音楽『アルルの女』とその組曲~小さな試聴室

 

いまでは、オペラの代名詞のような人気作である歌劇「カルメン」ですが、1875年の3月に行われたパリでの初演は、大失敗におわりました。

それから3ヶ月後、1875年6月、ビゼーは失意のうちに心臓発作で他界します。

 

そんな歌劇「カルメン」ですが、現在につながる評価を受け始めるのに、あまり時間はかかりませんでした。

 

1875年10月におこなわれたウィーン初演は、一転して大成功。

悲しいことに、ビゼーの急死から、わずか4か月後のことでした。

 

小澤征爾さんで聴くビゼー

 

「カルメン」前奏曲

 

まずは、いちばん有名な「カルメン」の前奏曲(トレアドール)をどうぞ。

このアルバムの後半には、これまた有名な「アルルの女」組曲も入っています。

 

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「カルメン」~“ 来たぞ!来たぞ! ”

 

小澤征爾さんは、大歌手ジェシー・ノーマン(Jessye Norman, 1945-2019)を主人公に、歌劇「カルメン」全曲もレコーディングしています。

そのなかから、さきほどの旋律に、元気な合唱もくわわる“ 来たぞ!来たぞ! ”をどうぞ。

 

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