シリーズ〈音楽の処方箋〉

【クラシック音楽の音楽処方箋】「秋」を感じながらリフレッシュしたいときに聴く名曲4選

 

音楽の処方箋、今回は「秋を感じながらリフレッシュしたいときに聴くクラシック4選」というテーマです。

ヴィヴァルディ:『秋』第1楽章~合奏協奏曲「四季」(Voices of Music)

ヴィヴァルディは今やクラシック音楽の代名詞のような存在のひとりです。

でも、実は20世紀に入るまでほとんど忘れられていた作曲家です。
その再評価が本格化したのは20世紀も半ばになってから。

実はバッハも同様に忘れられていた時期がありました。
そのバッハの再評価がはじまって、そのバッハがお手本としていたヴィヴァルディにも再評価が波及したようです。

今や世界中の音楽家が演奏し、世界中の音楽好きが耳を傾けているこの『四季』も、すっかり忘れ去られていた時期があったというのは、何とも不思議な感じがします。
そしてまた、そこから這い上がって来た「作品の生命力」にも、感嘆するしかありません。

たくさんの録音がありますが、今回はサンフランシスコを拠点にして、YouTubeに膨大な動画をあげている団体Voices of Musicの演奏をご紹介します。
この団体は、以前もご紹介しましたが、何を聴いても常に真摯に演奏していて頭が下がります。
相当に良心的な音楽家ばかりが集まっているんでしょう。
絶対にいつか、生演奏を聴いてみたい団体。

『秋』第1楽章の動画をリンクしますが、『秋』全3楽章の動画も公開されています。

 

ウォルトン:戴冠式行進曲『宝玉と王のつえ』(アンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団)

現在のイギリスの女王、エリザベス女王が1953年に即位したときの戴冠式用に作曲されたもの。

作曲したのはイギリスの大作曲家ウィリアム・ウォルトン(1902-1983)。
こんな傑作を自分のために作曲される気分ってどういうものなんでしょう。
想像しただけでもちょっと震えます。

ウォルトンという作曲家は、信じがたいことにほぼ作曲を独学したという大家。
ジャズなどの語法も取り入れて、独自の作風を確立しました。

1983年に亡くなっているわけですから、つい40年ほど前までイギリスに健在だった大作曲家です。
この行進曲でも、シンコペーションを駆使して、きらびやかで現代風な衣装を音楽に与えています。
そして、中間部にはとっても高貴な、美しい、勇壮なメロディーが出てきます。

この音楽は特に秋に関係はないんですが、なぜか私が秋口に聴きたくなる音楽のひとつなので、割り込ませていただきました。
でも、聴いていただければ満足していただけるはず。

演奏はウォルトンの作品で非常に高い評価を得ていたアンドレ・プレヴィン指揮ロンドン交響楽団の録音で。
( Apple Music↓・Amazon MusicSpotifyLine Music などで聴けます)

 

グラズノフ:“秋”~バレエ音楽『四季』(カーメン・ドラゴン&キャピトル交響楽団)

ようやく再会できて、とってもうれしい録音。
やっと見つかった。

もう何年も前、NHKのラジオでたまたま耳にした演奏で、一度聴いて気に入ってしまって、それからCDをずーっと探していましたが、これがずーっと見つからない。
そして、今回、ようやくオンライン配信のなかに見つけられました。

ただ、AppleMusicとAmazonMusicでしか見つかりませんでした。
クラシックはまだまだ検索が非常に難しいので、もしかしたら他の配信サイトでもどこかに埋もれているかもしれません。

ロシアの作曲家グラズノフのバレエ音楽『四季』のフィナーレである“秋”。
それを、アメリカのミュージシャン、カーメン・ドラゴンがキャピトル交響楽団を指揮して、非常にアメリカ的に、勢いよく盛り上げて演奏しているおもしろいものです。
通常はもうちょっと落ち着きがある音楽なんですが、これは実にキラキラしていて、楽しい気分にさせられます。
クセになります。
( Apple Music↓・Amazon Music などで聴けます)

ドヴォルザーク:『スラヴ舞曲』第2集の終曲 “第8番”(アンタル・ドラティ指揮ミネアポリス交響楽団、ブレンデル&クリーン)

おしまいは、しっとりとした「秋」を。

ドヴォルザークの出世作となった『スラヴ舞曲集』の第2集、そのいちばん最後の音楽です。
以前【オーケストラ入門】ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集という記事を書いたので詳しくはそちらに譲りますが、チェコという土地柄のせいか、ドヴォルザークという作曲家には“秋”がとても似合うように感じます。

このスラヴ舞曲第2集のおしまいの曲は、それまでの15曲とは、まったくちがった曲想になっています。
地上のもっとも優しい歌、何かを包み込むような音楽。

過ぎ去った日々をなつかしく思い出しているような、心の奥に響いてくる音楽です。
初めて聴いたときから、すぐに心を奪われました。
こうした曲でこのダンス音楽集を閉じるあたり、ドヴォルザークの深い人間性を感じさせます。

私が大好きなアンタル・ドラティ指揮ミネアポリス交響楽団の録音で。
( Apple Music↓・Amazon MusicSpotifyLine Music などで聴けます)

 

この曲はもともとピアノ連弾用の音楽でした。
せっかくなので、そのピアノ連弾版のほうもご紹介。アルフレッド・ブレンデルとワルター・クリーンという、2大巨匠の連弾。
( Apple Music↓・Amazon MusicSpotifyLine Music などで聴けます)

というわけで、秋の日々での気分転換になったらと思います。

寒暖差のはげしい季節、どうぞ健やかに。

 

 

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