今年はまだまだコロナ禍の影響で、コンサート予定の発表がゆっくりです。
随時更新していきますので、ときおりご覧になってください。
こちらでは4~6月をご紹介していきます。
1~3月、7~9月、10~12月はそれぞれ別ページに記載しています。
Contents
クラシックの公演チケットは、基本、前売りで買うもの
クラシックのコンサートは前売りで買いましょう。
残席があれば当日券も出ますが、それでも残っているのはたいてい一番高い席だったりします。
クラシックのコンサート初心者がいきなり一番高い席を買うのは、お金に余裕がある方をのぞいて余りお薦めできません。
初めのうちほど、まずは手ごろな価格で、なるべく早めに前売り券を手に入れておきましょう。
最近はコロナの影響でチケットの前売りのタイミングがバラバラなのですが、だいたい3~6か月前くらいにはチケットの発売が開始されます。
半年先というとずいぶん先に思えるかもしれませんが、人気の公演はそれでもすぐに完売してしまいます。
2022年の現状
コロナ禍ということで、とくに海外からのアーティストたちの動きが流動的で、コロナ前とくらべて、公演数はまだ極度に減っているというのが正直な印象です。
日本はクラシックの輸入大国で、たいていの著名な演奏家・オーケストラが次々と公演に訪れますが、まだしばらくはそういうわけにはいかないようです。
詳細はそれぞれの公式HPでお願いいたします
コロナ禍の影響で、公演の有無をふくめ、コンサートの日時、チケット発売日、曲目の変更、出演者の変更などなど、急な変更が日々たくさん発生しているのが現状です。
こちらのページはあくまで大まかな地図として役立てていただいて、詳細は各公式サイト・各プレイガイドで必ず確認をお願いします。
個人で集めている情報ですので、記載ミスなどもあるかもしれません。
その際にはどうぞご容赦ください。
曲目ではなく、演奏者で選ぶ
初めてコンサートに行くとなると『モルダウ』や『運命』といった聴いたことがある曲目で選びたくなりますが、そうではなくて、まずは誰が演奏するのかで選びましょう。
分かりやすく言えば、美味しいものが食べたければ、メニューより前に、美味しいお店を探すことが大切なのと同じです。
とはいっても、初心者であればあるほど、演奏者や指揮者の名前なんて知らないと思います。
そこで、このブログではわたしが主観的に、自分でもチケットを買いたいと思う、お薦めのコンサート情報を厳選して掲載しています。
是非、このブログを参考に、コンサートを選んでみてください。
そのほか、初心者の方向けに「コンサート当日に気をつけたいこと」や「チケットの買い方」を別ページにまとめましたので、そちらもあわせてご覧ください。
2022年 4月のお薦めコンサート
★=今月迷ったらコレ
東京・春・音楽祭
3/18(金)~4/19(水)
(公演詳細ページ)
マレク・ヤノフスキ指揮
NHK交響楽団
演奏会形式による
ワグナー:歌劇『ローエングリン』
3月30日(水)17:00@東京文化会館
4月2日日(土)15:00@東京文化会館
(公演詳細ページ)
ワーグナーのオペラの代表作のひとつ『ローエングリン』が、コンサート形式で上演されます。
指揮は、ワーグナーの指揮でも活躍しているマレク・ヤノフスキ。
ただ、とにかくワーグナーの歌劇は長いです。
休憩が途中入って、だいたい4時間半くらいはかかると思います。
それだけに、飽きるか、圧倒されるか、歌手と演奏者と指揮者にかかっています。
それから、演奏会形式とはいえ、歌手も合唱も出演するオペラなので、チケットも高くなります。
その意味で、初心者向けといって良いのか迷いますが、ワーグナー初体験としては、演奏がうまく行けば忘れられないものになるかもしれません。
★アンドレアス・シュタイアー
&アレクサンドル・メルニコフ
(ピアノ・デュオ)
4月9日 (土)18:00@東京文化会館 小ホール
(公演詳細ページ)
※以下のホールでも同じ内容の公演あり
4月6日(水)19:00@住友生命いずみホール
(公演詳細ページ)
4月10日(日)15:00@水戸芸術館
(公演詳細ページ)
オール・シューベルト・プログラム
6つの大行進曲 D819~第3番 ロ短調
4つのレントラー D814
6つのポロネーズ D824~第1番 ニ短調
2つの性格的な行進曲 D886~第1番 ハ長調
フランス風の主題によるディヴェルティメント ~第2番 アンダンティーノと変奏 D823
ロンド イ長調 D951
創作主題による8つの変奏曲 変イ長調 D813
幻想曲 ヘ短調 D940
東京・春・音楽祭の一環。
名ピアニスト2名による連弾という、ぜいたくなコンサートです。
連弾の名曲が多いシューベルトの作品が演奏されます。
★ブリン・ターフェル
バス・バリトン・リサイタル
4月16日(土)18:00@東京文化会館 小ホール
(公演詳細ページ)※公演中止
★ブリン・ターフェル
オペラ・ナイト
4月19日(火)19:00@東京文化会館 大ホール
(公演詳細ページ)※公演中止
東京・春・音楽祭のフィナーレを飾るのは、バス・バリトンの大御所、ブリン・ターフェル。
イギリスの名歌手で、現在56歳。
シューベルトやブラームス、ベートーヴェンのほかに、イギリスのヴォーン・ウィリアムズやフィンジの歌曲が歌われるということで期待の公演です。
「オペラ・ナイト」と題された日には、ワグナーなどのオペラのほかに、ミュージカル・ナンバーも披露されるようです。
※来日前のPCR検査で陽性反応が出たそうで、一連のターフェルの公演はすべて中止とのことです(公式HP)。
心の底から残念ですが、まずは何よりターフェル氏の健康を願っています。
クリストフ・エッシェンバッハ指揮
NHK交響楽団
4月9日(土)18:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
4月10日(日)14:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
ドヴォルザーク:序曲「謝肉祭」
モーツァルト:フルート協奏曲 第1番 ト長調 K. 313(Fl、スタティス・カラパノス)
ベートーヴェン:交響曲 第7番 イ長調
4月15日(金)19:30@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
4月16日(土)14:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
マーラー:交響曲 第5番 嬰ハ短調
クリストフ・エッシェンバッハは1940年ドイツ生まれの名ピアニストで、指揮もする音楽家。
今年で御年82歳です。
とても濃厚な音楽づくりをする人で、今回は取り上げられる曲目がどれも名曲ばかり。
そして、ふだんNHKホールで演奏しているNHK交響楽団が、NHKホール改装中のため、池袋の東京芸術劇場に会場を移しているのもポイント。
紅白歌合戦でおなじみのNHKホールは、クラシック音楽には広すぎて適さないホール。
まもなく改修がおわって演奏会場をやはりNHKホールへ戻すそうなので、NHK交響楽団を聴いてみたいという人は、今のうちにどうぞ。
小林研一郎 指揮
日本フィルハーモニー交響楽団
4/1(金)19:00@サントリーホール
4/2(土)14:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
シューマン:交響曲第4番ニ短調
ブラームス:交響曲第4番ホ短調
“ 炎のコバケン ”として親しまれている、日本を代表する指揮者のおひとり小林研一郎さんもすでに80歳を超えてらっしゃるようで、時の流れを感じます。
《幻想交響曲》やチャイコフスキーなど、得意なレパートリーが非常にはっきりされている方です。
そんななかでは、シューマンとブラームスはメインレパートリーというよりはサブ・レパートリーの部類だと思いますが、以前、とても渋い、充実したブラームスの実演を聴いたことがあるので期待されます。
トレヴァー・ピノック指揮
紀尾井ホール室内管弦楽団
※指揮者・曲目の変更が発表されました
4月22日(金)19:00@紀尾井ホール
(公演詳細ページ)
4月23日(土)14:00@紀尾井ホール
(公演詳細ページ)
モーツァルト:交響曲第39番変ホ長調 K.543 ほか
バロック界の大御所トレヴァー・ピノックの首席指揮者就任披露公演のはずでしたが、ピノック急病のため、指揮者と曲目が変更になりました。
注目の公演だっただけに残念ですが、ピノック氏の一日も早いご回復を祈っています。
近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2022
4/29(金・祝)~5/1(日)
(公式サイト)
滋賀県のびわ湖ホールで行われる音楽祭で、1つのコンサートがおよそ45分から60分の短めのコンサートで、クラシック初心者でも親しみやすいように企画されています。
何より演奏の「質」にこだわっているということで、期待の大きな音楽祭です。
チケットも¥1,500~2,500のようで、クラシックへの最初の一歩にも最適なイベントです。
いろいろなコンサートが企画されているようなので、参考までに以下にいくつか注目のものをピックアップしてみます。
4/30(土)10:00~10:45
(公演詳細ページ)
出会いと別れ~1843年製プレイエルとともに~
(フォルテピアノ)川口成彦
フォルテピアノというのは、初期のピアノのことで、チェンバロと現代のピアノのあいだのような、特徴的な響きがします。
この種の楽器のリサイタルは試しに聴いてみようと思っても、そこそこお高い料金のリサイタルが多いので、¥1500で体験できるのは貴重です。
4/30(土)15:30~16:30
(公演詳細ページ)
大植英次 指揮 大阪フィルハーモニー
シューベルト:交響曲第7番『未完成』
ベートーヴェン:交響曲第5番『運命』
『未完成』と『運命』という、典型的な名曲コンサートです。
こうしたメインディッシュだけが並ぶプログラムの演奏会は、実はつまらないものがほとんどだったりします。
コース料理で、ハンバーグ、ステーキ、ビーフシチュー‥みたいなのがひたすら並ぶのと同じです。
でも、この公演は指揮が大植英次さんなので、きっと何か胸躍る音楽を聴かせてくださるのではと期待されます。
※残念ながら大植英次さんが体調不良のため指揮者変更とのことです。
5/1(日)11:40~12:35
(公演詳細ページ)
東京フィル首席奏者の凱旋!!
アレッサンドロ・ベヴェラリ(クラリネット)&石井美由紀(ピアノ)
“凱旋!!”というのがどういう意味なのか記載がないのでわからないんですが、滋賀県で活躍されていたことがあるんでしょうか。
それはともかく、これはプログラムがとっても素敵です。
サン=サーンスが晩年に書いた、とっても美しい『クラリネット・ソナタ』、そして、あのシューマンの奥さんであるクララ・シューマン作曲の『3つのロマンスop.22』、そして、ブラームスが晩年に書いた『クラリネット・ソナタ 第2番』という、クラリネットが好きな人には興味の尽きないプログラムです。
5/1(日)16:00~16:45
(公演詳細ページ)
いざ、傑作の森へ!2
児玉麻里(ピアノ)
児玉麻里さんは日本を代表するピアニストのひとり。
ここではベートーヴェンのピアノ・ソナタ 第17番 「テンペスト」とピアノ・ソナタ 第26番 「告別」が演奏されます。
今年の音楽祭テーマが「さようなら、故郷の家よ」ということで「告別」がメインになっているんでしょうが、ベートーヴェンのピアノソナタのなかでも、抒情性が際立った作品が並びました。
※びわ湖音楽祭2022について、気になっていることを。
音楽祭テーマが「さようなら、故郷の家よ」です。
おそらく偶然とはいえ、どうしたって昨今のウクライナ情勢を連想せずにはいられません。
それはいいんです。
社会情勢に無関心な音楽祭というのは、遅かれ早かれ聴衆の心から離れていくものです。
そこで問題になるのが、最終日のグランドフィナーレに演奏される序曲『1812年』(チャイコフスキー)です。
私は、ロシア音楽を控えるべきだという意見には賛同しません。
ただ、チャイコフスキー本人でさえ、今、わざわざ『1812年』が演奏されることは望まないのではと思っています。
彼はとても繊細で、やさしい人でしたから。
この状況を見たら、トルストイが涙した『アンダンテ・カンタービレ』、もしくは悲愴交響曲など、別の音楽の演奏を希望するでしょう。
実際いま『1812年』を聴くと、さまざまな所で生々しい痛みを感じて、とても胸が苦しくなります。
同じ音楽が、いつもと違って聴こえてきてしまう、それが戦争というものだと教えられます。
音楽祭が行われる5月に、情勢がどうなっているかはわかりません。
『1812年』を演奏して、聴衆に「戦争と芸術」について複雑な問いを投げかけることも出来ますが、その際には、聴衆に一定の痛みを与えることを覚悟して行われるべきでしょう。
私としては、今はもうすでに十分傷ついてしまった世界へむかって、「平和を祈る姿勢」「傷ついた人々へのなぐさめ」を打ち出すことの方が良いのではと感じています。
ウクライナの人々はもとより、世界中の人々、そして、きっと少なくないロシアの人々も傷ついているときです。
関係者の方、いずれにしても、社会に対して確固たるメッセージを出せる音楽祭をご検討ください。
(追記)
チャイコフスキーの『1812年』を、レスピーギの交響詩『ローマの松』へ変更するという発表がありました。
とても良い企画の多い音楽祭ですが、正直、この変更の仕方にはがっかりしました。
たとえば、ハイドンの『戦時のミサ』から数曲抜粋するとか、今ヨーロッパで盛んに演奏されているベートーヴェンの『運命』や第九、もしくは大戦中に作曲されたショスタコーヴィチやヴォーン・ウィリアムズ作品へ変更すれば、強いメッセージを含んだ、社会に積極的に発信していく一流の音楽祭として、真摯な姿勢を打ち出せたのにと思います。
とりあえず何ごともなければいい、無難に終わりたいというところでしょうか。
2022年 5月のお薦めコンサート
★=今月迷ったらコレ
近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2022
4/29(金・祝)~5/1(日)
(公式サイト)
※詳細は4月のところに記載しましたので、そちらをご覧ください。
★マルタ・アルゲリッチ
『別府アルゲリッチ音楽祭』
2月20日(日)~6月25日(土)
(公演詳細ページ)
オーケストラコンサート
アルゲリッチ(piano)&ミーシャ・マイスキー(cello)出演
5/16(月)18:30@東京オペラシティ
室内楽コンサート
アルゲリッチ出演
5/22(日)18:00@別府市 ビーコンプラザ フィルハーモニアホール
ピノキオコンサート〜子どものための音・学・会
アルゲリッチ出演
5/26(木)19:00@大分市 平和市民公園能楽堂
5月28日(土) 室内楽コンサート
アルゲリッチ出演
5/28(土)15:00@大分市 iichiko総合文化センター iichikoグランシアタ
3年ぶりに開かれる予定の音楽祭。
現代のピアノ界の女王といって間違いない、マルタ・アルゲリッチの名前を冠した、日本が世界に誇る音楽祭のひとつ。
彼女については、以前別の記事でもご紹介しています。
東京公演もあるようで、そちらではアルゲリッチのシューマン:ピアノ協奏曲が聴けます。
そして、大分県での公演では、アルゲリッチによる室内楽やピアノ・ソロが聴けます。
ラデク・バボラーク指揮
水戸室内管弦楽団
マルタ・アルゲリッチ(piano)
5/18(水)19:00@水戸芸術館コンサートホールATM
5/19(木)19:00@水戸芸術館コンサートホールATM
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン: 『エグモント』 序曲
ブラームス: セレナード 第2番 イ長調
シューマン:ピアノ協奏曲 イ短調
アルゲリッチ音楽祭の関連公演。
天才ホルン奏者として著名なバボラークが指揮者として登場しますが、何といっても、ピアノの女王アルゲリッチが後半にシューマンの協奏曲を弾くのがメインディッシュです。
ただし、チケットはいちばん安い席でも¥12000から。
でも、水戸芸術館は客席数が600席ちょっとで小ホール、もしくは中ホールの規模。
その親密な空間でアルゲリッチを体験できる貴重な機会。
★ジョナサン・ノット指揮
東京交響楽団
5月14日(土)14:00@東京オペラシティ
(公演詳細ページ)
5月15日(日)14:00@ミューザ川崎
(公演詳細ページ)
ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
デュサパン:オルガンとオーケストラのための二重奏曲『WAVES』
(org、大木麻理)※日本初演
ブラームス:交響曲第3番ヘ長調op90
5月21日(土)18:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
5月22日(日)14:00@ミューザ川崎
(公演詳細ページ)
R・シュトラウス:交響詩『ドン・ファン』
ショスタコーヴィチ:ピアノ協奏曲第1番
(Piano、ペーテル・ヤブロンスキー)
ウォルトン:ベルシャザールの饗宴
クラシック初心者の人に、とりあえず「1つだけ」コンサートを選んでと言われたら、ジョナサン・ノットと東京交響楽団のコンビの演奏会をお薦めしています。
ジョナサン・ノットはイギリス出身の名指揮者。
2022年末に60歳になる彼と東京交響楽団のコンビは、まさに黄金時代にあります。
日本でこうしたハイレベルな公演を日常的に聴けるというのは、本当にうれしいことです。
現代音楽の複雑なスコアを得意とするジョナサン・ノットですが、実際コンサートでいろいろ聴いてみると、ベートーヴェンやシューベルト、ブラームスらのドイツ音楽でいっそう強い魅力を感じます。
その彼が今回、ブラームスの名曲中の名曲、交響曲3番を演奏します。
次に紹介するウォルトンの演奏会のほうが注目度が高いようですが、こちらの演奏会ももっと注目されていいものです。
ブラームスは今後も、もっと頻繁にやっていただきたいレパートリー。
イギリス音楽のなかでもとりわけスペクタクルで壮麗な傑作、合唱やオルガンまで加わるウォルトンの『ベルシャザールの饗宴』が演奏される日は、さすがクラシック音楽ファンの注目度がとても高いようで、すでにかなりの席が売れているようです。
完売する可能性があるので、検討中の方はお早めにどうぞ。
マレク・ヤノフスキ指揮
NHK交響楽団
5月14日(土)18:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
5月15日(日)14:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
シューマン/ヴァイオリン協奏曲 ニ短調(Vn、アリョーナ・バーエワ)
シューベルト/交響曲 第8番 ハ長調 D. 944「ザ・グレート」
マレク・ヤノフスキは1939年ポーランド生まれなので、今年83歳になる指揮者。
テンポの速い、いわゆる即物主義的な芸風なので、そのテキパキした、さっぱりとした感覚がシューベルトの傑作『グレイト』とマッチすれば期待が持てる公演です。
以前、ドイツのオーケストラと来日したときに演奏した『未完成』はとても良い演奏でした。
また、NHK交響楽団が音響の悪いNHKホール(改修中)を出て、東京芸術劇場で公演を行っているのもポイント。
9月からはNHKホールに戻ってしまうそうなので、N響を聴いてみたい人は今のうちに。
★ファビオ・ルイージ指揮
NHK交響楽団
5月25日(水)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
5月26日(木)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
5月29日(日)17:00@沖縄コンベンションセンター劇場棟
(公演詳細ページ)
メンデルスゾーン:序曲「静かな海と楽しい航海」
ラヴェル:ピアノ協奏曲 ト長調
(piano、小菅優)
リムスキー・コルサコフ/交響組曲「シェエラザード」
今年の9月から首席指揮者に就任する、イタリア出身の指揮者ファビオ・ルイージの登場。
プログラムも素晴らしく、最初から最後まで名曲がずらりと並んでいて、聴きどころだらけです。
ピアニストの小菅優さんが登場するラヴェルのピアノ協奏曲も期待されます。
同じ組み合わせで、沖縄での公演も。
(★)佐渡裕 指揮
新日本フィルハーモニー
5月19日(木)18:30@山梨YCC県民文化ホール
(公演詳細ページ)
5月20日(金)18:30@松戸・森のホール21
(公演詳細ページ)
5月25日(水)19:00@アクトシティ浜松
(公演詳細ページ)
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第5番『皇帝』op.73
(piano、反田恭平)
ベートーヴェン:交響曲第7番 イ長調 op.92
上記3公演は、ショパンコンクールで話題のピアニスト、反田恭平さんを前半のソリストに迎えた公演なので、おそらく即日完売すると思います。
後半は、下の演奏会と同じで、佐渡さんがデビューするときに指揮したベートーヴェンの7番がプログラムされています。
5月21日(土)14:00@すみだトリフォニーホール
(公演詳細ページ)
5月22日(日)14:00@所沢ミューズ
(公演詳細ページ)
5月23日(月)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
R.シュトラウス/交響詩「ドン・ファン」 op. 20
バーンスタイン/前奏曲、フーガとリフス
ベートーヴェン/交響曲第7番 イ長調 op. 92
こちらのプログラミングは、佐渡裕さんが指揮者デビューをしたときとまったく同じ曲目。
それだけに期待値が大きいです。
是非とも、「場外ホームラン!」のような公演にしてほしいです。
と、紹介していたのですが、反田恭平さんとの共演日程も追加発表となり、そうなると1週間、ほぼ毎日ベートーヴェンの7番が演奏されるということになりました。
ベートーヴェンの7番というと、伝説の指揮者カルロス・クライバーの名演奏をどうしても思い起こしてしまうんですが、クライバーは1週間、ずっとベートーヴェンの7番を指揮するなんてできたんでしょうか。
当初とっても期待していた演奏会だっただけに、不安に思っています。
そうした不安を払いのけるような凄い公演になるか、それなりにフィナーレだけ盛り上がって終わる公演になるか。
ちょっと不安が生まれてしまったので、★マークに( )を追加しました。
★いしかわ・金沢
風と緑の楽都 音楽祭2022
4/24(日)~5/5(木祝)
(公演詳細ページ)
ゴールデンウイークに金沢で行われる音楽祭。
どの公演も公演時間が短いぶん、チケット代は¥2000前後で、誰でも手に取りやすい価格に設定されています。
市民参加型の音楽祭のようで、プロ・オーケストラやソリストの公演のほかに、地元の吹奏楽や市民オーケストラなどなど、かなり大規模な音楽祭です。
ラインナップされた内容を見ていると、まるで活発な学校の学園祭や文化祭のようなヴァラエティーの豊かさで、そういった点で、日本屈指の充実を誇っている音楽祭といっていいのではないでしょうか。
ユベール・スダーン指揮による一連の公演、とりわけベルリオーズの幻想交響曲がやはり注目ですが、企画の面白さという点では、ほかのさまざまな公演がそれぞれにおおきく期待されます。
★アンジェラ・ヒューイット
&オーケストラ・アンサンブル金沢
5月21日(土)14 : 00@石川県立音楽堂
(公演詳細ページ)
J. S. バッハ: ピアノ協奏曲 第3番 ニ長調 BWV 1054
J. S. バッハ :ピアノ協奏曲 第5番 へ短調 BWV 1056
J. S. バッハ: ピアノ協奏曲 第7番 ト短調 BWV 1058
J. S. バッハ:ピアノ協奏曲 第2番 ホ長調 BWV 1053
J. S. バッハ: ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV 1052
アンジェラ・ヒューイットはカナダ出身のピアニスト。
バッハ演奏の最前線にいるピアニストです。
その彼女の弾きぶりで、オール・バッハ・プログラム。
最高のプログラミングです。
アンジェラ・ヒューイット
ピアノ・リサイタル
5/23(月)19:00@紀尾井ホール
「バッハ・オデッセイ 11」(公演詳細ページ)
5/25(水)19:00@紀尾井ホール
「バッハ・オデッセイ 12」(公演詳細ページ)
こちらはアンジェラ・ヒューイットのピアノ・ソロによるバッハ・リサイタル。
「バッハ・オデッセイ」と題された、バッハの鍵盤ソロ作品をすべて演奏するという企画で、途中コロナ禍で延期や中止があり、今回で全12回が完結します。
現代ピアノによるバッハ演奏の最高峰。
アンガス・ウェブスター指揮
名古屋フィルハーモニー
5月13日(金)18:45@愛知県芸術劇場
5月14日(土)16:00@愛知県芸術劇場
(公演詳細ページ)
エルガー:序奏とアレグロ
モーツァルト:オーボエ協奏曲ハ長調 K.314
(ob,吉井瑞穂)
ヴォーン・ウィリアムズ:交響曲第5番ニ長調
何といっても2曲目のモーツァルト。
日本人オーボエ奏者の吉井瑞穂さんが出演されます。
ギュンター・ヴァント、クラウディオ・アッバード、ニコラウス・アーノンクールなどの錚々たる指揮者たちから信頼を得たたいへんな名手です。
オーボエが好きな人には絶対にお薦めの公演。
★シャルル・デュトワ指揮
大阪フィルハーモニー
5月30日(月)19:00@フェスティバルホール(公演詳細ページ)
5月31日(火)19:00@フェスティバルホール(公演詳細ページ)
ハイドン/交響曲 第104番「ロンドン」
ラヴェル/組曲「クープランの墓」
ストラヴィンスキー/バレエ音楽「ペトルーシュカ」(1911年版)
デュトワはスイス出身の名指揮者です。
近年、古典派の作品をプログラムすることが増えた印象のデュトワ。
ここでもハイドンの最後の交響曲をプログラムしています。
そのほかは、得意のラヴェルとストラヴィンスキー作品と、魅力的なプログラミング。
★ソフィー・デルヴォー(指揮・ファゴット)
&愛知室内オーケストラ
5/29(日)14:00@三井住友海上しらかわホール
(公演詳細ページ)
モーツァルト:『フィガロの結婚』序曲
フンメル:ファゴット協奏曲ヘ長調
モーツァルト:ファゴット協奏曲変ロ長調
F・デルヴォー:ファゴット協奏曲(世界初演)
ソフィー・デルヴォー(ソフィー・ダルティガロング)は、現在、ウィーン・フィルの首席奏者を務めている、フランス出身の女性ファゴット奏者。
ウィーン・フィルに移る前は、ベルリン・フィルにいたという、たいへんな経歴の方です。
愛知室内オーケストラ(公式ホームページ)は、2022年の4月から山下一史さんを新しく音楽監督に迎えるようで、その意気込みが今後のプログラミングにも如実に表れています。
プログラムを見ただけでわくわくさせられるようなオーケストラがありますが、この愛知室内オーケストラはまさにそうした勢いを感じさせるものがあって、注目していきたいです。
★ソフィー・デルヴォー
ファゴット・リサイタル
5/19(木)19:00@神奈川県立音楽堂
(公演詳細ページ)
5/20(金)19:00@フェニーチェ堺(大阪)
(公演詳細ページ)
5/24(火)19:00@紀尾井ホール(東京)
(公演詳細ページ)
モーツァルト:ファゴット・ソナタ ロ長調 K.292(原曲:ファゴットとチェロのためのソナタ)
ドビュッシー:「ベルガマスク組曲」~“ 月の光 ”
サン=サーンス:ファゴット・ソナタ イ長調op168 ほか
こちらは上記、ウィーン・フィル首席ファゴット奏者であるソフィー・デルヴォー(ソフィー・ダルティガロング)によるリサイタル。
急遽、実現したようです。
大友直人 指揮
群馬交響楽団
5/14(土)16:00@高崎芸術劇場
(公演詳細ページ)
《オール・ヴォーン・ウィリアムズ・プログラム》
交響曲第5番ニ長調
バス・テューバ協奏曲へ短調
交響曲第9番ホ短調
イギリス音楽の紹介に熱心な大友直人さんによる、イギリスの大作曲家ヴォーン・ウィリアムズ特集です。
なかなかヴォーン・ウィリアムズをまとめて日本で聴ける機会はないので、とっても意欲的なプログラムです。
初心者向けというよりは、脱初心者向けのプログラムかもしれません。
テューバをソロ楽器とした、珍しい名曲『バス・テューバ協奏曲』が真ん中に挟まれた素敵なプログラムで、戦時中のイギリスで初演された第5番、最後の交響曲である第9番が演奏されます。
サントリーホール
こども音楽フェスティバル
5/4(水・祝)~7(土)
(公演詳細ページ)
5/4(水・祝)19:00@サントリーホール 小ホール
トルヴェール・クヮルテットによる「リクエストコンサート・サックスのひみつ」
5/5(木・祝)15:00@サントリーホール 小ホール
横山幸雄(Piano)による「ピアノ練習曲のコンサート」
5/7(土)14:30@サントリーホール 大ホール
大井剛史 指揮 東京佼成ウインドオーケストラによる
「中高生のための ベスト・オブ・吹奏楽」
東京赤坂のサントリーホールで大型連休に行われる、親子向けの音楽祭。
親子向けなので、大人だけの入場はできないとのこと。
どれも1時間ほどの長さのコンサートのようで、チケットの値段もおさえられています。
4日間のラインナップにはいろいろな公演が予定されていますが、こちらのブログでお薦めを選ぶと上記の3公演。
トルヴェール・カルテットは日本を代表するサキソフォン四重奏団。
横山幸雄さんによるピアノ・リサイタルは、「練習曲」がテーマになっているのが好企画。
東京佼成ウインドオーケストラは、吹奏楽の「王道曲だけ」を演奏すると書かれているので、これも好企画。
高関健 指揮
富士山静岡交響楽団
クラシック・ポップスコンサート
5/7(土)14:00@しずぎんホールユーフォニア
(公演詳細ページ)
グリーグ:『ペールギュント』から
モーツァルト:オーボエ協奏曲 ハ長調 K.314
ハイドン/交響曲 第45番 嬰ヘ短調「告別」
ブラームス/「ハイドンの主題による変奏曲」
YouTube動画(公式ページ)にベートーヴェンの第九からブルックナーの7番に至るまで真っ向勝負の曲目を、しかもカットなしの全曲動画をあげていたりと、進境著しい富士山静岡交響楽団によるコンサート。
私は応援したくてチャンネル登録しています。
このコンサートは会場が小ホールくらいの大きさなので、編成をしぼっての公演なのかもしれません。
「ポップスコンサート」と銘打っているのに、安易にスターウォーズやトトロに逃げていないところにも感心させられます。
そこで、もともとフィナーレに演出がある「告別」を選んでいるんでしょうし、最後には、そのハイドンが作曲したとされていた主題によるブラームスのハイドン変奏曲でしめるというプログラミングも秀逸。
私はまだ実演を聴いたことがないオーケストラですが、応援したくなるオーケストラです。
★村治佳織
ギター・リサイタル
5/4(水・祝)14:00@第一生命ホール
5/4(水・祝)18:00@第一生命ホール
(公演詳細ページ)
1時間のショート・コンサートのシリーズ。
日本を代表するギタリストの村治佳織さんの演奏で、「愛はきらめきのなかに」、映画「ロミオとジュリエット」の愛のテーマ、「ムーンリバー」といったポップスの名曲を中心に、ロドリーゴやピアソラ、タレガやドビュッシーといったクラシック作品もおりまぜられたプログラムです。
下の写真のベスト・アルバム(Amazon商品ページにリンクしてあります)に、その多くが収録されています。
マティアス・バーメルト指揮
札幌交響楽団
5/22(日)14:00@江別市民会館
(公演詳細ページ)
モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』序曲
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
シベリウス:交響曲第2番ニ長調
5/28(土)17:00@札幌コンサートホールKitara
5/29(日)13:00@札幌コンサートホールKitara
(公演詳細ページ)
ヘンデル:『水上の音楽』第2組曲
モーツァルト:ピアノ協奏曲第27番
(Piano、アンヌ・ケフェレック)
シューマン:交響曲第3番《ライン》
札幌交響楽団の首席指揮者マティアス・バーメルトの登場。
曲目が、最近では珍しいくらいにスタンダード。
『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』や『水上の音楽』などの定番曲を、こうした首席指揮者クラスの人がふる演奏会は、意外と少ないです。
凝った選曲のコンサートもいいですが、こうしたスタンダードなプログラムもやはり良いものです。
あとは演奏次第!
2022年 6月のお薦めコンサート
★=今月迷ったらコレ
アレクサンドル・ラザレフ指揮
日本フィルハーモニー
※指揮者変更が発表されました
6月10日 (金) 19:00@神奈川県民ホール
(公演詳細ページ)
プロコフィエフ:ヴァイオリン協奏曲第2番 ト短調(Vn, ボリス・ベルキン)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調
6月12日 (日) 14:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲
(piano, 横山幸雄)
ショスタコーヴィチ:交響曲第5番ニ短調
日本フィルの桂冠指揮者兼芸術顧問を務めているラザレフは、1945年ロシア生まれの指揮者。
今回はショスタコーヴィチの傑作、第5交響曲です。
※こちらの日本フィル公式発表によりますと、「現在起きている諸状況を考慮し」、指揮者のラザレフ氏は出演を見送ることになったそうです。同じくロシア出身のベルキン氏は出演できるようなので、少し腑に落ちませんが、いずれにしても悲しいことです。
ミハイル・プレトニョフ指揮
東京フィルハーモニー
6月8日(水)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
6月9日(木)19:00@東京オペラシティ
(公演詳細ページ)
6月12日(日)15:00@オーチャードホール
(公演詳細ページ)
シチェドリン:『カルメン』組曲
チャイコフスキー:バレエ音楽『白鳥の湖』抜粋(プレトニョフ編纂)
実際のコンサートで、意外と取り上げられないのがチャイコフスキーの『白鳥の湖』だったりします。
それをロシアの名ピアニストであり、指揮者としても大活躍しているミハイル・プレトニョフが取り上げるということで、期待の大きな演奏会です。
前半に演奏される『カルメン』組曲は、原曲こそ有名なビゼーの『カルメン』ですが、それをロシアの現代作曲家シチェドリンがバレエ用にアレンジしたもの。
管楽器をいっさい使わず、弦楽器と多彩な打楽器だけで演奏される『カルメン』は、ロシア風の味付けに変わって、まったく独自の色合いを見せます。
一度聴くと強烈な印象を残す編曲で、現在ではいろいろなオーケストラのレパートリーとして定着しています。
★尾高忠明 指揮
札幌交響楽団
6/18(土)14:00@札幌文化芸術劇場hitaru
(公演詳細ページ)
ウォルトン:戴冠行進曲「王冠」
ヴォーン・ウィリアムズ:「グリーンスリーヴス」による幻想曲
エルガー:弦楽セレナード ホ短調
ブリテン:「ピーター・グライムズ」~4つの海の間奏曲
ヴォーン・ウィリアムズ:トマス・タリスの主題による幻想曲
ディーリアス:「村のロメオとジュリエット」~楽園への道
エルガー:行進曲「威風堂々」第4番&第1番
BBCウェールズ交響楽団で活躍するなど、イギリス音楽に造詣の深い尾高忠明さんの指揮で、イギリス音楽の名曲がこれでもかと並べられた珠玉のプログラミング。
イギリス音楽が大好きな私としては、これは是非ともみなさんに聴いていただきたいコンサート。
「王冠」に始まって、「威風堂々」第1番で終わるのも素敵です。
ヴォーン・ウィリアムズの「タリスの主題による幻想曲」は舞台上で2つに分かれた弦楽オーケストラが対話をする美しい音楽。
そうした特殊な音響効果は、舞台上の生演奏でないと体験できないものです。
尾高忠明さんには、是非、日本各地で様々なオーケストラとこのプログラムをやっていただきたいです。
ギドン・クレーメル&
高関健 指揮 仙台フィル
6/10(金)19:00@東京オペラシティ
(公演詳細ページ)
ペルト:フラトレス~独奏ヴァイオリン、弦楽と打楽器のための(1992)
グラス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲
(Vn、ギドン・クレーメル/Vc、ギードレ・ディルヴァナウスカイテ)
シベリウス:交響曲第2番 ニ長調 作品43
現代ヴァイオリン界の頂点にいると言って間違いのない、ギドン・クレーメルの登場です。
クレーメルは今年75歳、ラトヴィア出身の名手。
100年後も、この人の名前は音楽史に残っているはずです。
演奏される曲が現代音楽なので、その点で初心者にお薦めしにくく★はつけませんが、一度は生演奏で聴いてみてほしい、明らかに「音」から違う大ヴァイオリニストです。
★マルタ・アルゲリッチ(ピアノ)
&ギドン・クレーメル(ヴァイオリン)
6/5(日)19:00@サントリーホール
6/6(月)19:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ヴァインベルク:ヴァイオリン・ソナタ第5番op.53
ショスタコーヴィチ:ピアノ三重奏曲第2番ホ短調op.67 ほか
上でご紹介した名手クレーメルが、ピアノ界の女王マルタ・アルゲリッチと組んでの室内楽公演。
女王アルゲリッチも、今や80歳です。
チェロは、クレーメルが主宰する合奏団の首席チェロ奏者であるディルヴァナウスカイテが参加します。
室内楽というのは、とってもむずかしいジャンルで、とにかく演奏がよくないと全く楽しめません。
それもうまい人が集まれば必ず良くなるかというと、そういうわけでもなくて、相当に音楽的充実がなければ満たされない、特別なジャンルです。
それだけに、各作曲家の作品も充実したものが多いです。
クレーメルとアルゲリッチは若いころから組んで、ずっと演奏を続けているコンビ。
室内楽にも精通したふたりが聴かせるのは、近年再評価の声が高いポーランド出身のヴァインベルクの作品と、ロシアの大作曲家ショスタコーヴィチの傑作。
重量級のプログラミングですが、今シーズンの室内楽公演では特に注目のもの。
さらには、それぞれがソロで演奏する曲もプログラムされる予定の、贅沢な室内楽公演です。
アルゲリッチ&フレンズ
“ ギトリスへのオマージュ ”
6月3日(金)19:00@すみだトリフォニー
(公演詳細ページ)
ショパン:パガニーニの想い出(変奏曲)イ長調 ほか
※当初アルゲリッチのソロで上記作品が予告されていましたが、これは演奏されないことになったそうです。
上でご紹介したアルゲリッチについては、こちらの公演も告知が出ました。
2020年に98歳で亡くなった名ヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスをしのんでのコンサート。
ギトリスはイスラエル出身の名手で、独自のボーイングで個性的な音楽を展開しました。
親日家としても有名で、東日本大震災の直後など、多くのアーティストが来日をキャンセルすることに心を痛めて、積極的に日本公演を行って日本を愛してくださった人です。
アルゲリッチはギトリスとよく一緒に演奏していたので、こうした公演の実現につながったんでしょう。
日本の音楽家たちとの室内楽がメインですが、何といっても、ある時期からまったくといっていいほどソロのリサイタルを行わなくなったアルゲリッチのソロ演奏も聴けることが貴重。
(追記)
アルゲリッチのソロ演奏が予告されていた曲目が削除されたので、ソロ演奏そのものがあるのかないのか、明言がさけられている状況です。
事情があるのでしょうが、チケット先行発売後にこの変更はあまり良心的ではないと感じてしまいます。
平崎真弓 & ロレンツォ・ギエルミ
デュオ・リサイタル
(公演詳細ページ)
6月5日(日) 14:00@兵庫県立芸術文化センター
6月8日(水)19:00@東京文化会館小ホール
コレッリ:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタト短調op5-5
ヘンデル:ヴァイオリンと通奏低音のためのソナタイ長調HWV361
テレマン: 無伴奏ヴァイオリンのためのファンタジア第12番イ短調TWV40:25
J.S.バッハ:ヴァイオリンとチェンバロのためのソナタ第2番イ長調BWV1015 ほか
バロック・ヴァイオリンとチェンバロのコンサート。
平崎真弓さんは、ドイツの古楽オーケストラ、コンチェルト・ケルンのコンサート・ミストレスも務めているバロック・ヴァイオリンの名手。
イタリアのバロック音楽の権威、ロレンツォ・ギエルミのチェンバロとの共演です。
小ホールで、バロック時代のしっとりとした音楽のひとときを過ごしたい人にお薦めのコンサート。
ロレンツィオ・ギエルミ
オルガン・リサイタル
6月11日(土) 16:00@住友生命いずみホール
(公演詳細ページ)
6月12日(日) 15:00@神奈川県民ホール小ホール
(公演詳細ページ)
前半にバッハ以前のオルガン音楽、後半はバッハ作品
イタリアの名匠ロレンツィオ・ギエルミによるオルガンのリサイタル。
研究者でもある人らしく、プログラムが学究的で練られています。
オルガンのリサイタルというのは、なかなかハードルが高いもので、かなり音楽好きでないと飽きてしまったりするんですが、ギエルミほどの名手の公演なら、オルガン音楽に興味のある人には是非お薦めしたいコンサート。
ドミトリー・シトコヴェツキー指揮
札幌交響楽団
6/25(土)17:00@札幌コンサートホールkitara
6/26(日)13:00@札幌コンサートホールkitara
(公演詳細ページ)
バッハ(シトコヴェツキー編曲):ゴールドベルク変奏曲(弦楽合奏版)
チャイコフスキー:バレエ音楽『白鳥の湖』組曲
ロシアのヴァイオリニスト、シトコヴェツキーならではの意欲的なプログラミング。
グレン・グールドのピアノ演奏で有名な、バッハの名曲ゴールドベルク変奏曲をシトコヴェツキーが弦楽のために編曲したものが前半、後半には名曲なのに意外とプログラミングされない『白鳥の湖』組曲が予定されています。前半の弦楽合奏による『ゴールドベルク変奏曲』は、現在ではさまざまなオーケストラがレパートリーとして取り入れている編曲です。
★シャルル・デュトワ指揮
新日本フィルハーモニー
6/9(木)19:00@東京芸術劇場
(公演詳細ページ)
フォーレ:組曲『ペレアスとメリザンド』
ラヴェル:ピアノ協奏曲ト長調
(Piano、北村朋幹)
ドビュッシー:交響詩『海』
ラヴェル:『ラ・ヴァルス』
6/14(火)19:00@すみだトリフォニー
(公演詳細ページ)
バーバー:弦楽のためのアダージョ
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
(Vc、上野通明)
チャイコフスキー:交響曲第5番ホ短調
シャルル・デュトワはスイス出身の名指揮者。
若々しいイメージの人ですが、1936年生まれということですから、今年86歳(!)ということになります。
オーケストラを色彩的に響かせることの達人で、“音の魔術師”と評される人。
その音色の多彩さがもっとも発揮されるのがドビュッシーやラヴェルなどのフランス音楽で、実際、フランス音楽に関しては現代最高の指揮者と言って差し支えないはずです。
いっぽうで、その色彩を活かしてのロシア音楽も他の指揮者とちがった強い魅力を放つレパートリーで、この2つの演奏会では、その両方が披露される趣向になっています。
新日本フィルハーモニーの創立50周年を記念しての特別演奏会。
★サンドリーヌ・ピオー
ソプラノ・リサイタル
6/23(木)19:00@王子ホール
(公演詳細ページ)
音楽評論の大家、吉田秀和さんが絶賛して、日本でも以前たいへん話題になったフランスのソプラノ歌手です。
私も聴きに行きましたが、フォーレの歌曲などは本当に涙が出そうになるくらい美しい歌唱でした。
器楽奏者とちがって、歌手というのは生身の音楽家です。
年齢とともに声質が変わったり、あっという間に全盛期が終わって引退してしまったり。
聴けるうちに聴いておきたい歌手のひとりです。
外山雄三 指揮
大阪交響楽団
6月29日(水)19:00@ザ・シンフォニーホール
(公演詳細ページ)
ハイドン:チェロ協奏曲 第2番 Hob.Ⅶb-2
(Vc、タマーシュ・ヴァルガ)
シューベルト/交響曲 第8番 ハ長調 D944 「ザ・グレイト」
90歳になられた、日本を代表する外山雄三さんの指揮。
シューベルトの最高傑作のひとつ、「グレイト」が取り上げられる注目の公演。
チェロ協奏曲のソリストであるヴァルガは、現在ウィーン・フィルの首席チェロ奏者。
鈴木雅明 指揮
調布国際音楽祭フェスティバルオーケストラ
6/25(土)18:30@調布市グリーンホール
(音楽祭公式HP)
メンデルスゾーン:序曲『フィンガルの洞窟』
シューマン:ピアノ協奏曲イ短調
(Piano、河村尚子)
ブラームス:交響曲第1番ハ短調
6/18(土)~6/26(日)の期間に、調布市で行われる音楽祭の公演のひとつです。
“ Bach to the Future ”(映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』にかけているんでしょう)というのが今年のテーマのようで、バッハの音楽がプログラムのどこかしかに入っている公演が中心。
この公演では、バッハ・コレギウム・ジャパンの創設者であり、日本を代表するバッハ演奏家の鈴木雅明さんが、ロマン派のレパートリーを披露するところが注目です。
シューマンのピアノ協奏曲では、こちらも日本を代表するピアニストのひとり、河村尚子さんが登場します。
こうした、何が起きるかわからないワクワク感が生のコンサートには大切です。
期待の公演。
サントリーホール
プレシャス1pm
「サントリーホール・チェンバーミュージック・ガーデン」という室内楽のフェスティバルの一環で、午後1時から始まる60分のミニ・コンサート。
全4回のうち、ここではお薦めの2つをご紹介。
Vol.2
工藤重典(フルート)
吉井瑞穂(オーボエ)
広瀬悦子(ピアノ)
6/10(金)13:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
モーツァルト:『魔笛』~“ 恋人か女房か ”
プーランク:フルート・ソナタ
グラナドス:4つのスペイン舞曲~「アンダルーサ」、「ホタ」
ドゥメルスマン&ベルテルミ:『ウィリアム・テル』の主題による華麗なる二重奏曲
Vol.4
吉野直子(ハープ)
ラデク・バボラーク(ホルン)
6/17(金)13:00@サントリーホール
(公演詳細ページ)
ドヴォルジャーク(バボラーク 編曲):ホルンとハープのためのドヴォルジャーク・ポプリ
(「我が母の教えたまいし歌」、4つの歌曲op82第1曲「私にかまわないで」、ロマンティック小品集op75第3曲&交響曲第9番《新世界より》 第2楽章「家路」)ほか
Vol.2は木管楽器の世界的名手たちの共演。
フルートの工藤重典さんは、小澤征爾さんのサイトウキネンオーケストラでも有名な、日本を代表するフルート奏者。
オーボエの吉井瑞穂さんは、イタリアの巨匠クラウディオ・アッバード(1933-2014)が名手ばかりを集めて結成したルツェルン祝祭管弦楽団でオーボエを任された方。
そしてピアノは、フランスの名ピアニスト、シプリアン・カツァリスとデュオ・アルバムを出すなど、こちらも活躍中の広瀬悦子さん。
Vol.4は、名門ベルリン・フィルで首席ホルンを務めていた世界的ホルン奏者バボラークと、日本を代表するというより世界的なハープ奏者である吉野直子さんによる豪華な共演。
コンサートの時間が60分と短いので、チケットも¥2500と抑えられていて、管楽器による一流の室内楽を体験したいひとには絶好の機会です。
鈴木秀美
&オーケストラ・リベラ・クラシカ
6月4日(土)18:00@越後妻有文化ホール「段十ろう」(新潟)
(公演詳細ページ)
ヴィヴァルディ:合奏協奏曲集《四季》ほか
古楽の分野における日本のパイオニアの一人、鈴木秀美さんが自身で結成したオーケストラ・リベラ・クラシカ。
この団体は、日本ではめずらしい古楽器オーケストラです。
こちらの公演は12名の小編成で行うそうで、ヴィヴァルディやバッハの協奏曲が並べられています。
今年が結成20周年ということです。
当日の午後には、公開リハーサルも告知されています。
ワンコインコンサート
山宮るり子(ハープ)
6月30日(木)11:30@三重県文化会館
(公演詳細ページ)
ドビュッシー:月の光
スメタナ:モルダウ ほか
三重県文化会館が主催する「ワンコイン・コンサート」シリーズ。
60分のショート・プログラムを¥500で楽しめるという好企画。
山宮るり子さんは日本を代表するハープ奏者のお一人。
クラシックというとハープを連想する人も多いですが、意外とソロで聴ける機会が少ない楽器だったりします。
チケットの価格といい、実力派の演奏家を招いている点といい、好企画です。
1~3月、7~9月、10~12月はそれぞれ別ページに記載しています。